ファーストバレンタインの恋は溺愛される~営業部エースの年下後輩に、地味三十路は甘やかされる~

金色葵

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ファーストバレンタインの恋は溺愛される、これからもずっと。

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「ん……」

カーテンの隙間から、差し込む陽の光に目を覚ます。閉じそうになる瞼をこじ開け、時計を見ると、いつも家を出る時間を過ぎていた。

「会社っ‼ ……って今日は休みか……」

慌てて飛び起きようとするが、今日が休日なことを思い出してホッと息を吐いた。

「わっ……」

すると、ぐいっと体を引っ張られた。あっという間に逞しい胸の中に抱き込まれる。

「どこ、いくんですか?」

太一を腕に抱き込んで、和眞が口を尖らせた。目の前に端正な男前の顔が広がって息を飲む。

(そうだ俺……昨日有坂と……)

激しい行為を思い出し、太一は頬を染める。それと同時に、自分と和眞は両想いで、晴れて昨日結ばれたことも思い出して、ふふと頬を緩めた。

「どこにも行かないよ」

拗ねるような顔が子供みたいで、こういう表情をしていたら、和眞も年相応に見える。こんな部分も見せてくれるようになった和眞に、太一は嬉しさを感じた。

宥めるように頭を撫でると、心地よさそうに和眞が息を吐く。だけど次の瞬間、イタズラっぽく笑った。

「ちゃんと捕まえとかないと、淀さん俺を置いていっちゃうから」
「有坂……!」

初めての時、先にホテルから出たことを言われる。

「そのことはちゃんと説明しただろ……もう……いい加減許してくれ」

弱り切って太一は小さくなる。すると和眞にギュウッと抱きしめられた。

「すみません淀さんが可愛くてつい……」
「な……」

しれっと可愛いと言われて顔が赤くなる。太一の反応に和眞が頬を緩めた。

「とっくに許してます」

そう言って和眞が、チュッと太一の瞼に口付けた。

「ん……」

優しい感触に、とろんと瞳が蕩けドキドキと胸が高鳴る。太一は見惚れるように和眞を見つめた。
好きだと顔に書いてある、分かりやすい太一に、和眞は堪らないというように息を飲む。

「ね……明日も休みですし、これから俺の家きません?」
「いいのか?」
「もちろん」

和眞の家という魅力的過ぎるお誘いに、太一は二つ返事で頷いた。

「一日中いちゃいちゃしましょ」
「っ……」

囁かれた言葉に、頬が赤くなる。だけどそれも嬉しくて仕方ない。

「淀さん……」

優しい瞳が太一を見つめる。愛しさを隠さない和眞の微笑みに、太一の顔も綻んで。
そしてとても幸せそうな笑顔が広がった。その笑顔に満たされたように笑みを深め、和眞はそっと太一に顔を近づけた。



「好きです、これからもずっと一緒にいてください」



唇が触れる瞬間、囁かれた言葉に、生まれてきて一番胸をときめかせながら、和眞の口付けを受け入れるため太一は目を閉じた。






褪せた自分の世界が、一気に色がついたように輝きだす。

ずっと地味で何にもない自分を受け入れられなかった。
だけど和眞のことを好きになって、和眞も太一を好きになってくれて。
太一はこんな自分でよかったと、

和眞のキスを受け止めながら、初めてそう思った。


きつく抱きつくと、和眞の腕が答えるように太一を強く引き寄せてくれる。
温かい腕に包み込まれ、心が幸せで満たされて


――重なった二人の影は、またベッドに沈んでいった。



ファーストバレンタインから始まった恋は、溺れるほどに深く、甘く、愛されていく。
これからもずっと――二人で、幸せに。












~完~
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