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.女に襲われるなんて無理っ!絶対無理っ! 4

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 リノは突然、ムッチムチの豊満な胸の谷間に手を突っ込んで、なにかを取り出した。
 そこ、ポケットかなんかなの?
 びっくりしていたら「ここが一番安全だからね」って、ニヤリと笑った。

「これは、代々あたしら女の園が守り続けたモノだよ。まさかあたしの代でアンダーウォーカーが現れるとはね」
「これは? 手帳みたいだけど」

 差し出されたのは手のひらに収まるくらい小さな手帳。表面は革に見える。

「そう、手帳だよ。先代のアンダーウォーカー、ユウの手帳だ」
「それって二百年前の? 俺が見ていいの?」
「あんたに見せるために守ってきたんだ。読んでみな」

 渡された手帳は、かなりボロボロだ。
 慎重に一枚目を開く。
 印刷された文字はかなりかすれて、ところどころ消えているけど、なんとか読めたところを俺は声に出していた。

「……女学園生徒手帳」
「本当に読めるんだねぇ」
「これ、生徒手帳だよ! うわ、懐かしい。ここは校則かな。あ、校歌もある。海の近くの学校だったんだな」

 ほとんど消えかかっている文字を追う。たぶん神奈川かな。富士山が見える海がどうとか書いてある。湘南あたりかもしれない。
 俺は興奮を抑えながら、薄い紙をぺらぺらとめくっていく。

「あ、ここから手書きだ」

 手帳の半分くらいまでくると、小さな文字がぎっしり埋まっていた。

「何が書いてあるんだい?」
「かなり小さいし消えかけてるけど。えっと……わたしの名前は、立川友里たちかわゆうり、高校三年生の春、駅のホームから落ちてこの世界に飛ばされました……。異世界トリップというものなんでしょう。最悪……」

 あぁやっぱり、俺と同じだ! でも二百年前の人ってわけじゃなかった。俺と変わらない時代から落ちてきたんだ。
 元の世界とここでは、時間の流れが違うんだろうか?
 そこから先は俺と同じように、白い肌を持つアンダーウォーカーとして捕らえられたこと。チーダの首領に襲われたことが、うらみつらみも込められて書かれていた。
 俺なんかより、よほど辛いよな……。
 女の子で、しかもこの真面目そうな筆跡。
 おそらく処女で……。

「マナ様……? なにか悲しいことでも書かれていましたか?」

 心配そうなサイの声がした。
 俺は、自然と涙をこぼしていた。

「……アンダーウォーカーの言い伝え、だっけ? あれ文言直そうな? 手に入れるっていきなり襲ってくるなんて野蛮人のすることだよ」
「しかし、言い伝えは――」
「黙れ! そんなことして手に入るわけないんだよっ!」

 現に俺はハオのモノじゃない。
 ユウだって、この段階ではこのときの首領である男に憤慨していた。
 まったくバカげた話だ。
 百年に一度なんて言われてるけど、この先本当に来るかもわからない次のアンダーウォーカーが、傷つかないように、あんな言い伝え、俺が変えてやる。
 なんなら、ムリヤリ襲ったやつは絶対覇者にはなれないって付け加えてやる。

 ですが、とまだ言い募ろうとするサイを無視して俺は先を続けた。
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