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30日
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散々泣いたミッシャは頭痛で目が覚めた。
「あー頭、痛ぇ……」
声を出せば余計痛むのに、静かすぎる室内が嫌でわざと口に出した。
小さな氷の窓の外は明るくはないが、星も見えなかった。
吹雪が、吹いていた。
まるで、自分の心のうちのように吹きすさぶ様をミッシャはじっと眺めていた。
オスカーはまだ帰せないと言った。もう帰るところもないと言った。
研究に必要な魔力がどれほどかは分からないが、足りないと言った。復讐もまだ足りないらしい。
自分が育てた子供だが、何を考えてるのかさっぱりわからなくなっていた。
それだけ20年は長く、手放したミッシャへの恨みは強いのかもしれない。
深く吐いた息で、氷が曇った。
「また、脱出する気ですか?」
背後から聞こえてきた声に、ミッシャは振り向くことなく答えた。
「賢者様の結界を僕ごときが破れるわけがないだろ。それより、お前なんの研究してるわけ? いい加減教えろよ」
だんだんと透き通っていく氷の外を見ると、吹雪は止んだようだった。
雪をかぶった黒い森が広がるばかりで、何も見えない。
誰も、何もいないように静かな世界に、オスカーの足音だけが響いた。
「ミッシャが知る必要はありません。あなたは魔力さえ渡してくれれば、それでいいんですよ」
肩に手を置かれ、身体が跳ねる。
なにをされるかよりも、なにを考えてるかわからないオスカーが、怖かった。
ごまかすようにミッシャは空笑いをして尋ねた。
「はは。世界でも滅ぼすつもりか?」
この30日で一回一回はわずかでも、相当量の魔力を蓄えているはずだ。
使った形跡は、ないとは断言できないが、足りないというのだから、使うことはないのだろう。
そう考えると、世界とは言わずとも、オスカーの魔術なら国を亡ぼすほどの量はあるはずだと、ミッシャは思った。
さすがにそんなことはしないだろうと、冗談のつもりで言ったが、今のオスカーは昔のオスカーとは違う。
もしそうならば、止めなければとも思ったが、オスカーはミッシャの身体に腕を回し、背後から抱きしめると頭をミッシャの肩に預けた。
「そんなものより、大事なものを守るためですよ」
それは、と聞き返そうとしたミッシャの身体はまた跳ねた。
今度は恐怖ではなく、確かな快感で。
回された手が、乳頭を刺激する。
こんなところで感じたくはないが、慣らされてしまった身体はあっという間に熱を持ち始めた。
声をかみ殺そうとして閉じた口がムリヤリ開かされ、指を突っ込まれた。
「んぐっ、ぅぇ、あ、ん、……」
奥に押し込まれた指が、喉をくすぐる。
気持ち悪さの先に、知りたくもなかった感覚にミッシャは気付いた。
――喉奥が、気持ちいいだなんて……。
自分の身体に裏切られた気分だ。
静かすぎる室内にはミッシャの息と水音が響いた。
氷の窓がまた曇っていく。
ぐったりしはじめたミッシャは壁に手を伸ばした。
何かを掴んでいないと、不安だった。
オスカーに塗り替えられていく身体は、もう自分のものではないような気さえしていた。
冷たいはずの壁は、熱くなった身体には心地よかった。
少しだけ冷静になったミッシャだったが、それは寝間着をめくられてあっという間に終わった。
ミッシャの口から離れたオスカーの指が、尻に触れる。
「……オスカー?」
「言ったでしょう? 快楽漬けにするって」
聞いたが、まさか……。
ぬるりとした指が入ってくる。
潤滑剤なく陰茎を押し込まれた時のような痛みは全くない。ないが、逆に指の感触がありありと伝わる。
ここは、痛いだけのはず。
そう思うのに、オスカーの指がぐるりと中で動くと、ミッシャは壁に爪を立てた。
「あなたが寝てるときに、俺が何もしてないと思ってました? ここも丹念に調べてあるに決まってるでしょう?」
「ひぅっ! おすか、ー、それ、やめ、……っん、あっ!」
探るようにして動いていた指がどこかに触れた。
ミッシャは逃げようとして身体を壁に近付けたが、今度は壁から逃げなければいけない羽目になった。
勃起していた陰茎が、冷たい壁に触れた。
せっかく離れたオスカーの指が、また内へと入っていた。
「自分で腰を動かして、いやらしいですね」
「ち、が……っ、ああっ、それ、やだ、ほんとに……やめろ、オスカーっ! ダメだ、ァッ……」
内から押されるだけで、ミッシャの陰茎が持ち上がり、鈴口から雫が零れ落ちた。
「よかったですね。父親としては失格でも、男としてはまだ、能力が、あるようで……」
「……おま、え……っくそ、あっあっ……っ」
「まぁ、尻を弄られて勃起たせるのが、男っていうかどうか……。いいんですよ? 自分で触っても」
首を振って拒絶をすると、オスカーがミッシャの手を掴んだ。
「自分で触れるのは嫌ですか? 俺に触ってもらいたいんですか?」
ミッシャは、迷った。
陰茎だって粘膜だ。何度、ここに触れてもらえばすぐに終わると思ったかわからない。
このまま、醜態をさらし続けるよりは、マシなんじゃないかと。
ミッシャは首をひねり、オスカーを見上げた。
「……触れ、っ――」
言い切る前にオスカーに口を塞がれ、陰茎を握られる。
両方から一度に魔力を奪わる。
くらりと意識が遠のく感覚と同時に、快感を味わって、ミッシャは射精と共にオスカーの腕へと倒れ込んだ。
「あー頭、痛ぇ……」
声を出せば余計痛むのに、静かすぎる室内が嫌でわざと口に出した。
小さな氷の窓の外は明るくはないが、星も見えなかった。
吹雪が、吹いていた。
まるで、自分の心のうちのように吹きすさぶ様をミッシャはじっと眺めていた。
オスカーはまだ帰せないと言った。もう帰るところもないと言った。
研究に必要な魔力がどれほどかは分からないが、足りないと言った。復讐もまだ足りないらしい。
自分が育てた子供だが、何を考えてるのかさっぱりわからなくなっていた。
それだけ20年は長く、手放したミッシャへの恨みは強いのかもしれない。
深く吐いた息で、氷が曇った。
「また、脱出する気ですか?」
背後から聞こえてきた声に、ミッシャは振り向くことなく答えた。
「賢者様の結界を僕ごときが破れるわけがないだろ。それより、お前なんの研究してるわけ? いい加減教えろよ」
だんだんと透き通っていく氷の外を見ると、吹雪は止んだようだった。
雪をかぶった黒い森が広がるばかりで、何も見えない。
誰も、何もいないように静かな世界に、オスカーの足音だけが響いた。
「ミッシャが知る必要はありません。あなたは魔力さえ渡してくれれば、それでいいんですよ」
肩に手を置かれ、身体が跳ねる。
なにをされるかよりも、なにを考えてるかわからないオスカーが、怖かった。
ごまかすようにミッシャは空笑いをして尋ねた。
「はは。世界でも滅ぼすつもりか?」
この30日で一回一回はわずかでも、相当量の魔力を蓄えているはずだ。
使った形跡は、ないとは断言できないが、足りないというのだから、使うことはないのだろう。
そう考えると、世界とは言わずとも、オスカーの魔術なら国を亡ぼすほどの量はあるはずだと、ミッシャは思った。
さすがにそんなことはしないだろうと、冗談のつもりで言ったが、今のオスカーは昔のオスカーとは違う。
もしそうならば、止めなければとも思ったが、オスカーはミッシャの身体に腕を回し、背後から抱きしめると頭をミッシャの肩に預けた。
「そんなものより、大事なものを守るためですよ」
それは、と聞き返そうとしたミッシャの身体はまた跳ねた。
今度は恐怖ではなく、確かな快感で。
回された手が、乳頭を刺激する。
こんなところで感じたくはないが、慣らされてしまった身体はあっという間に熱を持ち始めた。
声をかみ殺そうとして閉じた口がムリヤリ開かされ、指を突っ込まれた。
「んぐっ、ぅぇ、あ、ん、……」
奥に押し込まれた指が、喉をくすぐる。
気持ち悪さの先に、知りたくもなかった感覚にミッシャは気付いた。
――喉奥が、気持ちいいだなんて……。
自分の身体に裏切られた気分だ。
静かすぎる室内にはミッシャの息と水音が響いた。
氷の窓がまた曇っていく。
ぐったりしはじめたミッシャは壁に手を伸ばした。
何かを掴んでいないと、不安だった。
オスカーに塗り替えられていく身体は、もう自分のものではないような気さえしていた。
冷たいはずの壁は、熱くなった身体には心地よかった。
少しだけ冷静になったミッシャだったが、それは寝間着をめくられてあっという間に終わった。
ミッシャの口から離れたオスカーの指が、尻に触れる。
「……オスカー?」
「言ったでしょう? 快楽漬けにするって」
聞いたが、まさか……。
ぬるりとした指が入ってくる。
潤滑剤なく陰茎を押し込まれた時のような痛みは全くない。ないが、逆に指の感触がありありと伝わる。
ここは、痛いだけのはず。
そう思うのに、オスカーの指がぐるりと中で動くと、ミッシャは壁に爪を立てた。
「あなたが寝てるときに、俺が何もしてないと思ってました? ここも丹念に調べてあるに決まってるでしょう?」
「ひぅっ! おすか、ー、それ、やめ、……っん、あっ!」
探るようにして動いていた指がどこかに触れた。
ミッシャは逃げようとして身体を壁に近付けたが、今度は壁から逃げなければいけない羽目になった。
勃起していた陰茎が、冷たい壁に触れた。
せっかく離れたオスカーの指が、また内へと入っていた。
「自分で腰を動かして、いやらしいですね」
「ち、が……っ、ああっ、それ、やだ、ほんとに……やめろ、オスカーっ! ダメだ、ァッ……」
内から押されるだけで、ミッシャの陰茎が持ち上がり、鈴口から雫が零れ落ちた。
「よかったですね。父親としては失格でも、男としてはまだ、能力が、あるようで……」
「……おま、え……っくそ、あっあっ……っ」
「まぁ、尻を弄られて勃起たせるのが、男っていうかどうか……。いいんですよ? 自分で触っても」
首を振って拒絶をすると、オスカーがミッシャの手を掴んだ。
「自分で触れるのは嫌ですか? 俺に触ってもらいたいんですか?」
ミッシャは、迷った。
陰茎だって粘膜だ。何度、ここに触れてもらえばすぐに終わると思ったかわからない。
このまま、醜態をさらし続けるよりは、マシなんじゃないかと。
ミッシャは首をひねり、オスカーを見上げた。
「……触れ、っ――」
言い切る前にオスカーに口を塞がれ、陰茎を握られる。
両方から一度に魔力を奪わる。
くらりと意識が遠のく感覚と同時に、快感を味わって、ミッシャは射精と共にオスカーの腕へと倒れ込んだ。
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