指切りの彼

藤咲 ふみ

文字の大きさ
24 / 40

高校二年生の文化祭。君は素敵なロミオ。

しおりを挟む
  夏休みが明けた。
 毎年ながら僕らは戻って来た日常に戸惑う。
 
でもそんな中でも、文化祭に向けての準備が本格化するから、ある意味日常ではないのかもしれない。
 
今年僕らのクラスはミュージカルで『ロミオとジュリエット』の一部分をやることになっているから、準備は結構大変だと思う。僕らはできるだけ早めから準備を開始した。
 ダンボールなどで、各シーンの絵などを描いて、できるだけ再現してゆく。
 
 僕は『ロミオとジュリエット』を理解するために、近所の本屋に行って、『ロミオとジュリエット』の翻訳本で一番分かりやすそうなのを選んで、買って読んだ。
 
 肝心の配役だが、柊はなんとロミオの一人に選ばれた!まぁ、当然と言えば当然だけど。因みに僕はセット担当で、当日もセット転換や、小道具などの受け渡しなどの担当をする。
 
 そんな僕らのミュージカルは、セットの絵の作成から、演者のミュージカルシーンなどの練習も合わせ、順調に進んでいた。

「柊、ロミオ凄いね!かっこいいね!」

 それに柊はとても照れていた。

「なんか⋯押されて引き受けちまったけど⋯俺でいいのか?大丈夫か?」
 それに僕は強く頷く。

「ピッタリだよ!柊のロミオ、みんな目当てで見に来るよ!歌が上手くて、かっこいいなんて、柊がロミオをやらなかったら誰がやるんだよ!」

 真剣に言った僕に柊は益々照れていた。

「 はいはい!あんがとね!ロミオ頑張るよ!」

 って。
 柊は大変そうだった。ロミオのミュージカルの歌に、『ピンキーソーイング』のバンドの練習にと。
 僕は少し心配だった。
 でも柊は、半端なもん見せらんないからな!と、僕に笑った。
 
 それからも僕らのセットの準備や、ミュージカルの練習の日々は続き、段々形になってゆく。
 僕はそれが日々、楽しかった。
 
 他のクラスも、他の学年も、みんな噂してた。柊がロミオをやるって。きっと柊がロミオをやる回は、たくさんの人が押し寄せるんだろうなと、思った。そんなことを思いながら、一つ一つのセットを心を込めて、作った。
 
 そんな文化祭も、あと数日と迫って来た。セットは殆ど仕上がった。
 一度通しで練習をした。それは、とても素敵なミュージカルだった!柊のロミオはとても歌が上手く、かっこよかった!

「いい感じ!交代して、B班もやってみよ!」

 そんな感じで、僕らのクラスのミュージカルはとても素敵なできだった!
 あとは演劇部に衣装を借りて、当日を待つのみとなった。

「柊!柊のロミオ、凄い素敵だった!特にバルコニーの、『どうしてあなたはロミオなの?』ってやる名シーン、最高!歌になってるからまた違った魅力があって、たまんないよ!きっと柊目当てにたくさんの人、来ちゃうだろうな⋯整理券とか、配んないとかな?」

 それに柊が

「蓮は?蓮はセットの下でちゃんと見てくれる?俺のロミオ、当日ちゃんと、見てくれる?」

 と真顔で言った。
 僕はそれにとてもドキドキして

「も、勿論、一番の特等席で見るよ!セットの下!だから⋯柊、ロミオ頑張って!僕、柊の一番のファンだから!ね?」

 それに柊は

「ファン、か⋯ありがとう!俺、頑張って一番かっこいいロミオ、演じるよ!見てろよ、セットの下で!」

 といつもみたいに戻って、やんちゃに笑った。
 僕はそれに安心して、うんうん!と頷いて、笑った。
 柊はその後また『ピンキーソーイング』の練習に行ってしまった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

消えることのない残像

万里
BL
最愛の兄・大貴の結婚式。高校生の志貴は、兄への想いが「家族愛」ではなく「恋」であったと、失恋と同時に自覚する。血の繋がりという境界線、そして「弟」という役割に縛られ、志貴は想いを封印して祝福の仮面を被る。 しかし数年後、大貴の息子が成長し、かつての兄と瓜二つの姿となったとき、止まっていた志貴の時間は歪な形で動き出す。 志貴(しき):兄・大貴に長年片思いしているが、告げることなく距離を置いていた。 大貴(だいき):志貴の兄。10歳年上。既婚者で律樹の父。無自覚に人を惹きつける性格。志貴の想いには気づいていない。 律樹(りつき):大貴の息子。明るく素直だが、志貴に対して複雑な感情を抱く。

好きです、今も。

めある
BL
高校の卒業式に、部活の後輩・安達快(あだち かい)に告白した桐越新(きりごえ あらた)。しかし、新は快に振られてしまう。それから新は大学へ進学し、月日が流れても新は快への気持ちを忘れることが出来ないでいた。そんな最中、二人は大学で再会を果たすこととなる。 ちょっと切なめな甘々ラブストーリーです。ハッピーエンドです。

僕の恋人は、超イケメン!!

八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

【完結】恋した君は別の誰かが好きだから

海月 ぴけ
BL
本編は完結しました。後日、おまけ&アフターストーリー随筆予定。 青春BLカップ31位。 BETありがとうございました。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 俺が好きになった人は、別の誰かが好きだからーー。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 二つの視点から見た、片思い恋愛模様。 じれきゅん ギャップ攻め

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

ひとりも、ふたりも

鈴川真白
BL
ひとりで落ち着く時間も、ふたりでいる楽しい時間も両方ほしい 1人を謳歌するマイペース × 1人になりたいエセ陽キャ

処理中です...