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第5話 箱の中身はなんだろな
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「で、ガラガラはこれから何すんの?」
「博士を戻す」
「博士を戻す?」
「ちょっと待ってて」
そう残して路地裏の奥へと向かっていったガラガラは、一つのアタッシュケースを手に持って戻って来た。
そして「博士」という単語を告げ、そのアタッシュケースを夢宙の眼前に差し出した。
「博士。戻らなくて困ったなー。戻し方、知らない?」
「え、最新の博士ってアタッシュケースに変身できるの?」
「そのような事例は報告されていない」
「じゃあ、博士の連絡先でも入ってる感じ?」
「博士が入ってる」
噛み合わない会話に、夢宙とガラガラは首を傾げ合う。
「確認なんだけど、博士って人間だよな……?」
「ゲラだという記録はない」
「機械でもない?」
「ない」
夢宙は顔を顰め、目の前のアタッシュケースを神妙な面持ちで見つめる。
「虫でもない?」
「ない」
「……ハムスターでもない?」
「ない」
「人間?」
「人間」
「てか博士って誰」
「俺を製造した人」
ガラガラの言葉から導き出される答えと、目の前のアタッシュケースの関係が結び付かず、夢宙は知恵熱が出そうになりながら思考した。
夢宙は難しいことがあまりわからない。
なので、このままアタッシュケースを眺めていても、おそらく正解は導き出せないだろう。
「あのさ……これ開けていい?」
我慢ならなくなった夢宙は、もう解答を見てしまおうと、アタッシュケースを指差してガラガラに確認を取る。
しかし、そんな夢宙にガラガラは、アタッシュケースをギュッと抱きしめ「ダメ」と表情を崩さずに告げた。
夢宙は絶望した。ラフな絶望である。
「嘘だろ⁉︎ こんなに気にならせといて⁉︎」
夢宙は、頭を抑えながら「思わせぶりかよ……!」と地面に向かって嘆いた。
「何が入ってんだ……」
「博士」
「もう答えは出てるのに……!」
正解はすぐそこにあったが、手が届くことはない。
仕方がないと諦め、夢宙は気を取り直してガラガラとの会話を再開した。
「……で、博士の戻し方を探したいって?」
「そう。俺が起きたときから、博士は眠ったまま」
「あぁ、へぇ。さいですか。んじゃ、まぁ起こし方を探すのは確定として、私って何すりゃいいんだ?」
「生きてる」
「そんな必要最低限なことあんの?」
(もしかして私、必要とされてない……?)と、夢宙がショックを受けているとはつゆ知らず、ガラガラは舌を出し何やら上に視線を向けている。
「何。なんか上にあんの」
「ある。けど、見えない」
ガラガラの言葉に釣られた夢宙が、同じように上を見上げる。
確かに何かある。暗い上に、かなり上空にあるため、物体の判断はできないが、何やら金色に輝く謎の飛行物体が見える。
「まさか、UFO……ってやつか?」
夢宙が未確認飛行物体の可能性を示唆していると、ガラガラの視線が上空の飛行物体から、後方へと移った。
夢宙とガラガラが最初に出会った方向だ。
もう誰もいないはずだが、夢宙の耳にも土を踏んで歩く足音が届いた。
ザッザッという、どこか圧を感じる音が近づくと、ガラガラからザーッというノイズ音のような音が鳴り始めた。
夢宙は「その音お前が出してたんだ」という言葉や「音圧対決でもしてんの?」という場違いだろうと思われる言葉を飲み込み、足音のする方向へ意識を集中させた。
「博士を戻す」
「博士を戻す?」
「ちょっと待ってて」
そう残して路地裏の奥へと向かっていったガラガラは、一つのアタッシュケースを手に持って戻って来た。
そして「博士」という単語を告げ、そのアタッシュケースを夢宙の眼前に差し出した。
「博士。戻らなくて困ったなー。戻し方、知らない?」
「え、最新の博士ってアタッシュケースに変身できるの?」
「そのような事例は報告されていない」
「じゃあ、博士の連絡先でも入ってる感じ?」
「博士が入ってる」
噛み合わない会話に、夢宙とガラガラは首を傾げ合う。
「確認なんだけど、博士って人間だよな……?」
「ゲラだという記録はない」
「機械でもない?」
「ない」
夢宙は顔を顰め、目の前のアタッシュケースを神妙な面持ちで見つめる。
「虫でもない?」
「ない」
「……ハムスターでもない?」
「ない」
「人間?」
「人間」
「てか博士って誰」
「俺を製造した人」
ガラガラの言葉から導き出される答えと、目の前のアタッシュケースの関係が結び付かず、夢宙は知恵熱が出そうになりながら思考した。
夢宙は難しいことがあまりわからない。
なので、このままアタッシュケースを眺めていても、おそらく正解は導き出せないだろう。
「あのさ……これ開けていい?」
我慢ならなくなった夢宙は、もう解答を見てしまおうと、アタッシュケースを指差してガラガラに確認を取る。
しかし、そんな夢宙にガラガラは、アタッシュケースをギュッと抱きしめ「ダメ」と表情を崩さずに告げた。
夢宙は絶望した。ラフな絶望である。
「嘘だろ⁉︎ こんなに気にならせといて⁉︎」
夢宙は、頭を抑えながら「思わせぶりかよ……!」と地面に向かって嘆いた。
「何が入ってんだ……」
「博士」
「もう答えは出てるのに……!」
正解はすぐそこにあったが、手が届くことはない。
仕方がないと諦め、夢宙は気を取り直してガラガラとの会話を再開した。
「……で、博士の戻し方を探したいって?」
「そう。俺が起きたときから、博士は眠ったまま」
「あぁ、へぇ。さいですか。んじゃ、まぁ起こし方を探すのは確定として、私って何すりゃいいんだ?」
「生きてる」
「そんな必要最低限なことあんの?」
(もしかして私、必要とされてない……?)と、夢宙がショックを受けているとはつゆ知らず、ガラガラは舌を出し何やら上に視線を向けている。
「何。なんか上にあんの」
「ある。けど、見えない」
ガラガラの言葉に釣られた夢宙が、同じように上を見上げる。
確かに何かある。暗い上に、かなり上空にあるため、物体の判断はできないが、何やら金色に輝く謎の飛行物体が見える。
「まさか、UFO……ってやつか?」
夢宙が未確認飛行物体の可能性を示唆していると、ガラガラの視線が上空の飛行物体から、後方へと移った。
夢宙とガラガラが最初に出会った方向だ。
もう誰もいないはずだが、夢宙の耳にも土を踏んで歩く足音が届いた。
ザッザッという、どこか圧を感じる音が近づくと、ガラガラからザーッというノイズ音のような音が鳴り始めた。
夢宙は「その音お前が出してたんだ」という言葉や「音圧対決でもしてんの?」という場違いだろうと思われる言葉を飲み込み、足音のする方向へ意識を集中させた。
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