指切りの彼

藤咲 ふみ

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高校一年生のクリスマス。一緒に過ごしたい気持ちは届くのか?

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 文化祭が終わり平穏を取り戻した学校は、驚く程のスピードで日々過ぎてゆき、いつの間にか涼しい秋を迎えたかと思うと、あっという間に冬の気配を感じ出した。
 潮風が冷たい。もうすぐ本格的な冬が、やって来る。

 カレンダーは早くも残りの一枚、つまり十二月になり、僕はコートにマフラーを巻いて学校に行くようになった。

 そんな学校では、早くもクリスマスをどう過ごすかで、みんな盛り上がっていた。

「恋人いないヤツみんなでカラオケ集まって、パーティーしようぜ!」

 柊が楽しそうに提案すると、みんなそれに盛り上がる。
 僕はそれを見つめて微笑んだ。

「なぁ、蓮も来るよな?」
 柊が言う。
 それに、僕はちょっぴり寂しく首を振る。

「ごめんね、クリスマス、花屋忙しいんだ!手伝わなきゃ!」

 それに柊はなんかつまんなそうに

「そう、なんだ⋯でも、ちょっとでもいいからさ、来れそうなら来いよな!」
 と言ってくれた。

 それからも日々はどんどんと流れ、テストなんかも終えると、いよいよクリスマスがやって来る。
 花屋はクリスマス、ポインセチアの売り出しに一生懸命だ!僕はそれを手伝っていた。
 今年のクリスマスも、そんな風に過ごすのだと、思っていた。いたのだけど⋯父さんに言われた

「お前、友達と約束とか、あるだろ!花屋は気にしないで行きなさい!楽しい青春、過ごせって、いつも言ってるだろ!ポインセチアは大人になったら売れ!青春は今しかないんだから、走れ!ほら!」

 その言葉に、僕は荷物を持って走った。柊に電話をかけながら。

「どうした、蓮?仕事、抜けられそうか?」

 それに僕は

「今、向かってるんだ!何号室?」

 会いたかった。柊と一緒に過ごしたかった。本当は本当は、とっても、柊とクリスマス、一緒に、過ごしたかったんだよ!

 その時、カラオケの外で手を振る人が見えた。それは

「柊!」

 僕が言うと、電話口で柊が笑った。

「蓮、みーっけ!」

 って。
 僕らは寒い冬の空気の中、笑い合って、カラオケの中に入っていった。
 そこでみんなで楽しく歌って騒いだ。

「そうだ!みんなに頼まれてた写真、現像できたよ!今出すから待ってね!」

 インスタントカメラを常に持っていた女子が、この前欲しい写真一枚十円で現像してあげるから選んで!と言っていたのを、今日持ってきてくれたらしい!僕はそれにワクワクする。

「はい!これ田畑くんの、で、これ柊の!二人ツーショット多かったよ!仲良しだね!」

 その子はニッコリ笑って、封筒に入った写真を渡してくれた。
 僕らはそれを受け取ると、中を開ける。それは一年生の初めから、今までを辿る、素敵な写真の数々だった。そして本当に

「俺らツーショットばっかだな!」

 と柊がやんちゃそうに笑った。

「ね、僕ら同じ写真いっぱい持ってるね!」

 僕らは手の中で広げた写真に笑う。僕はそれが照れくさかったけれど、嬉しかった。たくさんの時間を、柊と過ごしたということだから。

 ねぇ、柊、もしもいつか僕が想い出になっても、その写真を見たら、懐かしいなって、僕を想い出してね!

 その時、見回りの先生が来て、僕らのクリスマスパーティーはあっさり解散となった。

「なんだよーつまんねぇの!」

 柊が本当につまんなそうに、唇を尖らせている。
 その時、僕はあって思って、さっきの写真から一枚出して笑った。

「なんだよ?蓮?何笑ってんだよ?」

 それに僕は、その写真を見せた。
 それに柊も笑顔になる。

「これって、体育祭の打ち上げの時の写真だよな?これ、俺らよく笑ってていい写真だな!」

 それに僕も頷いて微笑む。

「うん!とってもいい写真!ありがとう、柊!」

 その写真は柊が僕の肩に腕を回して、二人笑う、いい写真だった。
 一生大事にしようと、思った。きっとこの恋は叶わないから、この写真はせめて、大切な想い出にしようと、思った。

 それから僕らはメリークリスマス!と言って、お互いの素敵なクリスマスを祈りあって別れた。

 家に帰ると、家はまだポインセチアやクリスマス用の花束を買い求めるお客さんで少し賑わっていた。
 その中を僕もエプロンを付けて、手伝う。

「もういいのか?みんなでクリスマス?」

 父さんに聞かれて

「うん!素敵なプレゼントも貰えたし、もう十分、楽しんだよ!ありがとう!」

 それに父さんは、嬉しそうに微笑むと、一緒に接客をした。

 そして、その日は営業時間を大幅にオーバーして営業して、店を閉め、僕は部屋でゆっくり写真を見た。どれもこれも、想い出深い、素敵な写真ばかりだった。

「どの写真も、僕いい顔してる!」

 僕はそれを抱いて、幸せにベッドに寝転ぶと、気が付いたら朝を迎えていた。

「幸せな、クリスマスだったな!」

 僕は目が覚めて、ニッコリ笑って、たくさんの想い出を拾い上げた。
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