指切りの彼

藤咲 ふみ

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夏休みと初めてのお客さん。

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 八月、始まった夏休みは店番や、近所の子を連れて遊びに行くことに使っていたら、特に何もなく終わった。

 そして今は八月末、もうすぐ高校一年生の 夏休みが、終わろうとしていた。

 今日もいつも通り、花屋の店番をしていた。そこへ、突然聞き慣れた声がした。

「はーなやさん?花束一つ下さい!」

 それは

「柊?」

 僕は驚いて、少し大きな声を出してしまった。

「ビックリした?つか⋯元気してた?夏休み、全然会わなかったけど?」

 それに僕は、久しぶりの柊にちょっぴり照れながら

「うん⋯元気、だったよ!柊は?柊は夏、元気だった?」

 その質問に

「おう!勿論!夏祭り行ったり、電車で隣町行ったり、楽しかったよ!お前も誘いたかったけど⋯携帯電話の番号とか何も知らなかったから、誘えなかった!お前携帯電話持ってる?持ってたら今度学校で連絡先教えろ!」

 と柊は自分の携帯電話を出して相変わらずの、やんちゃそうな笑顔を見せた。
 僕は携帯電話を持っていた。高校の入学祝いに買ってもらったんだ。だから、連絡先を聞かれたのがとても、嬉しかった。

「うん!僕携帯電話持ってる!待ってね⋯今アドレスと電話番号、メモするから⋯」

 僕がそう言ってメモ帳に書いていると、柊が言った。

「蓮って、綺麗な字、書くよな⋯羨ましい!俺字、下手くそだから!お前って、綺麗で丁寧なヤツだよな!」

 そう言ってきっと、いつもみたいに笑っているんだと思った。

「はい!書けた!これ、僕の連絡先!気が向いた時に連絡して!」

 僕がそのメモを柊に渡すと、柊は

「ありがとう!なんだ、夏休み前に貰っときゃ良かった!そしたら色々誘えたのにな!でも⋯これでこれからは誘い放題だな!家帰ったらメール送るな!」

 それに僕は、ドキドキする。

 柊からメールが来る⋯ドキドキする。

 と、その時、柊は何をしに来たのか気になる。

「そう言えば柊は⋯さっき花束買いに来たって言わなかった?」

 それに柊は、照れくさそうに頭をかいて

「ああ⋯今日さ、母さんの誕生日なんだ!だから花束でも買ってこうと思って⋯いい感じに包んでよ!」

 と、まだ照れくさそうに笑っていた。

「そうなんだ!柊のお母さん、おめでとうございます!えっと⋯今父さん呼んでくるね!」

 僕が部屋の奥にいる父さんを呼びに行こうとすると、騒ぎに気付いた父さんが顔を出した。

「あっ、蓮のお友達!もしかしてお花、買いに来てくれたの?」

 父さんの笑顔の質問に、柊は

「はい!今日母さんの誕生日なんです!あの、蓮に、花束包んで貰うことってできますか?」

 それに父さんは笑って

「こいつまだ下手っぴだけど、それでも良ければ⋯どうぞ!」

 と僕の背中を叩いた。

「えっ、父さん!困るよ!僕まだ本当に練習途中だから⋯全然上手くできないよ⋯父さんがやってあげてよ!」

 それに柊が

「俺は蓮に包んで欲しいの!蓮の作った花束、母さんに渡したいの!ダメ?」

 と言われた⋯なんだかそのねだるような視線に負けて、腕まくりした。

「じゃ、じゃあ⋯柊のお母さんは、何色が好きですか?」

 その質問に、柊は

「そうだな⋯王道でピンクかな?可愛いのが好きだな!」

 と答えた。

「じゃあ、花束に込めたいメッセージなどはありますか?」

 それに柊は少し考えてから

「うーん⋯『いつもありがとう』とかかな?」

 と微笑んだ。
 それを聞いた僕は、ピンクのバラを中心に花束を作った。可愛らしく、華やかに⋯ピンクのバラの花言葉は『感謝』だから!

 そしてある程度花束がまとまると、柊に聞く。

「こんな感じで、どうでしょうか?ピンクのバラを中心にまとめてみました!ピンクのバラの花言葉は『感謝』なので⋯『いつもありがとう』の気持ち、伝わると思います!」

 その僕の言葉と、まとめた花束に、柊は

「スゲー、とっても素敵だよ、蓮!これ母さん絶対喜ぶ!これで包んで下さい!お願いします!」

 と、ニッコリ笑って、頭を下げた。
 僕はその言葉を聞いて、笑って

「 はい!では⋯これで綺麗にお包します!」

 と、綺麗な包装紙などを使って、花束を包んでゆく。そして最後に花束に合わせた、濃いピンクのリボンを巻いて結ぶと、少し不格好だけれど、僕の生まれて初めての花束が完成した!
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