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14 緊急開催ゲーム「裏切り者は誰だ」②
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私に票が集まった。追放者は多数決だ。全員の視線が私に集まる。
どうする? 警察官はトウコだってことは分かっている。でも、彼女の意図がつかめない。
どうして私を守ろうとしてくれないの? 裏切るにしても、もう少しやり方があるはずだ。
それとも……トウコにとって私はもう用済みなのだろうか? 私たちは黙って見つめ合った。全員の視線が私に向いているのが分かる。私が犠牲にならなければ誰も生き残れない。それはわかっているのだが……どうしても大人しく死ぬわけにはいかないのだ。
「ほら、早く何か言いなさい」
トウコが急かしてくるが、私はトウコを睨み返すしかなかった。
私たちのやり取りを見つめている他の参加者たちは固唾を飲んで見守っているようだ。まさか多数決で決まらないとは思わなかったのだろう。特に、ミノリは青ざめた表情を浮かべているように見える。
「……待って」
ミノリは震える声で言った。
「……私はアカネを追放するつもりはないわ。彼女は私たちを助けてくれるし、それに……裏切り者には見えないから……」
ミノリの言葉に、会場の空気が固まったのを感じた。
トウコが明らかに不満げな表情を浮かべているのが見えた。他の参加者たちも驚いているようだった。私も同じ気持ちだったし、信じられない気持ちだった。
トウコが眉をひそめながら尋ねる。
「多数決で決まったことなの。あなたは少数派よ。これを覆らせるためには、ちゃんとした理由がほしいわ」トウコの言葉は辛辣だった。ミノリは考え込んでから言った。
「アカネは私に優しくしてくれたし、それに……」
そこまで言ってミノリが黙り込んでしまった。彼女の目から涙が流れ落ちるのが見えた。私は呆然とその様子を眺めていた。
トウコが立ち上がって、ミノリに駆け寄ると言った。
「ごめんね、泣かないで……でも誰かが追放されないとゲームが終わらないのよ」
彼女がミノリの肩に手を伸ばした瞬間……ミノリはその手をつかんだ。
「私が警察官なんです。アカネさんではありません!」
ミノリの告白に会場中がざわついた。トウコは目を見開いたまま、言葉を失っていた。
「え……助けてもらったからって庇っているだけじゃないの? 証拠はあるのかしら」
「証拠? これでいいでしょうか?」
ミノリは大きく足を踏み込んで、トウコの体を床に投げ倒した。見事な背負い投げだ。
か弱そうに見えても最小限の力で最大の効果を発揮している。
私は驚きのあまり声も出なかったが、他の参加者たちも息をのんだり口を押さえたりしていた。誰も声を出すことができなかったのだ。
「アカネさん……あなたを助ける方法がこれしか見つけられなくてごめんなさい。でも、あなたに出会えてよかった」
ミノリは震える声で言った。
「ミノリ……」
私はそうつぶやき、涙がにじんできた。
彼女は芯の強い女性だった。私には彼女を救う手段がない。
こんなゲームに参加しなければ、ふさわしい旦那さんを見つけて、幸せな結婚ができたはずなのに……。
ハイリスクなゲームに参加したのが悪かったの?
ミノリと仲良くなったのがいけなかったの?
それとも、正体を隠して参加したから罰が当たったのだろうか……。
私は後悔していた。だけどもう取り返しはつかないのだ。
トウコはしばらく呆然としていたが、突然大きな声で笑い始めた。その笑い声に他の参加者たちも我に返ったようで、ようやくざわめきが起こり始めた。
「素晴らしいわ!」
トウコは笑いながら言った。
「こんなに面白い展開になるなんて思わなかった」
彼女はゆっくりと立ち上がると、拍手をしながら参加者たちに言った。
「ほら、皆さんもご一緒に!」
トウコの笑みは不気味だったが、不思議と彼女に従う雰囲気になった。私たちは戸惑いながらも拍手をした。トウコは満面の笑みで言う。
「無事に追放者を見つけて、私たちはゲームに勝ったのよ!」
トウコは拍手する手を止めると、私の肩に手を置いた。そして言った。
「アカネ、あなたは本当に素晴らしいわ! あなたをゲームから外してしまったらもったいない」
トウコの言葉は信じられないものだった。私は混乱した頭で必死に考えたが、結論は出なかった。
『裏切り者が見つかったようですね』
スピーカーから支配人の声が響いた。
『では、裏切り者は公開処刑しましょう』
その声と同時に、会場の扉が開いて、数人の執事たちが現れた。彼らは真鍮のグラスを運んでくると、ミノリに差し出した。
真鍮のグラスには見覚えがある。
毒杯だ。第一ゲームの処刑に使われたものと同じものだ。
ミノリは抵抗しなかったし、恐怖の表情を浮かべることもなかった。
堂々とした態度でグラスを受け取ると、口をつけた。
『裏切り者の処刑が完了しました』
再度、会場中から拍手が起こった。裏切り者を追放した喜びに満ちている。
ミノリは最後の最後まで微笑みを浮かべていた。彼女の足元には空になったグラスが転がった……。
どうする? 警察官はトウコだってことは分かっている。でも、彼女の意図がつかめない。
どうして私を守ろうとしてくれないの? 裏切るにしても、もう少しやり方があるはずだ。
それとも……トウコにとって私はもう用済みなのだろうか? 私たちは黙って見つめ合った。全員の視線が私に向いているのが分かる。私が犠牲にならなければ誰も生き残れない。それはわかっているのだが……どうしても大人しく死ぬわけにはいかないのだ。
「ほら、早く何か言いなさい」
トウコが急かしてくるが、私はトウコを睨み返すしかなかった。
私たちのやり取りを見つめている他の参加者たちは固唾を飲んで見守っているようだ。まさか多数決で決まらないとは思わなかったのだろう。特に、ミノリは青ざめた表情を浮かべているように見える。
「……待って」
ミノリは震える声で言った。
「……私はアカネを追放するつもりはないわ。彼女は私たちを助けてくれるし、それに……裏切り者には見えないから……」
ミノリの言葉に、会場の空気が固まったのを感じた。
トウコが明らかに不満げな表情を浮かべているのが見えた。他の参加者たちも驚いているようだった。私も同じ気持ちだったし、信じられない気持ちだった。
トウコが眉をひそめながら尋ねる。
「多数決で決まったことなの。あなたは少数派よ。これを覆らせるためには、ちゃんとした理由がほしいわ」トウコの言葉は辛辣だった。ミノリは考え込んでから言った。
「アカネは私に優しくしてくれたし、それに……」
そこまで言ってミノリが黙り込んでしまった。彼女の目から涙が流れ落ちるのが見えた。私は呆然とその様子を眺めていた。
トウコが立ち上がって、ミノリに駆け寄ると言った。
「ごめんね、泣かないで……でも誰かが追放されないとゲームが終わらないのよ」
彼女がミノリの肩に手を伸ばした瞬間……ミノリはその手をつかんだ。
「私が警察官なんです。アカネさんではありません!」
ミノリの告白に会場中がざわついた。トウコは目を見開いたまま、言葉を失っていた。
「え……助けてもらったからって庇っているだけじゃないの? 証拠はあるのかしら」
「証拠? これでいいでしょうか?」
ミノリは大きく足を踏み込んで、トウコの体を床に投げ倒した。見事な背負い投げだ。
か弱そうに見えても最小限の力で最大の効果を発揮している。
私は驚きのあまり声も出なかったが、他の参加者たちも息をのんだり口を押さえたりしていた。誰も声を出すことができなかったのだ。
「アカネさん……あなたを助ける方法がこれしか見つけられなくてごめんなさい。でも、あなたに出会えてよかった」
ミノリは震える声で言った。
「ミノリ……」
私はそうつぶやき、涙がにじんできた。
彼女は芯の強い女性だった。私には彼女を救う手段がない。
こんなゲームに参加しなければ、ふさわしい旦那さんを見つけて、幸せな結婚ができたはずなのに……。
ハイリスクなゲームに参加したのが悪かったの?
ミノリと仲良くなったのがいけなかったの?
それとも、正体を隠して参加したから罰が当たったのだろうか……。
私は後悔していた。だけどもう取り返しはつかないのだ。
トウコはしばらく呆然としていたが、突然大きな声で笑い始めた。その笑い声に他の参加者たちも我に返ったようで、ようやくざわめきが起こり始めた。
「素晴らしいわ!」
トウコは笑いながら言った。
「こんなに面白い展開になるなんて思わなかった」
彼女はゆっくりと立ち上がると、拍手をしながら参加者たちに言った。
「ほら、皆さんもご一緒に!」
トウコの笑みは不気味だったが、不思議と彼女に従う雰囲気になった。私たちは戸惑いながらも拍手をした。トウコは満面の笑みで言う。
「無事に追放者を見つけて、私たちはゲームに勝ったのよ!」
トウコは拍手する手を止めると、私の肩に手を置いた。そして言った。
「アカネ、あなたは本当に素晴らしいわ! あなたをゲームから外してしまったらもったいない」
トウコの言葉は信じられないものだった。私は混乱した頭で必死に考えたが、結論は出なかった。
『裏切り者が見つかったようですね』
スピーカーから支配人の声が響いた。
『では、裏切り者は公開処刑しましょう』
その声と同時に、会場の扉が開いて、数人の執事たちが現れた。彼らは真鍮のグラスを運んでくると、ミノリに差し出した。
真鍮のグラスには見覚えがある。
毒杯だ。第一ゲームの処刑に使われたものと同じものだ。
ミノリは抵抗しなかったし、恐怖の表情を浮かべることもなかった。
堂々とした態度でグラスを受け取ると、口をつけた。
『裏切り者の処刑が完了しました』
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ミノリは最後の最後まで微笑みを浮かべていた。彼女の足元には空になったグラスが転がった……。
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