指切りの彼

藤咲 ふみ

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高校最後の文化祭の終わりとすれ違い続ける僕たち。

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 それからも柊達は何曲かオリジナル曲を演奏して、会場は大いに沸いたけど、僕は何をどうしたらいいのか、サッパリ分からなかった。
 柊が何を考えているのか、サッパリ分からなかった。

 そして気が付いたら、『ピンキーソーイング』の単独ライブは終わっていた。

 僕はその場からヨロヨロと歩いて、放心状態のまま自分のいけた花の前に行った。
 今年のいけ花は黄色い十五本のバラ⋯実は十五本のバラの花言葉は、「ごめんなさい」なんだ!だから、いけ花でごめんなさいを柊に伝えようと思った。でも、柊はもう、許してはくれないのかな?

 泣きそうに、なった。でも我慢した。だって、もし柊がここに来ちゃったら、困らせちゃうから。

 でもそんな心配はなかった。柊は待っても、ここに来ることはなかった。

 そのまま文化祭一日目はあっさり幕を閉じた。

 でも帰りに柊に会って、曲の感想を聞かれた。
 それに僕は

「とっても綺麗な、曲だったよ!」

 と微笑んだ。
 それに柊は、喜んでいた。
 でも、なんでお別れの歌なのかは、怖くて聞けなかった。

「僕帰るね!」

 僕はまた柊から、逃げた。走って、逃げた。そして家の前の防波堤で、柊との楽しい想い出の詰まった防波堤で、声を上げて泣いた。

 それでも文化祭二日目はやって来て、僕らはその日も一緒に当番をこなして、今日は午後単独ライブではなかったけれど、柊はやっぱり最後のライブに走って行った。でも僕はその柊を、追いかけなかった。その日午後僕は、友達同士で文化祭を回って過ごした。
 また聴くのが、嫌だった。『指切り』聴くのが、嫌だった。

 僕が来なかったことに気付いていた柊は、その日の終わり、閉会式後、僕に言った。

「なんでライブ、来てくんなかったの?」
 って。
 それに僕は

「最後の、文化祭だったから⋯回りたかっただけだよ!昨日、柊のライブは堪能したから!」

 と誤魔化した。
 でも柊は納得してないって顔してた。
 それでも過ぎてしまったものは仕方がないよね?そんなこと言ったら柊も、僕のごめんなさいのいけ花、見てくれなかったじゃん?

 そんな僕らは殆ど口もきかずに、花火の時間を迎えた。
 毎年あんなに心踊ったカウントダウンも、今年はする気が起きずに、僕らは黙りこくった。

 そのうち空に大きな音と共に、花火が弾けて咲いた。でもなんか、あんまり綺麗だって、思えなかった。

 なんかつまんないね。

 ねぇ、柊、柊は僕とのこと、もう終わりにしたい?咲く時は綺麗な花火みたいな僕達だったけど、散る時は呆気ないね?

 そんな柊の読めない心に、なんかちょっぴり切なくなって、もうすぐ僕の、高校生活最後の文化祭は終わろうとしていた。心に大きなしこりを残して。
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