指切りの彼

藤咲 ふみ

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高校最後の体育祭打ち上げ。二人きりの線香花火と帰りたくない夜。

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 そして昼食休憩を挟んで、応援合戦が始まる!僕らは楽しく音楽に合わせて、練習したダンスを踊って盛り上げる。
 クラスの応援団長の柊が振る旗が、美しく、華やかで、とても素敵だった。

 ふと、この光景も今年で見納めだと思ったら、なんか切なくなった。
 でもそんな切ない気持ちでいる場合ではない!午後の競技が始まってしまう。
 僕らはそれを、精一杯応援する!

 青団は依然としてトップを守っており、午後の競技でも着実に二位との差を引き離していった。

 そして迎えた、最後の競技、選抜リレー。
 僕ら青団は脚力自慢達を、応援した!
 各クラスの団長が、旗を振る!その姿が、とても美しく、かっこいい!とても素敵な眺めだった。
 心に焼き付けようと、思った。一生の想い出に、心に刻もうと思った。この美しい、旗のはためく光景を。そして、その一つを握って笑う、愛おしい彼の姿を。
 そして僕は応援をする。

「青団、いけー!」

 青団はその応援で、トップを走った!走って走って、走り抜けた!その姿は、とても美しかった!青春の瞬き。きっとみんな、そう呼ぶんだと思った。

 青団がトップでゴールテープを切ると、僕らはそれに歓声を上げて、お揃いで巻いていた青いハチマキをとって、空高く投げた!

 閉会式、僕ら青団は優勝だった!それに僕らは抱き合って喜んだ!

 そんな僕らは、みんなで教室で優勝を祝ってパーティーをした!賑やかに、笑って笑って、兎に角楽しく。

 そして時間が来ると先生に追い出され、僕らは場所を海岸に移して、花火をした。
 みんなで手持ち花火をして、盛り上がる!追いかけっこしたり、静かに眺めたり。
 終わることを知っていた。これが最後だと、みんな知っていた。だから、目いっぱい楽しんだ。切ないけど、目いっぱい、楽しんだ。

 やがてみんな解散する。

「優勝おめでとう!」

 って言い合って。

 その後も僕と柊は、二人海岸に残って、二人きり手を繋いで、笑い合って、ゆっくり僕の家の前の防波堤まで歩いた。

「なぁ、今日帰んなきゃダメ?」

 柊がねだるように、僕の瞳を覗き込む。
 僕はそれにドキドキする。

「ダメ、だよ⋯お家の人、心配する⋯」

 波音が、静かな中に響く。

「一晩くらい、大丈夫だよ!俺、蓮と一緒にいたい⋯」

 それに僕は

「ダメ!そういうのは⋯もっと大人になったら!でも⋯僕もまだ、一緒にはいたい、かな?」

 それに柊は嬉しそうに僕に抱きついて、やんちゃに笑う。

「じゃあさ、じゃあさ、線香花火!やろうぜ!何回戦も、やろうぜ!」

 それに僕は、微笑んで頷く。
 柊が、可愛くて仕方がなかった。とってもとっても、可愛くて、仕方がなかった。

 それから僕らは、線香花火に火をつけては、勝っただの、負けただの騒いで、夜を過ごした。

 結局数を数えていなかったから、どっちが多く勝ったのか、分からず終いになってしまったけど、二人で夜の海、線香花火してる時間が楽しかったから、なんだって良かった。

「線香花火、終わっちゃったな⋯じゃあ、今日は帰るか!楽しかったな!蓮!また⋯遊ぼうな!いっぱいいっぱい、遊ぼうな!」

 柊のその言葉に、僕はニッコリ笑って頷く。

「うん!いっぱい遊ぼう!約束!」

 珍しく僕から差し出した小指に、柊は嬉しそうに自分の小指を絡めた。

「約束!」

 って、やんちゃに笑って。
 僕らはそこで、バイバイって言って、別れた。柊がずっと手を振ってた。なんか変な感じ。
 でもこれが付き合うってことなんだって思った。そしたら照れた。

 これからいっぱい遊んで、大学で離れても僕達ならなんとかなると、思っていた。楽しいことばかりが待っていると、思っていた。この時は確かに、思っていた。
 そんな高校生活最後の体育祭の夜のことだった。
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