指切りの彼

藤咲 ふみ

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初めてのデート?イルミネーションの中で見たそれぞれの未来に涙が止まらない切ないクリスマス。

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 そして、テストや色々なことを終えると、楽しみにしていた柊とイルミネーションを見に展望台に行く日。僕は寒いから厚着をしないとだけど、オシャレもしたくて、着る服を真剣に悩んだ。

「僕、あんまりセンスないからな⋯」

 柊は歩いてるだけで絵になるような、かっこいい子だ。少しでも釣り合うように、せめて格好だけでもオシャレにしたかった。

 そんな僕は約束の少し前に、待ち合わせ場所に着いて、柊の来るのを待った。
 柊はただの黒のダウンで来た。けれどそれすらもオシャレに見えた。

「悪い!待たせた!」

 柊が走った場所は、なんだかキラキラして見えた。きっと幻覚だけど。

「ううん、僕もさっき来たところ!ここ、登ってくの?」

 僕が聞くと、柊が頷く。

「キラキラしてて、綺麗だろ?」

 それに僕は笑って頷く。
 そこは人が結構いる、光が溢れる場所だった。

「こういう観光地って、地元住んでるとなかなか来ないよな!」

 柊が照れたように、光の中、笑った。
 「確かに、スルーしがちかも!でも登ると綺麗なんだよね?」

 僕らは光溢れる展望台の下を、ゆっくり歩きながら、展望台の中を目指した。

「柊はさ、大人になったら何になりたいとか決めた?」

 僕のその質問に、柊は

「全然、決めてない!普通に会社で働くんじゃないかな?蓮は?花屋?」

 それに僕はそっと頷いた。

「家の花屋を、継ごうと思ってる!柊は都内で就職するの?」

 展望台を彩る光が、僕の瞳の中で揺れる。なんで揺れるんだろう?それは⋯涙が溜まってるからだよ?

「どうした、蓮?なんか、悲しそう⋯俺、蓮の傍にいるよ!大丈夫だ!おいで!」

 柊が両手を広げた。
 僕はその腕の中で、何が悲しいのか、声を上げて泣いた。

 いつかは、失くす温もりだと、知っていた。知っていたから、柊の腕の中があったかくて、もっと悲しくなった。

 ねぇ、柊、僕らはいつか、離れ離れになるね?それがとっても、悲しんだよ。

「蓮、笑って!二ーって!ほら、楽しいよ!この展望台からはさ、俺達の暮らす街、マルっと見えるんだぜ!だから⋯行こ!」

 柊が優しく僕に語りかける。
 それが優しくて、嬉しかった。

「ごめん⋯泣いたりして!なんか、綺麗過ぎて、泣いちゃった!これからもっと綺麗なもの見たら、もっと泣いちゃうかも⋯どうしよう⋯!」

 それに柊が

「そしたら⋯また泣いたらいいよ!その時はまた、俺が受け止めるから!」

 それに僕は微笑んで、僕らはまたゆっくり歩き出した。
 展望台に登ると、本当に僕らの街が一望できた!

「わー、綺麗!僕らの高校、こっちかな?ねぇ、この光ってみんなみんな、誰かの生活する光なんだよね⋯みんな生きてるんだね!あっ、みんな、メリークリスマス!」

 僕がそう言って元気に笑うと、柊は優しく僕の頭を撫でた。

「お前、元気になり過ぎ!まぁ、良かったけど!そうだな!みんな、メリークリスマス!だな!」

 そう言って僕らは微笑み合った。
 そんな僕らはなんとなく手を、繋いでいた。なんか、繋いでいていい気がした。
 そのまま僕らは展望台を一周回ると、下に降りて、またイルミネーションの中を歩いた。
 そして、取り留めのないことを、話した。楽しかったこと、面白かったこと、いっぱいいっぱい。

 そして光で胸がいっぱいになった頃、ゆっくり家に向かって歩いた。
 もう柊も僕も、将来の話はしなかった。したらいけない気がした。いつかは離れることを、お互い知っていたから。だから、それは言ったらダメなんだって、思った。

 やがていつも通りの僕の家の前辺りに着くと、僕らはそっと、手を離した。

「今日は、楽しかったよ!泣いたりして、困らせてごめんね!でも⋯綺麗なものが見られて、幸せだったから、大丈夫だよ!ありがとう、柊!」

 僕が柊に手を振ると、柊も笑って手を振った。

「おう!泣き出した時はどうしようかと思ったけど⋯嫌な想い出にならなくて良かった!楽しかったな!こういうのもたまにはいいな!また行こうぜ!じゃあな、蓮!」

 そう言って白い息を吐いて歩き出した柊に、僕はずっと手を振った。

 ねぇ、柊、柊、ありがとう、言えないし、言わないけど、僕柊が、大好きだよ!

 切ない気持ちで手を振る僕に、柊は決して振り返らなかった。
 でもそれで良かった。それでも良かった。それでも僕は、柊が、大好きだった。
 そんな気持ちで、柊の手を握り続けた手を見つめた僕は、幸せに微笑んだ。
 そんな高校二年生のクリスマスの夜。
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