指切りの彼

藤咲 ふみ

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夏休み終わり、気軽に参加した肝試しで起きたハプニング。すれ違う僕らは⋯

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 それからの夏休みの日々は、勉強や店番、近所の子と遊ぶことと、時々柊と一緒に取り留めのない話をしたりして過ごした。

 柊は今年の文化祭、バンドの練習がとても忙しそうだったから、あまり一緒にいられる時間はなかった。でもその限られた時間、僕らは目いっぱい楽しんだ。話した内容とかは、特に覚えてはいないのだけど、一度会えば日が暮れるまで、僕らは海で遊んで、最後はいつも僕の家の前の防波堤で、沈みゆく夕日を切ない気持ちで眺めた。

 柊も僕も、友達の頃と何が変わったのか分からない程に自然に、関係を育んでいた。それがなんか、とても心地良かった。たまに柊にギュッと抱き締められると、ちょっぴり照れたけど、それもなんか幸せだった。

 そんな日々の中、柊が夏休みの終わり頃、軽音部の部員で夜の学校で肝試しするから蓮も来いよと、誘ってくれた。僕はそれに、ドキドキした。
 だって夜の学校なんて、入るの初めてだったから。

 僕らはもう夏休みも終わるという八月の終わりの夜、学校にこっそり集まって、二人一組になって真っ暗な学校を回った。

 僕は柊と、ペアだった。

「柊、なんか⋯本物、出たりしないよね?」

 怖がる僕に柊は

「さぁ、出る時は出るかもな?」
 と笑った。

「もう!やめてよ!」

 僕が怒ると、柊はやんちゃに笑った。
 その時物音がして、人の声がする。

「おい!誰か入り込んでるな?」

 それは、見回り当番の先生の声だった!僕らはそれを幽霊より怖がって、逃げた。そして、柊が手招きした教室に入ると、更に狭いどこかに入る。それは

「視聴覚室の中にある機材室!ここなら多分大丈夫だ!」

 柊はそう言って、やんちゃに笑った。
 そのうち先生の声は遠ざかって行った。

「あーっ、怖かった!」

 僕が言うと、柊が笑って、僕の頭をポンッと叩いた。

 その時、僕は柊ととても近くにいることに気付いてドキドキした。
 夏の蒸し暑い空間の中で、好きな人と二人きり⋯なんか途端に緊張した。

 すると、柊はなんだか真剣な顔してる。そして僕をギュッと抱き締めると、顔をグッと近付けて、僕達は初めてのキスをした。

 その時、外を僕らを心配した他の軽音部の子達が探す声がした。
 僕はそれに慌てて、思わず柊を思い切り押しのけてしまった。

 だって、みんなの人気者の柊が、僕となんか付き合ってるって周りに知れたら、柊に申し訳ないと、思ったから。
 でもその時、押しのけた時の柊の顔を見たら、柊はとても、悲しそうな顔をしてた。
 僕はそれに慌てて

「柊、あの、違う!嫌とかじゃなくて⋯その⋯突然だったから、驚いて!だから⋯」

 その時、軽音部の部員達が機材室を開けて僕らを見つけると

「おい!先生まだ歩いてる!早く出るぞ!」

 と、僕らを急かした。
 僕は柊にちゃんと自分の想いを伝えられなかった。そのまま僕らはその日言葉を交わすことなく、別れた。

 ねぇ、柊、ごめんね。僕、バカで、柊のこと傷つけて、ごめんね。でも、ああする他思いつかなかったんだ。
 そして、僕の夏休みは、終わった。
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