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第二部 三章
第二十八話 現神の実
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「この先にブルートゥースのコロニーがある」
先を歩くイカルガは、木と木の間を見据えながら言った。
狩りの為に村から出て、おおよそ三十分くらいだろうか。
ミーミル達は森をひたすら歩き続けていた。
狩りに出なかったのはアヤメと寝込んだアベル、長老ククリア、セツカとリッカだけである。
パークスと部下の兵士が三人。
そして亜人種はイカルガを先頭にミョルド、ニニャ、他にも総勢十六人もの亜人種が狩りに同行していた。
かなりの大人数パーティだ。
獲物がかなり巨大らしく、人手がいるらしい。
しかし道中はシドのような魔物の襲撃もなく、実に平和なものであった。
「ブルートゥース?」
ミーミルは聞き慣れないが、聞き慣れた単語に首を傾げる。
何だか通信技術っぽい単語だ。
だがBluetoothはコロニーを作ったりしないので、また別だろう。
「ブルートゥースは青い牙を持つ大きな獣だ。群れない上に動きが単調で狩りやすい。あれを一人で倒して、初めて一人前と認められる」
そう言いながらイカルガは空を見上げながら歩く。
恐らくミーミル達に合わせて初心者向けの狩りをしてくれるのだろう。
「へー、パークスは知ってる?」
「現神の森のみに生息する化け物ですね。正面からやり合えば十人近い兵士が必要になるでしょう。ジェノサイドより巨大です。まあ危険度はジェノサイドよりはマシですが」
パークスは空を見上げながら言う。
「それ全然初心者向けじゃないよな?」
「根本から身体能力が違いすぎるのです。彼女達が言う『楽』は、私たちにとって『死』と思って貰えば間違いありません」
「大げさだな」
パークスの言葉にイカルガは笑う。
だがパークスは全く笑っておらず、大げさでも何でもないという事を表情で語っていた。
「亜人種の方は、身体能力だけでなく法術の素養も非常に高いのです。同じ法術でも、威力は大幅に差が出ますからね……」
パークスの部下が空をにらみながら言う。
「法術適性も上なのか。人類が亜人種に勝てる気がしないな」
「ですが様々な物に対する知識は人の方がずっと上ですからね。私たちは金属を精錬したり、加工する方法も分からないのです。この金属の武器も、全てパークス様との交易で得たものなのですよ」
「だったら技術を習得したら、もう世界征服できるんじゃないか?」
「ふふ、出来るかもしれませんね」
ミーミルの突飛な提案に、ミョルドは笑みを浮かべながら答える。
だが割とミーミルは本気であった。
人が勝てる要素が思いつかない。
身体能力、法術適性は完全に上回っている。
動物のように知能が大きく劣っていれば、知恵で身体能力差を覆せるだろう。
だが亜人種が人に比べ、知能が劣っているようには思えない。
明確に勝っているとすれば、数だけだ。
それも亜人種が人間と同数まで増えれば、人の世界は丸ごとひっくり返るだろう。
「ですが、我々はこの森が好きですので」
「外の世界は様々な物があるのだろうが、森にいても十分に手に入るしな。お前たちのおかげで」
「観光くらいは行ってみたいですけど……住んだりはしないと思います」
ミョルド、イカルガ、ニニャの三人は口々に世界征服を否定する。
「欲が無いんだな。例えば、今より広い世界を手に入れたい、みたいな思いは無いのか」
「人は皆そんな風に考えているのか?」
「……うーむ」
イカルガの言葉にミーミルは冷静になる。
広い土地を手に入れた所で、ミーミルにはただ面倒くさいとしか思えなかった。
世界征服には程遠い、アイリス帝国の中だけでもゴタゴタしているのに、これが世界となると、もっとゴタゴタするはずだ。
「でもないな。色々と面倒臭そうだ」
「そうだろう。森で生活できれば、それで十分だ」
「今回の交易の件も、お互いに楽が出来るようにする為ですしね」
「なるほどなぁ」
ミョルドとイカルガの言葉に、ミーミルは納得したように頷く。
亜人種の歴史は長い。
どうやって、いつ頃に生まれたのか?
その辺はまだ解明されていないが、少なくとも千年以上前の古い書物には獣のような人間の存在が残されているらしい。
それなのに表舞台に殆ど名前が出ていないのは、きっと欲が無いからなのだろう。
基本的に寝ているオルデミアの授業だったが、亜人種である自分に関わる事柄だけは、ちゃんと聞いていた。
「……ふむ」
ミーミルは空を見る。
空にあるのは木漏れ日を作る葉と、巨大な枝のみだった。
「さっきから気になってたんだが、どうして空を見上げてるんだ?」
「ああ、そうですね。説明していませんでした」
パークスは空を見るのを止め、ミーミルに向き直った。
「実は現神の実というのを探しているのです」
「……ほー」
知っていたが言っていなかった情報だった。
現神の力を宿した実。
それがもし現神触の原因となるものだったら――。
とても危険な事にパークスが加担している事になる。
それならば止めねばならない。
アヤメはミーミルに、そう伝えていた。
そして『その言葉が出てくるまで、こちらから現神の実について聞いてはいけない』とも言われていた。
もし隠すようなら、その実を邪な事に使おうとしている証明となる。
「で――その現神の実ってのは、どういう物なんだ?」
だが自分から情報を晒してくれるならば、大丈夫のはずだ。
大丈夫であって欲しい。
そう想いを籠めながら、ミーミルはパークスに質問してみた。
「非常に危険な実です。それを食べれば、現神から恐るべき力が得られます。ですが、その力に耐えられず、理性を失った怪物と化してしまうのです」
「……それって、もしかして現神触みたいなモンか?」
「そうです。お察しの通り、現神触が発生する原因となっています」
「それを探してどうするつもりなんだ?」
「封印するんですよ」
ミョルドは空――いや、木の幹を見ながら言った。
「百年に一度の周期で、この現神の森には現神の実がなります。それはこの森のどこに出てくるのか分かりません。それを見つけて神護者に奉納するのです」
「ふーん……」
「神護者の方々だけでは、現神の森を探しきる事はできません。だから神護者の方は、現神の森に暮らす亜人種の各部族達に、協力をお願いしているそうです。その見返りとして、神護者の方々は、森に降りかかる災いを取り除いてくれるのです」
「方々って事は、神護者って複数いるのか?」
「全部で六人いらっしゃいます。現神の森を六つのエリアに分割し、それぞれに分担して危機を監視しておられます」
どうやら現神の実について、隠すつもりはないようだった。
しかも封印するつもりなら安心できる。
少なくとも悪用しようとはしていない。
とりあえずミーミルは、ほっと胸を撫で下ろす。
「しかしどこに実がなるか分からんってのは困ったもんだな。見つける前に、その辺の動物か食べちまうんじゃないか?」
「その心配はありませんよ。現神の実は銀色の、非常に硬い実です。しかも果実は虫もつかない程に不味いらしいのです」
「じゃあ食べようと思う動物はいないって事か」
「知性のある生き物以外は食べようとしません。食べようとするのは、その実に食料以外の価値を見出せる生き物だけでしょうね」
「実がなる時期は基本的に百年周期ですが、四、五年の誤差があります。それも余計に見つけ辛くなっている理由です」
ミョルドとパークスは木の枝を眺めながら言った。
「何かキリがないな」
「ですが残しておいていいモノでもありませんので、やはり封印を――」
ミョルドの耳が、ぴんと立った。
「何か生き物が近くにいますね」
「ブルートゥースか?」
ミーミルは腰の剣に手をかける。
「いえ、違いますね。この小ささは……恐らくパロックですね」
「パロック?」
ミョルドが木々の向こうを指差す。
その先には小さな人間がいた。
だが姿は歪で両手両足が体と同じくらいの大きさがある。
ディフォルメをかけた人間のような姿だった。
体は緑色をしていて、手には粗末な棒きれを持っている。
何より人と違うのは、頭に大きな単目しかついていない事だった。
「何だあのキモいの」
「現神の森、全域に生息する亜人種ですね。臆病な性格ですが、群れを成すと少し面倒です」
「仲間……じゃなさそうだな」
「そうですね。人というより動物に近いです。会話も出来ませんし、意思疎通も取れません」
「何かゴブリンをもっと頭悪くしてモノアイにしたみたいなだな……」
「ごぶりん?」
「あ、いや。こっちの話だ。で、アレはどうするんだ?」
「パロックは食料にもなりませんので、追っ払います」
ミョルドの指先に、小さな光の玉が出現する。
「光霊烈」
言葉と共に放った光の玉は、ふわふわとパロックの方へと飛んでいく。
程なく光の玉はパロックの視界に入った。
パロックは光の玉を見ると、ゆっくりと近づき、手にした棒で光の玉をつついた。
パンッ!
その瞬間、音を立てて光の玉が破裂する。
同時にフラッシュがたかれたように辺りを光が満たした。
パロックは驚いたのか、慌てて森の奥へと走り去って行った。
「これで大丈夫です。下手に殺すと仲間が臭いで集まってくるので」
そう言ってミョルドは笑みを浮かべる。
「今の簡単にやってますけどコントロール物凄く難しいですからね……」
「やるなぁミョルド。鮮やか」
パークスの言葉にミーミルは笑顔で賛辞を送った。
昨日、宣戦布告した相手に、素直に褒められるのは何とも複雑な気分だった。
まあ本人は完全に覚えていないので、気に病む必要は全くないのだが――。
何だか空回りしているような気がしてならない。
ミョルドは耳の後ろを掻く。
「えと、じゃあ先に進みましょうか。ミーミル様」
「おう!」
ミョルドの言葉に、ミーミルは威勢の良い返事を返すのだった。
「この先がブルートゥースのコロニーです」
「……」
ミーミルは眉間に皺を寄せる。
歩き始めて、おおよそ四十五分程だろうか。
ミーミル達はようやく、ブルートゥースのコロニー前に到着していた。
していたのだが。
現神の森の木は非常に巨大である。
幹の直径が二メートルを超える木も珍しくない。
高さに至っては下手なビルより巨大だ。
その木が何十本も倒され、折り重なり、バリケードの様相を呈していた。
「こんな事が出来る奴を狩るつもりなのか」
「だから言ったでしょう。彼女の『楽』私達の『死』だと」
ミーミルの質問に、パークスは顔を引きつらせながら答えた。
先を歩くイカルガは、木と木の間を見据えながら言った。
狩りの為に村から出て、おおよそ三十分くらいだろうか。
ミーミル達は森をひたすら歩き続けていた。
狩りに出なかったのはアヤメと寝込んだアベル、長老ククリア、セツカとリッカだけである。
パークスと部下の兵士が三人。
そして亜人種はイカルガを先頭にミョルド、ニニャ、他にも総勢十六人もの亜人種が狩りに同行していた。
かなりの大人数パーティだ。
獲物がかなり巨大らしく、人手がいるらしい。
しかし道中はシドのような魔物の襲撃もなく、実に平和なものであった。
「ブルートゥース?」
ミーミルは聞き慣れないが、聞き慣れた単語に首を傾げる。
何だか通信技術っぽい単語だ。
だがBluetoothはコロニーを作ったりしないので、また別だろう。
「ブルートゥースは青い牙を持つ大きな獣だ。群れない上に動きが単調で狩りやすい。あれを一人で倒して、初めて一人前と認められる」
そう言いながらイカルガは空を見上げながら歩く。
恐らくミーミル達に合わせて初心者向けの狩りをしてくれるのだろう。
「へー、パークスは知ってる?」
「現神の森のみに生息する化け物ですね。正面からやり合えば十人近い兵士が必要になるでしょう。ジェノサイドより巨大です。まあ危険度はジェノサイドよりはマシですが」
パークスは空を見上げながら言う。
「それ全然初心者向けじゃないよな?」
「根本から身体能力が違いすぎるのです。彼女達が言う『楽』は、私たちにとって『死』と思って貰えば間違いありません」
「大げさだな」
パークスの言葉にイカルガは笑う。
だがパークスは全く笑っておらず、大げさでも何でもないという事を表情で語っていた。
「亜人種の方は、身体能力だけでなく法術の素養も非常に高いのです。同じ法術でも、威力は大幅に差が出ますからね……」
パークスの部下が空をにらみながら言う。
「法術適性も上なのか。人類が亜人種に勝てる気がしないな」
「ですが様々な物に対する知識は人の方がずっと上ですからね。私たちは金属を精錬したり、加工する方法も分からないのです。この金属の武器も、全てパークス様との交易で得たものなのですよ」
「だったら技術を習得したら、もう世界征服できるんじゃないか?」
「ふふ、出来るかもしれませんね」
ミーミルの突飛な提案に、ミョルドは笑みを浮かべながら答える。
だが割とミーミルは本気であった。
人が勝てる要素が思いつかない。
身体能力、法術適性は完全に上回っている。
動物のように知能が大きく劣っていれば、知恵で身体能力差を覆せるだろう。
だが亜人種が人に比べ、知能が劣っているようには思えない。
明確に勝っているとすれば、数だけだ。
それも亜人種が人間と同数まで増えれば、人の世界は丸ごとひっくり返るだろう。
「ですが、我々はこの森が好きですので」
「外の世界は様々な物があるのだろうが、森にいても十分に手に入るしな。お前たちのおかげで」
「観光くらいは行ってみたいですけど……住んだりはしないと思います」
ミョルド、イカルガ、ニニャの三人は口々に世界征服を否定する。
「欲が無いんだな。例えば、今より広い世界を手に入れたい、みたいな思いは無いのか」
「人は皆そんな風に考えているのか?」
「……うーむ」
イカルガの言葉にミーミルは冷静になる。
広い土地を手に入れた所で、ミーミルにはただ面倒くさいとしか思えなかった。
世界征服には程遠い、アイリス帝国の中だけでもゴタゴタしているのに、これが世界となると、もっとゴタゴタするはずだ。
「でもないな。色々と面倒臭そうだ」
「そうだろう。森で生活できれば、それで十分だ」
「今回の交易の件も、お互いに楽が出来るようにする為ですしね」
「なるほどなぁ」
ミョルドとイカルガの言葉に、ミーミルは納得したように頷く。
亜人種の歴史は長い。
どうやって、いつ頃に生まれたのか?
その辺はまだ解明されていないが、少なくとも千年以上前の古い書物には獣のような人間の存在が残されているらしい。
それなのに表舞台に殆ど名前が出ていないのは、きっと欲が無いからなのだろう。
基本的に寝ているオルデミアの授業だったが、亜人種である自分に関わる事柄だけは、ちゃんと聞いていた。
「……ふむ」
ミーミルは空を見る。
空にあるのは木漏れ日を作る葉と、巨大な枝のみだった。
「さっきから気になってたんだが、どうして空を見上げてるんだ?」
「ああ、そうですね。説明していませんでした」
パークスは空を見るのを止め、ミーミルに向き直った。
「実は現神の実というのを探しているのです」
「……ほー」
知っていたが言っていなかった情報だった。
現神の力を宿した実。
それがもし現神触の原因となるものだったら――。
とても危険な事にパークスが加担している事になる。
それならば止めねばならない。
アヤメはミーミルに、そう伝えていた。
そして『その言葉が出てくるまで、こちらから現神の実について聞いてはいけない』とも言われていた。
もし隠すようなら、その実を邪な事に使おうとしている証明となる。
「で――その現神の実ってのは、どういう物なんだ?」
だが自分から情報を晒してくれるならば、大丈夫のはずだ。
大丈夫であって欲しい。
そう想いを籠めながら、ミーミルはパークスに質問してみた。
「非常に危険な実です。それを食べれば、現神から恐るべき力が得られます。ですが、その力に耐えられず、理性を失った怪物と化してしまうのです」
「……それって、もしかして現神触みたいなモンか?」
「そうです。お察しの通り、現神触が発生する原因となっています」
「それを探してどうするつもりなんだ?」
「封印するんですよ」
ミョルドは空――いや、木の幹を見ながら言った。
「百年に一度の周期で、この現神の森には現神の実がなります。それはこの森のどこに出てくるのか分かりません。それを見つけて神護者に奉納するのです」
「ふーん……」
「神護者の方々だけでは、現神の森を探しきる事はできません。だから神護者の方は、現神の森に暮らす亜人種の各部族達に、協力をお願いしているそうです。その見返りとして、神護者の方々は、森に降りかかる災いを取り除いてくれるのです」
「方々って事は、神護者って複数いるのか?」
「全部で六人いらっしゃいます。現神の森を六つのエリアに分割し、それぞれに分担して危機を監視しておられます」
どうやら現神の実について、隠すつもりはないようだった。
しかも封印するつもりなら安心できる。
少なくとも悪用しようとはしていない。
とりあえずミーミルは、ほっと胸を撫で下ろす。
「しかしどこに実がなるか分からんってのは困ったもんだな。見つける前に、その辺の動物か食べちまうんじゃないか?」
「その心配はありませんよ。現神の実は銀色の、非常に硬い実です。しかも果実は虫もつかない程に不味いらしいのです」
「じゃあ食べようと思う動物はいないって事か」
「知性のある生き物以外は食べようとしません。食べようとするのは、その実に食料以外の価値を見出せる生き物だけでしょうね」
「実がなる時期は基本的に百年周期ですが、四、五年の誤差があります。それも余計に見つけ辛くなっている理由です」
ミョルドとパークスは木の枝を眺めながら言った。
「何かキリがないな」
「ですが残しておいていいモノでもありませんので、やはり封印を――」
ミョルドの耳が、ぴんと立った。
「何か生き物が近くにいますね」
「ブルートゥースか?」
ミーミルは腰の剣に手をかける。
「いえ、違いますね。この小ささは……恐らくパロックですね」
「パロック?」
ミョルドが木々の向こうを指差す。
その先には小さな人間がいた。
だが姿は歪で両手両足が体と同じくらいの大きさがある。
ディフォルメをかけた人間のような姿だった。
体は緑色をしていて、手には粗末な棒きれを持っている。
何より人と違うのは、頭に大きな単目しかついていない事だった。
「何だあのキモいの」
「現神の森、全域に生息する亜人種ですね。臆病な性格ですが、群れを成すと少し面倒です」
「仲間……じゃなさそうだな」
「そうですね。人というより動物に近いです。会話も出来ませんし、意思疎通も取れません」
「何かゴブリンをもっと頭悪くしてモノアイにしたみたいなだな……」
「ごぶりん?」
「あ、いや。こっちの話だ。で、アレはどうするんだ?」
「パロックは食料にもなりませんので、追っ払います」
ミョルドの指先に、小さな光の玉が出現する。
「光霊烈」
言葉と共に放った光の玉は、ふわふわとパロックの方へと飛んでいく。
程なく光の玉はパロックの視界に入った。
パロックは光の玉を見ると、ゆっくりと近づき、手にした棒で光の玉をつついた。
パンッ!
その瞬間、音を立てて光の玉が破裂する。
同時にフラッシュがたかれたように辺りを光が満たした。
パロックは驚いたのか、慌てて森の奥へと走り去って行った。
「これで大丈夫です。下手に殺すと仲間が臭いで集まってくるので」
そう言ってミョルドは笑みを浮かべる。
「今の簡単にやってますけどコントロール物凄く難しいですからね……」
「やるなぁミョルド。鮮やか」
パークスの言葉にミーミルは笑顔で賛辞を送った。
昨日、宣戦布告した相手に、素直に褒められるのは何とも複雑な気分だった。
まあ本人は完全に覚えていないので、気に病む必要は全くないのだが――。
何だか空回りしているような気がしてならない。
ミョルドは耳の後ろを掻く。
「えと、じゃあ先に進みましょうか。ミーミル様」
「おう!」
ミョルドの言葉に、ミーミルは威勢の良い返事を返すのだった。
「この先がブルートゥースのコロニーです」
「……」
ミーミルは眉間に皺を寄せる。
歩き始めて、おおよそ四十五分程だろうか。
ミーミル達はようやく、ブルートゥースのコロニー前に到着していた。
していたのだが。
現神の森の木は非常に巨大である。
幹の直径が二メートルを超える木も珍しくない。
高さに至っては下手なビルより巨大だ。
その木が何十本も倒され、折り重なり、バリケードの様相を呈していた。
「こんな事が出来る奴を狩るつもりなのか」
「だから言ったでしょう。彼女の『楽』私達の『死』だと」
ミーミルの質問に、パークスは顔を引きつらせながら答えた。
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