二十代最後の最低最悪波乱万丈な私の十二ヶ月

三谷玲

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一月は前途多難な始まり

一月十三日(火曜日)

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 久しぶりに横浜に来た。今は池袋から一本で行けるから凄い便利。
 詩織のお店へ。
 邪魔にならないように端の席に座ろうとしたら予約席ってあったけど、あそこいつも予約席なのよね。混雑したときように開けているんだって言ってた。
 平日の夕方だからお客様はまばら。バイトの男の子がめちゃくちゃ可愛いの、ちょっと羨ましい。
 詩織のお祖父さんのお店は壁にたくさんのカップが並んでいて、それがアンティークだったり陶芸家が焼いたものだったりするカップを見てるだけでも楽しい。
 今日出してくれたのはアンティークの洋食器。クリーム色に金の唐草模様に囲まれて梅の花がが描いてあった。「門出を祝う文様だよ」と教えてくれた。
 門出かぁ~。
 確かにこれから新しい仕事に就く私に相応しいなぁと思っていたら「それだけじゃないけどね」と言われた。
 もしかして、結婚かな? 詩織は時折予言めいたことを言うからちょっと期待しちゃう。
 それから二人で近況を話した。
 詩織は相変わらずお店で忙しいみたい。バイト雇う余裕が出来たから少しは楽になったみたい。
 彼氏はまだだって。高校生の頃に仲良かった男の子がいたはずなんだけど、そういった話はほとんど聞いたことがない。
 むしろ毎回私の話を聞いてもらってばかり。
 今日も途中から弘也の愚痴になっちゃった。
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