指切りの彼

藤咲 ふみ

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いよいよ始まった二人三脚!だけど突然のハプニングが⋯!

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 女子が柊の登場に、黄色い悲鳴を上げた!
 毎年凄いな、柊は!
 僕はそれに笑う。

「なーに笑ってんだよ?」

 柊が僕の肩を引き寄せてやんちゃに笑う。

「自分だって、笑ってんじゃん!」

 それに柊は

「なんだ、このこの!絶対一位、とるかんな!約束!」

 柊が僕の目の前に小指を差し出して、真面目な声で言った。
 それに僕も

「うん!絶対!約束!」

 そう真面目に言って、柊の小指に自分の小指を絡めた!
 順番が段々と迫ってくる。でも不思議と怖くはなかった。なんだかとても、ワクワクした。柊と走るのが、ワクワクしてたまらなかった!

 遂にスタート地点に立った。

「落ち着いて、いつも通り行こうぜ!」

 柊に言われて、僕は深呼吸する。

「うん!大丈夫!僕らなら行ける!」

 スタートの合図がかかった!僕らはせーの!と声をかけて、一歩ずつ歩を進めた。
 とても気持ち良かった。風を切って、柊と一つになって走るのは、とても気分が良かった!

 僕らは一位だった!

 みんなそれに大きな歓声を上げた!
 その時だった!順調だったリズムが、突然乱れ、僕達は転んだ。
 すぐに起き上がろうとした。けれど、柊を見たら、足首を捻ったようで、とても痛がっていた!

「柊!大丈夫?先生呼ぼう!僕、運んであげるから!足、解くね!」

 その時、柊が痛がりながらも、その手を止めた!

「やめろ!最後まで、走るぞ、蓮!」

 僕はその柊の言葉に、心配だったけれど、柊が立ち上がるのを待った。
 その頃もう他の団は、ゴールしてしまっていた。

 放送が言う。

「トップを走っていた黄色団が、突然転んでまだ起き上がれません!大丈夫でしょうか?」

 その時、柊がゆっくり立ち上がった!そして、言った。

「いくぞ!せーの!」

 それに合わせて、僕はゆっくりと、走り出す。ゆっくりとだけど、着実にゴールに向かって、走り出した!
「柊、大丈夫?」

 それに柊は

「ああ、痛いけど、なんとか平気!」

 放送が話し出した。

「今黄色団が、ゆっくり走り出しました!皆さん声援をお願いします!」

 僕らには、団を関係なく、温かな声援が送られた!

 頑張れ!頑張れ!

 って。
 それがなんか照れくさいけど、嬉しかった。
 僕らはゆっくりと、一歩一歩、噛み締めるように走った。

「ねぇ、柊、僕、ずっと覚えとくね、この瞬間の一歩一歩!凄く素敵な一歩だから!柊、僕と走ってくれて、ありがとう!」

 そう言った瞬間、僕らはゴールラインを切った!

「なんだよ!照れんじゃんか!こちらこそ、お前が相方で良かったよ、ありがとな!」

 柊が僕に言い返した。
 僕らはゴールに倒れ込んで、二人で抱き合った。

 そんな僕らには、グラウンド中からの温かな拍手が降り注いだ。僕らはそれに、照れて笑った。

 ねぇ、柊、僕一生忘れないよ、この時見た空の青さも、君の瞳の美しさも、寝転んだグラウンドの砂の感触も、大袈裟じゃなくて、絶対に、一生、忘れない!

 その後柊はすぐに体育の教師に運ばれて、保健室に連れて行かれた。僕はそれに着いて行った。

「あー、完全に捻挫、しちゃってるね!痛かったでしょ?よく最後まで走ったね?」

 保健室の先生が、褒めてるんだか、呆れてるんだか、柊に言った。そして、手早く手当をしてくれた。

「はい!固定したから、これで動かさなければ、一週間くらいもしたら良くなるでしょう!いい、今日はもう走ったらダメよ!分かった?」

 それに柊はシュンとして

「⋯はい⋯」

 と答えていた。
 僕は手当の終わった柊に肩を貸して、ゆっくり応援席まで帰った。
 その途中、柊が僕に謝った。

「ごめんな、蓮⋯一位とろうって約束したのに⋯俺、転んで⋯捻挫までして⋯俺かっこ悪!」

 それに僕は微笑んだ。

「やっと柊が、人間らしくなった!柊、今まで完璧過ぎ!これ位ないと、不公平だよ!だから⋯謝らないで!柊は最後まで走って、それだけで十分、かっこよかった!みんなの拍手、独り占めしたんだよ、僕ら!それって一位より凄いや!」

 ニッと笑った僕に、柊は

「お前⋯なんか⋯スゲームカつく!走れるようになったら覚えとけよ!⋯でも、ありがとな!やっぱお前と、走ったの蓮とで良かった!お前、優しいから!ありがとう!蓮!」

 そう言うと、いつも通りのやんちゃな笑顔を見せた。
 僕はそれに安心して、ニッコリ笑った。
 応援席のみんなの元に着くと、みんな柊の足を心配した。
 柊は

「大丈夫だよ!捻挫しちゃったけど、問題ない!でも⋯リレー走れないや!悪いな!」

 と頭をかいた。
 そんな黄色団はなんと今青団まであと数ポイントまでと迫り、あと少しで抜きそうだった!

「黄色団、頑張ってるな!俺、応援頑張る!」

 柊はそう言うと、黄色団に大きな声で声援を送っていた。
 そんな僕達は、そろそろ午前最後の大勝負、クラス全員リレーに出場する!
 これに勝てば、青団を抜けるかもしれない!頑張らないと!
 僕はそう思いながら、招集がかかったリレーに向かった。
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