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一月は前途多難な始まり
一月二十六日(月曜日)
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あいにくの雨模様だったのだけど気温はそれほどでもなかったので、レインブーツを履いて散歩に。
マンションから坂を下った先にある護国寺まで。距離はないけれど急な下り坂で足を滑らせないように注意しながら。
梅が開花しそうだとニュースで言っていたけどさすがに見れなかった。
でも雨のお寺も静かで好き。
人も少ないので境内を見て回っていると、心が凪ぐ。
帰りは通ったことのない道をと護国寺をぐるりと廻るように雑司ヶ谷霊園のほうに抜けて歩いた。
これだけ歩けば最近のカロリーオーバーもなんとかなる、といいな。
はじめて通る道は楽しくてキョロキョロとしていたら幼稚園があった。
ちょうどお迎えの時間だったみたいで親御さんが集まっているなか、見知った顔が。
なんと、ミキちゃんの旦那さん、マスターが。
向こうも驚いたみたいで、少しバツの悪そうな顔をしていたけど、手を繋いでいた息子さんは物怖じしないタイプみたいで、はじめて見るわたしに走り寄ってきた。かわいい。
思わず抱きあげて挨拶すると、「おねえちゃん、アニーのおともだち?」とこてんと首をかしげた。かわいい。
それにしても息子さんにまで「アニー」って呼ばれてるんだとマスターを見ると、すごい嫌そうな顔をしていた。
「あんたはその名前で呼ぶなよ」
「あの、わたし川上千尋っていう名前があるんです。あんたじゃないんです」
「ちひろちゃん? おねえちゃんちひろちゃんっていうの? かわいいね。ぼくはね、かつきっていうんだよ」
って、かつきくん、あなたのほうがかわいいわと頬ずりしてしまった。
マスターはポケットから何やらしわくちゃな紙を取り出すとかつきくんと入れ替わりに渡してきた。
そこには「八幡哲」と書いてあった。
「てつ?」
「年上なんだから呼び捨てにすんじゃねえ」
ってお店より偉そうに言われた。仕方ないから「哲様」って呼んだらむちゃくちゃ嫌そうな顔された。
これから様付けで呼ぼうと心に決めた。
マンションから坂を下った先にある護国寺まで。距離はないけれど急な下り坂で足を滑らせないように注意しながら。
梅が開花しそうだとニュースで言っていたけどさすがに見れなかった。
でも雨のお寺も静かで好き。
人も少ないので境内を見て回っていると、心が凪ぐ。
帰りは通ったことのない道をと護国寺をぐるりと廻るように雑司ヶ谷霊園のほうに抜けて歩いた。
これだけ歩けば最近のカロリーオーバーもなんとかなる、といいな。
はじめて通る道は楽しくてキョロキョロとしていたら幼稚園があった。
ちょうどお迎えの時間だったみたいで親御さんが集まっているなか、見知った顔が。
なんと、ミキちゃんの旦那さん、マスターが。
向こうも驚いたみたいで、少しバツの悪そうな顔をしていたけど、手を繋いでいた息子さんは物怖じしないタイプみたいで、はじめて見るわたしに走り寄ってきた。かわいい。
思わず抱きあげて挨拶すると、「おねえちゃん、アニーのおともだち?」とこてんと首をかしげた。かわいい。
それにしても息子さんにまで「アニー」って呼ばれてるんだとマスターを見ると、すごい嫌そうな顔をしていた。
「あんたはその名前で呼ぶなよ」
「あの、わたし川上千尋っていう名前があるんです。あんたじゃないんです」
「ちひろちゃん? おねえちゃんちひろちゃんっていうの? かわいいね。ぼくはね、かつきっていうんだよ」
って、かつきくん、あなたのほうがかわいいわと頬ずりしてしまった。
マスターはポケットから何やらしわくちゃな紙を取り出すとかつきくんと入れ替わりに渡してきた。
そこには「八幡哲」と書いてあった。
「てつ?」
「年上なんだから呼び捨てにすんじゃねえ」
ってお店より偉そうに言われた。仕方ないから「哲様」って呼んだらむちゃくちゃ嫌そうな顔された。
これから様付けで呼ぼうと心に決めた。
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