三鍵の奏者

春澄蒼

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第五章 星は天を巡る

68 老司教

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『司教見習い』の二日目には、新たな仕事が加わった。

 午後になって、三人がラフィールに連れて行かれたのは、図書館だ。

 そこに行くまで気づかなかったが、大聖堂の奥の大司教の私室などがある区域の、さらに奥へ進むと、渡り廊下で繋がれた別館のような建物があった。
 三階建ての石造りで、華やかな大聖堂や居住塔とは違って、人目に触れずひっそりとしている。


 本棚には教会が集めた本がびっしりと並び、何とも言えない古びた甘い匂いがする。
 ラフィールは本で埋まる一階には目もくれず、奥の階段へと向かう。


「あの人たちは、何を?」
 ユエが指差したのは、机にかじりついて何かを書いている五人の司教。二階には製本された本の他に、紙の束や様々な色の顔料が並んでいる。

「あれは写本を作っているのですよ」
「写本?」
「ここの所蔵の本を書き写して、欲しいという国や個人にお譲りしています」

 ラフィールは一冊を手に取って、三人に向けて広げる。

「ヴェルドットではもう、活版印刷が主流になってきていますが、教会が所蔵する本の中には古語や古代語のものも多いですからね。人の手でないと難しいのです」

 確かにその本は、三人も見たばかりの古代語や古語が踊っている。

「それに、飾り文字や挿絵は、印刷では無理ですからね」
 そう言ってもう一冊、ラフィールは本を開いた。

「わあ、キレイ!!」
 色鮮やかな鳥が目に眩しい。鳥の図鑑なのか、左の頁に挿絵が、右の頁にはその鳥についての解説が書いてあるのだが、所々の文字が装飾されていて、そちらにも目が奪われる。


「それが原本です。それで──こちらがここの司教たちが写した写本」
「すごい……!そっくり」

 並べられた二冊の本は、鮮やかな色彩だけでなく、羽の一枚一枚を描いた筆使いまでが、そのままそっくりで、三人にはどっちが原本でどっちが写本なのか、もし入れ替わっても気づかないくらいだ。

「あっ、コレ!『りんご』って文字に、本当にりんごの絵がある!」
「うわ、本当だ……!まるで文字が枝で、それにりんごが生ってるみたいだな」
「こっちは『雨』っていう文字が雫の形だ!それに『赤』の文字だけ本当に赤色で書かれてる!」


 宝探しのように盛り上がった三人を、ラフィールは三階へと促した。

 最上階には、二人の老司教が待っていた。
「よろしくお願いしますぞ」
 互いに自己紹介し終えると、早速といった感じで、老司教の一人が大きな紙を広げていく。

 部屋の中央に置かれた大きな机を、全て埋めるほどの大きな紙は、書き殴ったような文字に、図や計算式、表など、何でもかんでも詰め込んだ覚書メモのようだ。

 その大きな覚書の四隅を、その辺に転がっていた本やインク壺などで止めて、長い白ひげをたくわえた老人が、三人にイスを勧める。

 机の上と同じく床にも、積み上がった本と、石版や丸められたタペストリーや木像・石像も集められ、足の踏み場もないほどだ。

 それを何とか避けて三人が席に着くと、ラフィールは「それでは私はこれで」と役割を終えて戻っていった。


「それで、その……私たちはなにをすればよいですか?『助言が欲しい』とはつまり、ドワーフ王国の遺跡の内容を、もっと詳しくお話しすれば……?」

 バカ丁寧に話しかけたアイビスに、老司教二人は「そう堅苦しいことはやめい」と笑う。

「わしらはの、教会の、言わば研究部じゃ」
「ひょひょひょっ!実際はそんなかっちょいいモンじゃないがのう。化石のような我らが、過去をほじくり返してはあーだこーだと難くせつけておるのよ」
「さよう、さよう。腰の曲がった我らには、お似合いの机仕事じゃな」

 他の司教たちとはまるで印象の違う、賑やかで騒々しい二人に、三人は圧倒される。漫才のかけ合いのように、互いを「ひげツル」「めがねチビ」と呼んで、放っておいたらいつまでもしゃべり続けそうだ。

「あのっ、研究部ってなんの研究をしているんです?」
 かろうじて口を挟んだアイビスに、頭はツルツルなのに立派な白ひげの方が答える。

「宗教学よ」

「宗教……?」
「さよう。教会の教典はもちろん、聖会の聖典や、南諸島の土着宗教、ドワーフ・人魚の信仰も、なんでもござれよ」
 腰が曲がって子どものような身長の、メガネをかけた方が答えた。


「研究って、どうやって……?」
「色々よ!本や記録を集めたり、各地で実際に話を聞いたり──こうして知識を持った人から話を聞いたり、の」

「さよう。じゃからお主らを呼んだのじゃ。ドワーフの遺跡の話も聞きたいが、お主ら、大陸中を旅しておるのじゃろう?他の地域の話も聞かせて欲しいのじゃ!」
「それに、意見も聞かせて欲しい。教会の外から見た、客観的な意見をの!」


***
 三人は促されるままに、ドワーフの遺跡の内容、クリストバル・トリエンテの日記、アスカのことなどを話した。

「ふむふむふむ……なるほどこれはだのう、めがねチビよ」
「そうじゃのう、ひげツルよ」

 一人がゴソゴソと本を広げ、もう一人が覚書に書かれた文字の塊に、いくつか印をつけていく。

「これまでは、聖会こそが最初の宗教だと言われてきたが」「うむ、それは間違いだと証明されたのぅ」「つまり聖典も」「基となったものがあるということじゃ」「そもそも人間より先に三種が存在しておったのだから」「宗教も三種の信仰が先に存在していた」「ドワーフと人魚と妖精が人間の祖となったように」「三種の宗教が人間の宗教の祖になった」「つまり聖会とは」「人間初の宗教ではあるかもしれんが」「世界初ではないのう」

 怒涛のかけ合いに、呆気にとられて口が半開きになっていた三人に、ひげ司教が「どう思うかの?」と意見を求める。

「そ、そうですね……」
 かろうじて理解できたアイビスが、曖昧に相槌を打ったが、ユエとラークはまだポカンとしている。


「と、なるとつまり、聖典や教典で言うところの『三神』は、三種そのものを指していたということじゃろうか?」
「いやいや!『三神』は天・地・人を司るのだから、また別だろうよ。やはり『三位一体』の考えから先に考察せねば──」
「いやいやいや!『三神』を風・水・土とする考えもあるじゃろうが!それならば海神を信仰する人魚、大地の女神信仰のドワーフと、三種の神々が当てはまるぞよ」
「待て待て!そんな話になるのなら、やはりまず先に、妖精の信仰対象を論議せねばならん!堂々巡りよ!」


 議論はますます過熱していき、そのうち「このひげツル!」「なにを、めがねチビ!」と罵り合いに発展しそうになったところで、「お、落ち着いて……!」「まあまあ!」とラークとアイビスが仲裁に入る。


 興奮し過ぎて倒れるんじゃないか、とヒヤヒヤしていた三人に、
「おぅ、すまんのぅ、いつものことじゃ」
「いやはや、でも第三者がおるというのは、いいことよ。いつもより早くケンカが終わる」と、老司教二人はあっけらかんと言い放った。


 完全に老司教二人のペースに巻き込まれた三人は、それからも細かい確認に答え、言い合いになればなだめ、時には助言を求められて、すぐに時間は過ぎていった。



***
 議論がひと段落したところで、老司教二人は若手の司教にお茶とお菓子を運ばせた。いつもこうしてお茶会をしているのか、「なんじゃ、今日は客がおるから豪華じゃのう」とぐちぐち言いながらも、さっそくラズベリークッキーに手を伸ばしている。

「……お二人は、ここでは古参なんですよね。大司教様ともお付き合いは長いんでしょう?」
 アイビスが世間話に隠して、探りを入れ始める……が、この二人を相手に、作戦通りには進まない。


「古参っちゃあ古参じゃが、わしらが『青の教会』に来たのは、ほんの十年ほど前じゃよ」
「そうそう。それまではどっちも、地方の教会にいたのよ。そこで使い物にならなくなっての」
「ひゃっひゃっ!思ったより長生きしてしまったのじゃ」
「教会の管理が難しくなったからの、後進に譲って、老後をのんびり過ごそうとここへ来たのよ」
「じゃからアディーン様とは十年の付き合い──ま、そう長くはないぞ」
「もちろんここに来る前から、アディーン様と面識はあったがの」


「十年なら、十分長いと思うんですけど……それじゃあ、大司教様とカイトの関係については、何か知らないですか?」

 一聞けば十答えるような二人に、アイビスが質問を滑り込ませる。遠回しな質問ではいつまで経ってもラチがあかないと悟って、直球で攻めた。


「カイト……?はて?」
「あの、大司教様の看病をしている、俺たちの仲間です。大司教様の話では、『幼い頃から』の知り合いとか……」
「おぅおぅ!アディーン様が珍しくワガママを言ってそばに置いておる、あの男か!」
「ほぅ……『幼い頃から』じゃと?その、カイトっちゅう男は、年はいくつなんじゃ?」


「えぇっと……たぶん、二十代の後半くらい──」
 アイビスの言葉に、ユエは(そう言えば、年齢なんか聞いたことなかった)と、今更ながら疑問に思う。

 カイトだけでなく仲間の年齢など、誰が上で誰が下なのか、くらいの認識しか持っていなかったユエだ。 

(二十代……俺より上だとは思ってたけど……)具体的な数字にピンとこなくて「う~ん?」と首をひねっていると、ラークも知らなかったのか「えっ?そうなの?」と驚きの反応を見せる。


「いや、だって……」まごついたアイビスは、「フェザントより年上ってことはないだろう?」と、同意を求めてくる。

「フェザントはいくつなんだ?」ユエが尋ねると、「三十二だって言ってたよ」ラークがすぐさま答えた。

「フェザントが三十二で、確かジェイが三十──」仲間の年齢を上から順に並べようとしたアイビスに、「えっ?!じゃあ、カイトって、ジェイより年下なのっ?!」途中でラークのまさかという横やりが入った。

 はた、とアイビスの動きが止まる。

「そう言われてみると……」計算し直すように唸ったアイビスは、「俺が二十五だからそれよりは年上で……フェザントより下で……ジェイより……?」ブツブツと呟いた後「じゃあカイトは、三十一、か?」全く納得いっていない顔で、新たな数字を導き出した。


「なんじゃ!仲間なのに、はっきりした年齢を知らんのか?」
 めがね司教からそう突っ込まれて、アイビスは「いや……カイト本人もよく分からないとか……前に年を聞いたら『数えてない』って」とたじたじとなった。


「えっ?!自分の年を知らないの?」
 そんなことがあるのかと目を丸くするラークに対して、老司教二人には驚きはない。

「ふむ……もしかしたらそのカイトという男、孤児なんじゃないかの?」
「そうだのう。教会の孤児の中には、自分の年を知らん者は多い」
「誕生日を知らん者も多いからの。赤子の捨て子じゃと、見た目から何となくの年齢を決めて、孤児院に来た日を誕生日とするのじゃよ」
「それも昔はいい加減だったからのう……早く孤児院から追い出すために、実際よりも上にサバを読ませることもあった」
「おう!わしがそうじゃ!本来は十五までは面倒を見んといかんのに、わしは十三で追い出されたぞ」

「ほう!めがねチビ、孤児だったのか!?」
「そうじゃぞ、ひげツル。話したことなかったか?」

「初めて聞いたのう。……ひょひょ!若いもんに偉そうなことを言っておいて、わしらも互いの年を知らんのじゃないか?」
「おお?!そうじゃったか?……ふむふむ、確かに。ひげツル、お前、いくつじゃ?」
「わしゃ、八十五よ。めがねチビ、お前は?」
「わしは、八十六じゃ!ひょひょ!わしの方が年上じゃぞ!」
「おお、待て待て!間違えた!本当は八十七だったわ!」
「なんじゃそれは?!……さてはお前!わしより年上ぶろうと、サバ読んでおるな!」
「ばか言うでない!お前こそ、孤児時代に読んだサバをそのままにしておらんかのう?!」
「なんじゃとお!!」


 そのうち二人とも自称百歳を超すまでになっていて、アイビスが止めるまでもなく、「はて、なんの話だったかの?」と自分たちで軌道修正をした。

「アディーン様とカイトという男との関係じゃな」
「さよう、そうじゃった」
「その男が三十前後ならば、約二十年前ってところかの」
「『幼い頃から』の知り合いならば、そのくらいじゃな」


 アイビスとラークは期待に満ちた目を向けた……が、「二十年前ではのう……」「わしらは知らんのう」と、さんざん引っ張ったくせに答えは期待外れそのもの。

 がっくりする二人を見て、せめてもう少し考えようと思ったのか、二人は「う~む」と記憶を探る。

「二十年前……アディーン様はすでに、この『青の教会』におられたぞよ」
「うむ、すでに『大司教』と呼ばれておった」
「……そうじゃ!そのカイトが孤児だというのなら、どこぞの教会の孤児院におったんでないか?」
「なるほどのう!アディーン様は、各地の教会を視察しておるからの。そうして知り合ったのではないか?!」


 やっと答え候補らしきものが出て、すでにもう満足げな二人に、「いや」とアイビスが冷静に反論する。

「大司教が世話をした孤児は大勢いるんでしょう?その中でカイトだけがこんなに特別扱いなんて、不思議ですよ」

「そうかのう?」「そうじゃのう」再び記憶を思い起こそうとする老司教二人に、アイビスは「あの……!」としっかりと注目を集めてから、思い切ったように問いかけた。


「……大司教様って、お身内はおられないんですか?」


 いきなりどこへ話が飛んだのか、老司教二人も、ユエもラークも分からずにポカンとする中、アイビスはこの話題を出した初めから、ここへ着地させるつもりだったのか、あらかじめ考えていたように、話を続ける。

「カイトは孤児じゃなくって……大司教様の身内、ってことはありませんか?」
「えっ?!」「ええっ?!」

 仲間の上げた驚きの声を無視して、アイビスは興奮しているのか早口になる。
「父親……じゃあ、年が合わないかもしれませんが、祖父ならあり得るのでは……?血が繋がっているのなら、今際の際に逢いたくなったという心情も理解できるし、特別扱いも──」

「それはない」「うむ、あり得んのう」

 まくし立てるアイビスを、老司教たちはキッパリとした口調で遮った。


「あり、得ない……ですか?」
 突拍子もない仮説を、驚きもせずに冷静に否定する年長者に、アイビスは彼らしくもなく胡乱な目を隠しもせずに聞き返す。

 しかし、やはり二人はキッパリと「ない」と言い切る。理由を求めるアイビスに、「アディーン様本人が断言しておるからじゃ」と、めがね司教が胸を張った。

「『私は生涯独り身と決めています』とな」
「『だから、全ての孤児が私の子どもなのです』とも」
「そして『教会が家で、みんなが家族なのです』と、われらに常々言ってくださっておる」


 アイビスはよほど自分の仮説に自信があったのか、それだけでは納得しかねるという顔をしたが、
「そんなに気になるのなら、本人に聞けばよいではないか」
「そうじゃ、仲間なんじゃろう、直接聞け」

 と、もっともなことを言われて、引き下がる他なかった。



******
 大司教の私室の窓を開け放っていると、カイトの耳には色々な声が聴こえてくる。

 司教たちの穏やかな説教の声。
 賑やかな子どものはしゃぎ声。
 聖歌隊の歌声。
 近くを通る遊牧民の、家畜の鳴き声。

 そんな昼間とはうって変わって、日が暮れると流れるのは、ささやき声。

 大司教を心配し、教会の未来を憂い、そして祈る声。その中にほんの時折混じるのは、よそ者に対する不信感や、大司教の信頼を得ているカイトへの嫉妬心──しかしそれも、すぐに周囲からたしなめられて、陰が大きく広がることはない。


 自分も仲間も、おおむね受け入れられている状況に、カイトは目の前の人物への敬意をいっそう深くした。
 それはつまるところ、絶大な信頼がなせる技──司教たちの信頼をこれほど勝ち得ていることこそが、大司教の生き様を表していた。


 ゆっくりと自分の手で食事を終えたアディーン大司教から、カイトは食器を受け取ると、扉の外に控える司教たちにそれを渡し、再び寝台横のイスへと戻る。

「……カイト、あなたも食べてきてください」
 困ったように勧めるアディーンに、カイトは「……もう少し後でいい」と首を振る。

「そんなことを言って……昨日、食べ損ねたんじゃないですか?」
「大丈夫だ」
「食事も、ですが……夜もずっとここに詰めているでしょう?いつ起きてもいるんですもの、心配になります」

 眉を曇らせるアディーンに、カイトは苦笑いで対抗するが、最後にはきっちりと言質を取られて、約束させられる。

「しっかりと食事を取ってください。そして、夜はちゃんと部屋に戻って──」「分かった、分かった」「今日からですよ」「分かってる」

 口うるさい母親とそれを適当にあしらう子どものようなやり取りに、カイトはおかしな心持ちがして、苦笑いが濃くなっていく。

「カイト、本当に分かっているのなら、今から食事に向かってください」
「……もう少し後で、と──」
「今から、ですよ」
「……寝るのを見届けてから、な」

 どちらも互いの頑固さを知っているためか、譲歩した結果が、アディーンの就寝まではそばにいるというものだ。


 湯で身体を清め、薬を飲み、少し書き物をして、寝台に横たわる前に短い祈りを捧げる。アディーンの最近の日課を、カイトは甲斐甲斐しく手伝って、眠る準備を整えた。


 寝物語は、カイトの冒険譚。


 直近のドワーフ王国から、時間は遡っていっている。すでにクウェイルとメイとの出会い、そしてヘイレンとの邂逅も語り終えた。

「どこまで、話したんだったか」
「東の海での、ユランさんの死、まで……」
「そうか……その前はどこにいたんだったか……確か──」

 話しながら記憶を整理しているため、カイトの語りはよく飛びよくつっかえて、進みはゆっくりだ。

 しかしそれを踏まえても、カイトの落ち着いた深みのある声は、聴く者を安心させる。まるで、大地にどっしりと根を張った大樹に抱かれているように。


 ひとつの旅を語り終える前に、寝息が聞こえてきた。

 穏やかな呼吸を確認したカイトは、月明かりで銀色にも見える白髪に指を絡め、梳き、撫でる。
 それからゆるゆると、かさついた頰へと指を滑らせた。

 二度、三度と、体温を確かめるように撫でてから、その顔に浮かぶシワをなぞる。それは彼が生きた証でもあり、そして同時に、彼を奪う『死』の象徴でもある。

 讃えるべきなのか、恨むべきなのか──目に焼きつけたいのか、目を逸らしたいのか──カイトは決められずに立ち上がる。

 とばりを下ろして、月明かりを遮ると、カイトは夜の闇に紛れて部屋を出た。


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