チート能力【九尾の力】が、異世界でどこまで通用するのか試してみる ~ナインテール・アタッカー~

スィグトーネ

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15.Bグループの難敵

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 Bグループ第18試合(最終戦)。
 すでに脱落が決まっているサファイアランスとは違い、7位タイで降格の恐れがあるウルフアローズの緊張感は本物だ。ギルドバッジを付けた人だけでなく、サポーターさえ応援旗を振り、頭にはウルフアローズの鉢巻きを付けて声援を送っている。
 ジルーやTランラも、苦々しい顔をしたまま呟いた。
「なにこれ……うちがホームだというのに、まるでアウェイじゃない……」
「脱落したことで、俺たちはサポーターにも呆れられちまったからな」
 どうやら、サファイアランスの主力が一気に抜けたことは、他のギルドやサポーターたちにも伝わっていたようだ。マーチルも何とか近くの石に腰を落ち着けてから言った。
「近所の冒険者瓦版を見たんだけど、もはやサファイアランスの戦力はグループC以下だって……書かれてた」
「言われたい放題だな……くそっ!」

 間もなく冒険者街審判団がやってくると、サファイアランスとウルフアローズの試合が行われた。
「各チーム先鋒……前へ!」
 サファイアランスからは、予定通りTランラが前に出ると、ウルフアローズからは闘犬タイプの獣人が出てきた。筋肉が引き締まっているのは当たり前で、さらに体の芯から力強い霊力が流れ出ている。
 サファイアランスを去った主力組でも、これほど強い霊力を出せる人がいただろうか。
「では、はじめ!」
 Tランラは、トラ獣人の脚力を生かして果敢に攻めたが、ウルフアローズの先鋒はしっかりと守りながら攻め、安定感のある試合運びを披露した。次々とクリーンヒットをTランラに浴びせるたびに、観客たちは湧いて拍手を送り、戦況が向こう側に傾くたびに、サファイアランスの修練場は相手サポーターの声援で満たされていく。
「そこまで! 先鋒戦……ウルフアローズの勝利!」
 試合内容は、誰が見ても明らかなほど一方的なモノだった。
 これほどまでに実力差があると、むしろノックアウトされなかったことを褒めたくなるほどだ。先鋒戦を制したウルフアローズは、次も強そうな戦士2人を次鋒戦に送り込んできた。

「両チームとも、準備はいいですか?」
 すでにこの時点で、勝敗は決しているのは僕の目から見ても明らかだった。
 まず、サファイアランスうちの選手2人と、相手チームでは筋肉量や体格に大きな違いがある。その上に、纏っている霊力の差が倍という感じだった。この差をひっくり返すとしたら……サファイアランス側のどちらかが、凄い固有特殊能力を持っていなければならないが、もしそのような力があれば先鋒に選ばれているだろう。
「始めてください!」
 この試合は、想像していた以上に一方的だった。
 相手方は、個々の能力はもちろん、2対2という試合方式にも慣れていたため、開始早々にこちら側の1人が集中攻撃を受けることになった。
 15秒ほどで手早く1人がノックアウトされると、相手チームは数的有利を落ち着いて生かし、開始25秒で2人ともノックアウトという戦績を残した。
「お、追い込まれたね……」
 ジルーが低い声で唸るように言うと、マーチルは涙目になりながらガタガタと震えていた。ここまで怯えてしまっていては、立つことさえままならないだろう。
 こうなったら、ジルーに来てもらうしかない。そう思いながらリーダーのロランスに視線を向けると、彼女の傍にいたフォセットが動いた。
「姉さん」
「どうしたのフォセット?」
「中堅戦……マーチルは戦えるコンディションじゃありません。私に行かせてください」
 その言葉を聞いたロランスは、険しい表情をした。
「……確かに、ムキムさんや、ソラさんばかりに危険な役目を押し付けて、私たちだけ安全な場所にいるわけにはいきませんね……お願いします」
「はい!」

 審判も僕たちの様子を見ていたらしく、声をかけてきた。
「サファイアランスの皆さん、話がまとまりましたか?」
 僕が足元に落ちている石を拾うなか、フォセットが頷いて答えた。
「はい、今いきます!」
 そう挨拶すると、僕ことソラ、エルフのフォセット、そして牛獣人のムキムの3人が闘技場へと上がった。すると、観客たちや相手チームのサポーターは、僕を指さして笑いはじめている。
「おい見ろ! あんな村人Aのような奴がいるぞ!」
「全然、筋肉がねーぞ! 雑用係でも連れてきたのか?」
「この勝負もらったぁ! 3勝確定だ!!」
 盛り上がる相手サポーターとは対照的に、サファイアランスを応援してくれている僅かなサポーターたちは、声援ではなくブーイングを僕たちに浴びせてきた。重要な試合に素人を出すなと言いたいようである。
 審判団だけは、冷静に言った。
「では、中堅戦……はじめてください!」

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