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一月は前途多難な始まり

一月十日(土曜日)

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 弘也は結局朝帰り。夕方まで爆睡してるから掃除もできないし、音楽も聞けない。起こしたら悪いし。いつ起きるかも分からないし仕方ないのでひとりで池袋へ。
 新春セールでいくつか服を買った。早ければ来月から新しい仕事に就きたい。再就職活動のためのスーツとパンプス。これまでオフィスカジュアルで済ましていたから久しぶりのスーツ。
 さすがに新卒のリクルートというわけにはいかないもんね。
 早く帰っても仕方ないのでふらふらと歩いて商店街へ。
 この間見つけたカフェに。
 今日のおすすめは抹茶のパウンドケーキだった。しっとりとしたパウンドケーキに栗と小豆がたっぷり。なんだろう? パウンドケーキとかシフォンケーキって水分持ってかれること多いのにここのケーキはそんなことないんだよね。
 店員の女の子はミキちゃんって言うらしくてカウンターに座ってたら話し掛けられた。
「また来てくださったんですね! ありがとうごさいます」
 ってよく覚えてくれてたなぁ。
 この辺に住んでることとか今日の買い物の話ついでに来月から就職活動なことなんかまで話してしまった。
 なんか、話しやすいんだよね、ミキちゃん。
 逆に男性のほう、店主なんだそうだけど全然会話には参加しなかった。むしろうるさくして悪かったかな?
 ミキちゃんにまた来ますって伝えたら、夕方までならいるからって。どう見ても年下にしか見えなかったけど、実は二人のお子さんがいるそうで保育園にお迎えに行くんだとか。
 今度写真見せてもらうことになった。子供かぁ~いいなぁ。
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