指切りの彼

藤咲 ふみ

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いよいよ始まった高校一年生の文化祭。初めて見る君の歌う姿は⋯

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 そして迎えた当日、僕らはクラスごとにデザインして注文した、ポロシャツに着替えた。僕らのクラスは、『不思議の国のアリス』をイメージした、水色のポロシャツに、黒のハートやスペードなどのトランプの柄がプリントされた可愛らしいデザインだった。
 それに着替えると、体育館に行って、開会の言葉を待った。

 校長先生の開会の言葉を聞くと、僕らの文化祭の幕が上がった!
 廊下中あちこち、客引きをする賑やかな声が溢れかえる。
 その中を、僕らも自分の迷路も客引きをする。
 僕と柊は午前が当番だった。柊は午後はバンドのライブ演奏に行くと言っていた。
 迷路の中で最後の整備をしていたら、柊に言われた。

「なぁ、蓮⋯俺達のバンドだけじゃないけどさ、今日の午後のライブ、聴きに来てよ!」

 それに僕はニッコリ笑って頷く。

「うん!勿論行くよ!楽しみ!」

 って!
 それに柊は、嬉しそうにしていた。
 それから僕らは午前中、迷路の中、ヒントを出したり、壊れた箇所の補修をしたり、時々客引きに外に出たりした。

 楽しいな!文化祭って、こんなに楽しいんだね!本当にお祭りだね!

 その時、午前の部が終わって、午後の部の人との交代の時間がやってきた。
 僕は自由になった時間、約束した通り、柊のライブを見るために、人で賑わう視聴覚室に向かった。

 柊が出るということもあり、視聴覚室には女の子がたくさんいた。その中を、僕はできるだけ舞台近くに寄れるように頑張った!
 知らない他学年や同学年のバンドを幾つか見送った後、遂に次は柊の『ピンキーソーイング』の出番となる!
 僕はドキドキしながら待っていた。
 と、激しくギターをかき鳴らしながら、柊が現れると、女子が黄色い悲鳴を上げる。

「キャー!柊!」

 って。
 その時歌い出した柊の歌は、全く知らない歌だったけれど、歌う柊は兎に角活き活きしていて、かっこよかった!

 ねぇ、柊、柊はいつでもとびきりかっこいいね!本当に、キラキラしてるね!

柊⋯
「柊!素敵ー!」

 僕は思い切り笑って、叫んだ!
 その時、舞台上の柊と、目が合った気がした。きっと気のせいだけど。
 そのまま柊はたくさんの女子の悲鳴に囲まれて、演奏を終えると、舞台袖に履けていった。

 僕は『ピンキーソーイング』の演奏が終わってからも、その場に残って、他のバンドの演奏を楽しんだ。なんかどのバンドも、一生懸命でかっこよかった。
 と、突然耳元で囁かれた。

「そんなに他のバンドも熱心に見られると⋯嫉妬しちゃうな?」

 って。
 振り返ると、それは演奏を終えた柊だった。

「しゅ⋯」

 柊?と言おうとした途端に、柊に口を塞がれた。そして、視聴覚室の雑踏の中、柊に手を引かれて、走り出した!

「あー、走った!ここまで来れば大丈夫だろ!」

 柊が息切れしながら、僕に言う。
 僕も息切れしながら

「疲れた⋯うん、柊、すごい人気だもんね⋯ここまで来れば、もう大丈夫だよ!」

 と笑った。

「なぁ、俺になんか叫んだろ!なんか⋯ありがとな!嬉しかった!」

 それに僕は照れる。

「いや⋯その⋯なんか⋯見てたらなんか⋯叫びたくなっちゃって⋯!柊、凄くかっこよかったから!恥ずかしいや!」

 そんな僕の頭を、柊はくしゃくしゃと撫でた、やんちゃな笑顔で。
 そんな僕らは、僕がいけた花を見に行った。
 僕は今年、綺麗な青い花を中心にいけた。この街の、青い海をイメージした、綺麗ないけ花。
 それに柊は、とても綺麗だと言って、笑った。

「お前、綺麗だな、心。このいけ花は、お前の、蓮の心だろ?綺麗だな!いいな、お前の心の綺麗さ、俺はよく知ってるよ!お前は綺麗な、人間だ!」

 その時、僕は心臓を、柊に素手で掴まれたような衝撃を受けた。

 ねぇ、柊、ありがとう!僕にそんな価値を見出してくれて⋯ありがとう!僕とても

「嬉しい!そんなに褒められて、僕、照れくさいけど、とっても、嬉しい!ありがとう!」

 僕らは少しの間黙って、僕のいけ花を見ていた。
 気付いたらもう文化祭一日目は残り数分になっていた。

「一日目、もう終わるね!楽しかったね!」

 僕が言うと、柊も幸せそうに頷いた。

「ああ、楽しかった!また明日もあると思うと、ワクワクするな!」

 柊はそう言って、やんちゃそうに笑った。

 そんな僕らは、一日目終了の知らせを聞いて、一旦教室に戻ると、壊れた箇所の修正などして、それぞれ家に帰って行った。
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