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文野妃波の知らない話。
しおりを挟む『昨日都内で歩行者と車の接触事故がありました。これにより都内に住む文野妃波さんが死亡しました。車を運転してたと見られている石川とも容疑者が逮捕されました。目撃者の証言を元に警察はひき逃げも視野に入れて捜査しているとのことです。次のニュースです』
「これうちの会社の文野さんですよね?」
「ああ」
「石川もうちの社員だった」
「…やっぱり本当だったんだ…」
「え?本当って何が??」
「石川さん、文野さんのこと妬んだって話ですよ…」
「嘘だろ?あんなに仲良かっただろう?文野も石川もそんな素振り見せたことなかっただろう?」
「課長、文野さんのファンクラブ知ってます?」
「ああ、なんか入ってるやついるな」
「あれ、創立者は石川さんですよ…文野さんに気がある人に声かけて入らせてるんですよ?」
「ただのファンクラブだろ?お金巻き上げてるわけじゃあるまいし」
「巻き上げてますよ…年会費取って、勝手に文野さんの写真をファンクラブに送ってファンクラブの決まりで文野さんには最低限の接触しかしないと約束させて…文野さんには黙ってファンクラブ立ち上げたみたいですし、年会費は石川さんの手の中に消えていったみたいですよ」
「は?そんな話あるわけ…」
「私の元彼氏がファンクラブに入っててその相談受けてました。内容も全て本当ですよ」
「……まじか」
「うそ…」
「お前それは警察に言うべきじゃないのか?」
「もう警察はわかってると思いますよ。携帯調べてこの会社にも取り調べしにくるのではないのですかね?」
「このことを知らない文野は石川を友達と思ったまま死んだんだな…
幸せなのか…それとも…」
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