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30.台風から生還した者たち
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台風が過ぎ去ると、小生の前には両親と白毛おじさんがやってきた。
「ジュニアよ。無事か?」
「こっちの群れに被害はないよ。そっちは?」
「こっちは、アホな若造が川を見に行こうとして、頭に枝をぶつけていたな」
白毛おじさんが言うと、お父さんも頷いた。
「ああ、とりあえず……大した被害がなくて良かった」
そう言って一同が笑い合っていると、見覚えのあるツチノコが土の中から顔をだした。
『お前らは善かったかもしれないけど、飛ばされた俺の身にもなってくれよ』
「無事だったのか!」
そう声をかけると、ツチノコは少し渋い顔をしながら頷いた。
『応よ! ついでに、渡り鳥のヤツも木に引っかかってたぜ。後のやつは知らん!』
「スライムのヤローどもがいなくなるのは、俺としちゃ寂しいかな? アイツらは生けるネタみたいなモンだからな~」
白毛おじさんが言うと、小生もウンウンと頷いた。確かに、独特のコントが見られないのは少しだけ淋しいモノがある。
そう思っていたら、棒で身体を支えながら歩く女ハンターの姿が見えた。
衣服や髪の毛はボロボロになっていたが、命に別状はないらしく、ゆっくりと歩いている。
「ここはどこ……? 私はだれ……?」
既に無力化しているし、放っておこうと思っていると、彼女の服からスライムが落ちていき、それらは集まって、スライムキングになっていく。
とうやら、彼らも無事だったらしい。
『えー、皆さん、ただ今を持ちまして、緊急事態宣言を解除させていただきます!』
『キング! 緊急事態宣言の発動が遅れたため、多くの被害が出ている……という話がありますが、その点につきまして如何お考えですか?』
『えー、その点につきましてはー、今後、第三者委員会の設置を……』
『キング! 第三者はどのように選ぶおつもりですか?』
『えー、その点につきましてもー、公正公平にー』
『キング! それよりも、今は被害状況の確認を……』
『キング! ずぶ濡れになったウマたちに何か一言ないのですか?』
『キング! キング!』
『あーもう、うるさいよぉー!』
相変わらずのスライムコントに、思わず笑いそうになってしまったが、とりあえずスライム全員が元気そうなので安心した。
「とりあえず、みんな元気そうで良かったよ」
「そうですね。ん……?」
青毛娘は、急にクビを動かすと人間たちの住む冒険者街に視線を向けていた。そして同時に、バンケン狼たちのいる場所から魔法が発動したような気配も伝わってくる。
「仔馬たちを避難させて。何だか凄腕の使い手がこっちに近付いているみたいだ」
間もなくお母さんと青毛娘たちは、小生の故郷まで避難し、小生の周りにはお父さんと白毛おじさんの2頭が残った。
どちらも、百戦錬磨の一角獣なので、一緒にいてくれると凄く心強い。
小生たち3頭の前に現れたのは、なんと……幼少期の頃に会った勇者だった。
彼は大きくなった小生を眺めると、笑みを浮かべてくれた。
「見違えたね……しばらく見ないうちに、ここまで大きくなるなんて!」
「久しぶりだね。なんだかお兄さんも、体から凄みが出ているよ」
「ありがとう! お互いに大変だったということだね」
小生も勇者も、お互いに笑いあった。
「両隣にいるのは、君のお父さんと師匠かい?」
「そうだよ。彼らの指導のお陰で、いまは小さいけど、群れのリーダーをしている」
「なるほど……もし、フリーだったら、ウマの仲間が欲しかったんだけど……仕事があるのなら仕方ないな」
勇者は、どこか嬉しそうな、それでいて残念そうな顔で小生を眺めていたが、やがて言った。
「わかった。もし、君の仔馬が産まれたら……見せて欲しいな」
「なるべく早く、作るようにするよ」
その言葉を聞いて、勇者はおやっ……と言いたそうな顔をしていた。
彼がお父さんを見ていたのか、それともおじさんを見ていたのか、それとも茂みの中からこちらを眺めている青毛娘を見ていたのかまでは、残念ながらわからない。
「ジュニアよ。無事か?」
「こっちの群れに被害はないよ。そっちは?」
「こっちは、アホな若造が川を見に行こうとして、頭に枝をぶつけていたな」
白毛おじさんが言うと、お父さんも頷いた。
「ああ、とりあえず……大した被害がなくて良かった」
そう言って一同が笑い合っていると、見覚えのあるツチノコが土の中から顔をだした。
『お前らは善かったかもしれないけど、飛ばされた俺の身にもなってくれよ』
「無事だったのか!」
そう声をかけると、ツチノコは少し渋い顔をしながら頷いた。
『応よ! ついでに、渡り鳥のヤツも木に引っかかってたぜ。後のやつは知らん!』
「スライムのヤローどもがいなくなるのは、俺としちゃ寂しいかな? アイツらは生けるネタみたいなモンだからな~」
白毛おじさんが言うと、小生もウンウンと頷いた。確かに、独特のコントが見られないのは少しだけ淋しいモノがある。
そう思っていたら、棒で身体を支えながら歩く女ハンターの姿が見えた。
衣服や髪の毛はボロボロになっていたが、命に別状はないらしく、ゆっくりと歩いている。
「ここはどこ……? 私はだれ……?」
既に無力化しているし、放っておこうと思っていると、彼女の服からスライムが落ちていき、それらは集まって、スライムキングになっていく。
とうやら、彼らも無事だったらしい。
『えー、皆さん、ただ今を持ちまして、緊急事態宣言を解除させていただきます!』
『キング! 緊急事態宣言の発動が遅れたため、多くの被害が出ている……という話がありますが、その点につきまして如何お考えですか?』
『えー、その点につきましてはー、今後、第三者委員会の設置を……』
『キング! 第三者はどのように選ぶおつもりですか?』
『えー、その点につきましてもー、公正公平にー』
『キング! それよりも、今は被害状況の確認を……』
『キング! ずぶ濡れになったウマたちに何か一言ないのですか?』
『キング! キング!』
『あーもう、うるさいよぉー!』
相変わらずのスライムコントに、思わず笑いそうになってしまったが、とりあえずスライム全員が元気そうなので安心した。
「とりあえず、みんな元気そうで良かったよ」
「そうですね。ん……?」
青毛娘は、急にクビを動かすと人間たちの住む冒険者街に視線を向けていた。そして同時に、バンケン狼たちのいる場所から魔法が発動したような気配も伝わってくる。
「仔馬たちを避難させて。何だか凄腕の使い手がこっちに近付いているみたいだ」
間もなくお母さんと青毛娘たちは、小生の故郷まで避難し、小生の周りにはお父さんと白毛おじさんの2頭が残った。
どちらも、百戦錬磨の一角獣なので、一緒にいてくれると凄く心強い。
小生たち3頭の前に現れたのは、なんと……幼少期の頃に会った勇者だった。
彼は大きくなった小生を眺めると、笑みを浮かべてくれた。
「見違えたね……しばらく見ないうちに、ここまで大きくなるなんて!」
「久しぶりだね。なんだかお兄さんも、体から凄みが出ているよ」
「ありがとう! お互いに大変だったということだね」
小生も勇者も、お互いに笑いあった。
「両隣にいるのは、君のお父さんと師匠かい?」
「そうだよ。彼らの指導のお陰で、いまは小さいけど、群れのリーダーをしている」
「なるほど……もし、フリーだったら、ウマの仲間が欲しかったんだけど……仕事があるのなら仕方ないな」
勇者は、どこか嬉しそうな、それでいて残念そうな顔で小生を眺めていたが、やがて言った。
「わかった。もし、君の仔馬が産まれたら……見せて欲しいな」
「なるべく早く、作るようにするよ」
その言葉を聞いて、勇者はおやっ……と言いたそうな顔をしていた。
彼がお父さんを見ていたのか、それともおじさんを見ていたのか、それとも茂みの中からこちらを眺めている青毛娘を見ていたのかまでは、残念ながらわからない。
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