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第22話 影狼との対峙
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環の墨染津への潜入と、その類稀なる能力は、朧を通じて墨染藩の影の統率者の耳にも届けられていた。その男の名は、影狼。墨爪組の頂点に君臨し、その存在は藩の最高幹部ですら一部しか知らぬ、まさに影そのものであった。彼は、常に白狼を模った面でその素顔を隠し、決して言葉を発することなく、ただ闇から闇へと動く。そして、黒曜頼胤の刃として、数多の敵を葬ってきた。朧が知の刃であるならば、影狼は武の刃。その実力は、一個人で一軍にも匹敵すると噂されるほどであった。その日、影狼は墨爪組の訓練場で、数人の上忍を同時に相手取り、木刀一本で赤子の手をひねるように打ち負かしていた。彼の動きには一切の無駄がなく、もはや武術というよりは、舞踊にも似た美しさすら感じさせた。そこに、朧からの急報が届けられた。影狼は報告書を一瞥すると、初めてその全身から、興味という名の熱気が立ち上った。
「面白い。その彩凪の鼠、生け捕りでは手ぬるい。俺が、直々にその牙を折ってやろう」
影狼は、側近にただ一言、そう伝えた。影の統率者が自ら動く。それは、墨爪組にとって最高位の警戒態勢が発令されたことを意味していた。墨染津の闇が、環を捕えるため、静かに、そして深くうねり始めた。
その夜、環は黒月庵への潜入を決行していた。料亭の豪奢な造りを逆手に取り、彼は屋根裏の複雑な梁を伝い、目当ての部屋の真上へとたどり着いた。床下の要所に仕掛けられた鈴を避け、特定の場所にだけ焚かれている香の匂いを乱さぬよう、慎重に気配を消す。息を殺し、屋根板の僅かな隙間から、階下の様子を窺う。部屋の中では、墨染藩の鎧武者然とした重臣たちが、酒を酌み交わしながら密談に興じていた。
「……水利権を巡る使節団は、もうじき彩凪へ到着する頃合いであろう。交渉は、必ず決裂させねばならん。それを開戦の口実とするのが、殿のご意向だ」
「案ずるな。彩凪の若き藩主は、人の良いだけの小童。揺さぶりをかければ、すぐに折れるわ。それに、我らには松平玄蕃殿という、強力な内通者もおられる」
「あの若造の義明も、父の玄蕃殿に似て、なかなか食えん男よ。巫女を手に入れるためなら、何でもするだろう」
「いざ戦となれば、玄蕃殿が城門の一つを内から開ける手筈となっておる。もはや、我らの勝利は揺るぎない」
聞き逃すことのできない情報であった。やはり、松平玄蕃が裏で糸を引いていたのだ。環は、その事実を脳裏に焼き付けた。しかしその瞬間、彼の背筋に、まるで氷の刃を突き立てられたかのような、強烈な悪寒が走った。殺気。これまでに感じたことのない、濃密で、純粋な殺意。
次の瞬間、環が潜んでいた屋根板が音もなく切り裂かれ、闇の中から銀色の爪のような暗器が彼の喉元へと迫った。環は、紙一重でそれをかわし、屋根を蹴破って外へと飛び出した。月明かりの下、屋根の上には、白狼の面をつけた、漆黒の装束の男――影狼が、音もなく立っていた。
「見つけ次第、殺せ!」
階下から重臣の怒声が響き、瞬く間に料亭の周囲は墨爪組の者たちによって完全に包囲された。環は、迷うことなく屋根の上を駆け出した。墨染津の入り組んだ町並みを舞台にした、絶望的な追跡劇の始まりであった。
環は、屋根から屋根へと、鳥のように軽やかに飛び移る。追う墨爪組の者たちもまた、常人離れした身のこなしで、壁を駆け上がり、正確に手裏剣を放ってくる。環は、それを刀で弾き、時には宙で身を翻してかわしながら、染物屋が並ぶ通りへと飛び降りた。夜風に揺れる色とりどりの布の間を駆け抜けるが、その布が、かえって追っ手の気配を隠す。環は、路地裏へと逃げ込み、夜鷹が客引きをするような歓楽街の雑踏に紛れ込もうとするが、墨爪組の連携は完璧で、すぐに包囲網が狭まっていく。
そして、ついに環は、町の外れにある古い橋の上で、進退窮まって足を止めた。彼の目の前には、黒く淀んだ川の流れ。そして、背後には、ゆっくりと間合いを詰めてくる、白狼の面の男の姿があった。
影狼は、言葉を発さず、ただ静かに環を見据えている。しかし、その面の下の瞳は、獲物を前にした飢えた獣のように、爛々と輝いていた。彼は、腰を低く落とすと、獣のような鋭い動きで、一瞬にして環との間合いを詰めてきた。手には、変幻自在に軌道を変える鎖鎌が握られている。
環は、父正宗から受け継いだ正統な剣技で、その攻撃を迎え撃った。鋼と鋼が激しくぶつかり合い、激しい火花を散らす。影狼の攻撃は、予測不能であった。鎖鎌による中距離からの攻撃に加え、懐からは毒針や煙玉、特殊な三日月形の手裏剣が、立て続けに繰り出される。それは、およそ人の動きとは思えぬものであった。影狼は、環の剣筋が正統派であることを見抜き、あえて型を崩すような変則的な攻撃で、精神的に揺さぶってくる。
環は、実戦で磨き上げた我流の剣を織り交ぜ、必死に応戦する。わざと隙を見せて攻撃を誘うが、影狼はそれすら読んでいたかのように軽々とかわす。橋の欄干を蹴って高く跳び、上空から斬りかかり、川の水を蹴り上げて相手の視界をくらます。
その瞬間、環は影狼の独特な体捌きと、暗器を構えるその型に既視感を覚えた。
「なぜだ……? この男の動きは、どこか……忘れ雪の里に伝わる古武術に似ている。だが、あの里の技は、自然と一体となるための守りの技。この男の技は、同じ源流から生まれながら、ただ人を殺すためだけに特化している! まるで、光と影だ」
その一瞬の思考の隙を、影狼は見逃さなかった。彼の蹴りが、環の脇腹に深々とめり込み、環は体勢を崩して橋の床に叩きつけられた。
「ぐっ……!」
口から血の混じった唾を吐き、環はそれでも立ち上がろうとする。影狼は、とどめを刺すべく、音もなく環に歩み寄った。絶体絶命。しかし、環は死を覚悟したその瞬間、最も冷静になっていた。彼は、倒れ込みながらも、隠し持っていた最後の切り札――源爺からもらった薬袋の中の、強烈な匂いを放つ薬草を、砂と共に相手の顔めがけて投げつけた。
予期せぬ目眩ましに、影狼の動きが一瞬止まる。その好機を、環は見逃さなかった。彼は、全身全霊の力を込めて、地面を滑るように踏み込み、下から上へと、渾身の斬り上げを放った。
ギィンという甲高い音と共に、影狼の白狼の面に、深い一筋の亀裂が走った。衝撃で面が僅かにずり上がり、その下から、片目と、血の気の失せた唇が、一瞬だけ月明かりに晒された。その目は、驚くほど若々しく、深い憎悪と、ほんの僅かな驚愕の色を浮かべていた。影狼は、苦悶ともとれる短い呻き声を上げ、後方へ大きく飛び退った。
そして、その白狼の面の下から、初めて言葉が漏れた。
「……貴様……何者だ……」
声は掠れていたが、聞くにやはり若者のものであった。影狼は、それ以上言葉を発することなく、懐から煙玉を取り出して地面に叩きつけると、濃い煙と共に、その場から忽然と姿を消した。
残された環もまた、満身創痍であった。脇腹の痛みは激しく、全身に無数の切り傷を負っている。彼は、その場に崩れ落ちそうになるのを必死で堪え、源爺の傷薬を傷口に塗り込みながら、辛うじてその場を離脱した。もはやこの墨染津で、これ以上の活動は不可能であると判断せざるを得なかった。重要な情報を得た代償は、あまりにも大きい。環は、傷ついた体を引きずりながら、再び彩凪への、遠く険しい帰路につくのであった。
「面白い。その彩凪の鼠、生け捕りでは手ぬるい。俺が、直々にその牙を折ってやろう」
影狼は、側近にただ一言、そう伝えた。影の統率者が自ら動く。それは、墨爪組にとって最高位の警戒態勢が発令されたことを意味していた。墨染津の闇が、環を捕えるため、静かに、そして深くうねり始めた。
その夜、環は黒月庵への潜入を決行していた。料亭の豪奢な造りを逆手に取り、彼は屋根裏の複雑な梁を伝い、目当ての部屋の真上へとたどり着いた。床下の要所に仕掛けられた鈴を避け、特定の場所にだけ焚かれている香の匂いを乱さぬよう、慎重に気配を消す。息を殺し、屋根板の僅かな隙間から、階下の様子を窺う。部屋の中では、墨染藩の鎧武者然とした重臣たちが、酒を酌み交わしながら密談に興じていた。
「……水利権を巡る使節団は、もうじき彩凪へ到着する頃合いであろう。交渉は、必ず決裂させねばならん。それを開戦の口実とするのが、殿のご意向だ」
「案ずるな。彩凪の若き藩主は、人の良いだけの小童。揺さぶりをかければ、すぐに折れるわ。それに、我らには松平玄蕃殿という、強力な内通者もおられる」
「あの若造の義明も、父の玄蕃殿に似て、なかなか食えん男よ。巫女を手に入れるためなら、何でもするだろう」
「いざ戦となれば、玄蕃殿が城門の一つを内から開ける手筈となっておる。もはや、我らの勝利は揺るぎない」
聞き逃すことのできない情報であった。やはり、松平玄蕃が裏で糸を引いていたのだ。環は、その事実を脳裏に焼き付けた。しかしその瞬間、彼の背筋に、まるで氷の刃を突き立てられたかのような、強烈な悪寒が走った。殺気。これまでに感じたことのない、濃密で、純粋な殺意。
次の瞬間、環が潜んでいた屋根板が音もなく切り裂かれ、闇の中から銀色の爪のような暗器が彼の喉元へと迫った。環は、紙一重でそれをかわし、屋根を蹴破って外へと飛び出した。月明かりの下、屋根の上には、白狼の面をつけた、漆黒の装束の男――影狼が、音もなく立っていた。
「見つけ次第、殺せ!」
階下から重臣の怒声が響き、瞬く間に料亭の周囲は墨爪組の者たちによって完全に包囲された。環は、迷うことなく屋根の上を駆け出した。墨染津の入り組んだ町並みを舞台にした、絶望的な追跡劇の始まりであった。
環は、屋根から屋根へと、鳥のように軽やかに飛び移る。追う墨爪組の者たちもまた、常人離れした身のこなしで、壁を駆け上がり、正確に手裏剣を放ってくる。環は、それを刀で弾き、時には宙で身を翻してかわしながら、染物屋が並ぶ通りへと飛び降りた。夜風に揺れる色とりどりの布の間を駆け抜けるが、その布が、かえって追っ手の気配を隠す。環は、路地裏へと逃げ込み、夜鷹が客引きをするような歓楽街の雑踏に紛れ込もうとするが、墨爪組の連携は完璧で、すぐに包囲網が狭まっていく。
そして、ついに環は、町の外れにある古い橋の上で、進退窮まって足を止めた。彼の目の前には、黒く淀んだ川の流れ。そして、背後には、ゆっくりと間合いを詰めてくる、白狼の面の男の姿があった。
影狼は、言葉を発さず、ただ静かに環を見据えている。しかし、その面の下の瞳は、獲物を前にした飢えた獣のように、爛々と輝いていた。彼は、腰を低く落とすと、獣のような鋭い動きで、一瞬にして環との間合いを詰めてきた。手には、変幻自在に軌道を変える鎖鎌が握られている。
環は、父正宗から受け継いだ正統な剣技で、その攻撃を迎え撃った。鋼と鋼が激しくぶつかり合い、激しい火花を散らす。影狼の攻撃は、予測不能であった。鎖鎌による中距離からの攻撃に加え、懐からは毒針や煙玉、特殊な三日月形の手裏剣が、立て続けに繰り出される。それは、およそ人の動きとは思えぬものであった。影狼は、環の剣筋が正統派であることを見抜き、あえて型を崩すような変則的な攻撃で、精神的に揺さぶってくる。
環は、実戦で磨き上げた我流の剣を織り交ぜ、必死に応戦する。わざと隙を見せて攻撃を誘うが、影狼はそれすら読んでいたかのように軽々とかわす。橋の欄干を蹴って高く跳び、上空から斬りかかり、川の水を蹴り上げて相手の視界をくらます。
その瞬間、環は影狼の独特な体捌きと、暗器を構えるその型に既視感を覚えた。
「なぜだ……? この男の動きは、どこか……忘れ雪の里に伝わる古武術に似ている。だが、あの里の技は、自然と一体となるための守りの技。この男の技は、同じ源流から生まれながら、ただ人を殺すためだけに特化している! まるで、光と影だ」
その一瞬の思考の隙を、影狼は見逃さなかった。彼の蹴りが、環の脇腹に深々とめり込み、環は体勢を崩して橋の床に叩きつけられた。
「ぐっ……!」
口から血の混じった唾を吐き、環はそれでも立ち上がろうとする。影狼は、とどめを刺すべく、音もなく環に歩み寄った。絶体絶命。しかし、環は死を覚悟したその瞬間、最も冷静になっていた。彼は、倒れ込みながらも、隠し持っていた最後の切り札――源爺からもらった薬袋の中の、強烈な匂いを放つ薬草を、砂と共に相手の顔めがけて投げつけた。
予期せぬ目眩ましに、影狼の動きが一瞬止まる。その好機を、環は見逃さなかった。彼は、全身全霊の力を込めて、地面を滑るように踏み込み、下から上へと、渾身の斬り上げを放った。
ギィンという甲高い音と共に、影狼の白狼の面に、深い一筋の亀裂が走った。衝撃で面が僅かにずり上がり、その下から、片目と、血の気の失せた唇が、一瞬だけ月明かりに晒された。その目は、驚くほど若々しく、深い憎悪と、ほんの僅かな驚愕の色を浮かべていた。影狼は、苦悶ともとれる短い呻き声を上げ、後方へ大きく飛び退った。
そして、その白狼の面の下から、初めて言葉が漏れた。
「……貴様……何者だ……」
声は掠れていたが、聞くにやはり若者のものであった。影狼は、それ以上言葉を発することなく、懐から煙玉を取り出して地面に叩きつけると、濃い煙と共に、その場から忽然と姿を消した。
残された環もまた、満身創痍であった。脇腹の痛みは激しく、全身に無数の切り傷を負っている。彼は、その場に崩れ落ちそうになるのを必死で堪え、源爺の傷薬を傷口に塗り込みながら、辛うじてその場を離脱した。もはやこの墨染津で、これ以上の活動は不可能であると判断せざるを得なかった。重要な情報を得た代償は、あまりにも大きい。環は、傷ついた体を引きずりながら、再び彩凪への、遠く険しい帰路につくのであった。
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