3 / 9
ファンタジーは面白い奴だけでいい 2
しおりを挟む
待つ事数10分で書類は出来たらしく自動車の教則本並みの分厚い書類を俺に渡して来た。渡してきたタケイらしき中年男性はまだ説得に時間を費やしたいようだったが、独り身の俺としては今度は家事が待っているので明日にしてくれと言ったら、じゃあ連絡を取りたいとの事で電話の番号を交換し、事務所を離れた。
「ただいま」
アパートについたのは10時過ぎだった。突然の出会いと信じられない事実と実感の湧かない内容のバイト…すごく不安になった。
「とりあえず風呂に入って寝よう」
途端にグーッと音がなりあの時買ったアメリカンドッグすら食べていない事に気づいた。
「とりあえずなんかつまんでから動くか」
そんな感じでその日は考えることをやめて飯を食い、風呂に入り寝るという作業をスムーズにこなすことだけを意識して家事に専念した。
ピピピッとアラームに起こされ、テレビをつけると朝のニュース番組 はあいも変わらず、キャスターが真顔になったり笑ったりと忙しそうにしていた。時刻は6時半、外はうっすらと明るくなり、ゴミ出しに行く人やウォーキングや犬の散歩をしている人がちらほら窓から見えた。何気なくテーブルに目をやると件の説明が置いてあり、昨日の晩に起こったことが本当なのだと裏付けられたようでお腹が痛くなる。俺が異世界で、人殺し…だがやらなければ長いスパンはあれど超大問題が起きる危機にさらされる。そして100万円。
とりあえずくだんの説明書なるものを見る事にした。不安や恐れというのは未知からくるものかもしれないからだ。バイトまでまだ時間もある、読めるとこまで読もう。
書によればタケイと思っていた男の名前は松山学と言うらしい。タケイ関係無しかよと少しイラっとしたがそれは置いておいて残り2人の社員も名前が書いてある。1人は森永美希、女性のようだ、正直年齢とか趣味とか星座とか書いてあると良かったのだが仕事仲間だし、ビジネスライクなお付き合いから始めるか。美人だったら緊張しちゃうなぁ、童貞なんで。
もう1人は中村智樹、名前から想像するに男性だと思う。…特に興味ないな、仲良くできれば良いですね、はい。
そんで昨日の仕事内容の詳細はと読み進めると大まかなことはわかった気がする。
まず昨日の事務所のスクリーンが異世界転移のゲートの役割をするものらしく、プロジェクターで映された魔法陣に向かって体当たりをして転移するらしい。体当たりの理由については衝撃による転移物の移動に対する意志表示の為など、俺には分からなかったが、そもそも魔法陣でいけてしまう事すらすごいのだからそうゆうものなのだという事にした。また、何故スクリーンなのかと言うと、モニターなどガラスや硬いものはもしもの時にケガのリスクがあるのと、彼らの使う魔法陣は委託されたものらしく、自ら描くことはできないものだという 。もし紙などで書いた場合、転移はできるが、それをずっと使い続ける事に慣れ、仕舞ったりするのを忘れたなんてことがあれば、空き巣などに盗まれ関係ない者に濫用される可能性があることも関係しているらしい。
転移した後、現地には洗脳、または神に信仰の熱い人々に協力してもらっているのでそこにて仮の社会的地位を得て現地民として潜伏し、72時間以内にターゲットを殺害してくれとの事だ。
因みに俺達が殺す相手というのは神々に痛い注文を思いつくだけ付けて転生した苦労知らずのハイスペック勇者、魔法使いどもである。奴らは少しでも気に入らないことがあれば軽い気持ちで現地民のパワーバランスも考えずに介入し、破壊、殺害の限りを尽くし、やったらやりっぱなしで1部の人間にしか感謝されていないのにみんなの勇者、ヒーロー気取りである。
こんな奴らどうやって倒すんだろうか。
何か、何か武器はないのかと青臭い機動戦士になりかけていたときに、僕は目を見張った。
「銃を使用、持ち込みはやめて下さい…だと」
お、おま、お前らじゃあどうやってやり合うの?俺は密かにスナイパーになって活躍する想像を巡らせていたのに。返せよ、俺のハードボイルド霧島の活躍譚の数々を。じゃあどうすんの?こっちにもチート発動するとか?右手を突き出すとキャンセリング能力が発動してイマジンがブレーカーするのか?そんなもん鵜呑みにできるか!バカでも手ぶらで行きたくねぇよ。これは会ったら質問しないとなぁ、ってまだやるか決めていないんだった。
あとは倒せなかったときの報告書の義務だとか休みの取り方とかである。正直休みはバイトだから融通がきくとおもったが72時間、つまりは3日間はこちらに帰ってこれないので潜伏前に取る形に限定されるようだ。というか行ったり来たりできるなら毎日帰ってきたいのだが…100万の為に呑むしかないかな。
「バイトの時間まで…、あと10分か。」
切りがいいところで俺は説明書を閉じ、バイトに向かうことにした。ふと掛け持ちは出来ないので早く決めたいんだが、どうしようかなという悩みが降ってきた。うーんと唸りながら原付に乗るまで悩んでいたのだが、
「この際だから今日で辞めるか」
外国人に囲まれて仕事なんて正直きつかったし、俺は辞める気満々でバイト先に向かった。
今日のバイトは野菜班に入りキャベツをひたすら向いて、ひたすらトマトを選別し、ひたすらカット野菜をネットに入れ洗浄した。ツライ、ひたすら野菜と向き合いなんて、俺農家なんじゃないかと思った。
作業が終わり、上の人にバイトを辞めるといったらそうですかとあっさり承諾された。やっぱり捨て駒だったのかと思うと俺は少しムっとしてそいつの机にあるアルフォートを見つけると半分ほど拉致って帰る事にした。ざまぁと思いながら原付に乗り家に帰ってシャワーを浴びると、今度は松山のところに向かう事にした。なんだかんだいって初めからやってみたい気持ちがあったし、あのままじじいになるのは少し人生に厚みが足りないと思うのだ。やれるときにやる、これ俺のバイト生活で得た格言な。
あの男の会社、タケイに着き、玄関のインターホンを探したが無かったのでノックする事にした。2回ほど叩くとドアが開いて、見知らぬ女性が迎え入れてくれた。
「こんにちは、本日は何のご用件でしょうか?ご連絡をいただいた方ですか?」
どうやらこの方が森永美希という人物らしい。長い茶髪にすらっとした脚が印象的で、黒いスーツが更にできる女感を出していた。しかし…このような若く、綺麗な女の方だったなんて緊張するなぁ。どうしよう、俺もう前見れないよ、足元のヒールを見るのが精一杯だし、俺の中の森永さんのイメージがヒールになっちゃいそうです。
それでも俺は自分の要件を切り出すことにした。
「あの、俺松山さんにここで働かないかって言われててですね、質問も兼ねて返事をしにきたんです。松山さんはいらっしゃいますか?」
「ああ、そうでしたか。松山はいますよ、2階で私用を行なっていますので呼んできましょう。1階で少し待っていただけますか?」
「はい、わかりました」
こちらへどうぞと中へ案内され、事務所の席の1つを勧められ、言われるがままに座って待つ事にした。
「はい、どうぞ。粗ミルクですが。」
「すいません。ありが、えぇ!?」
コイツ何言ってんだ、粗ミルクてなんだ?粗いのか、粗暴牧場から取れたのか?どちらにしてもあんた普通じゃねーよ。緑茶だろうがクソビッチがよぉ!
「クッキーと合いますよね、牛乳。私牛乳好きなんですよ、ハハ♪」笑いかけながら数袋のムーンライトを俺に差し出しながら森永さんはご機嫌な様子で笑う。
知らんがな!そんなんあんたの趣味だろ!あーあ、今めちゃくちゃ茶が飲みたいわぁ、まぁマッチングいいよなっていう気持ちは分かるけど、と思いながら出された牛乳を飲んだ。
「今松山を呼んできますから、ゆっくりしていて下さい。」
「はい、わかりました」
返事をしながら俺は2袋目のムーンライトの開封に取り掛かっていた。正直カジュアルな服装で来ている手前、それならフランクさを貫こうというものである。俺はしばらくクッキーと牛乳を堪能する事にした。ボリボリ、ゴクゴク、うまい。
「待たせたね、ちょっと別の用事が忙して手が話せなかったんだ。」
階段を駆け足で降りながら話しかけてきた中年の男性は、松山さんである。青のスーツは彼のトレードマークらしい、多少デザインが変わって入るが、真っ青なスーツを着ていた。
「今日俺、バイトを辞めてきたんです。1年ちょっとコンビニ惣菜製造のバイト。」
「そうか。それじゃあもう決まったも同然、で解釈してもいいのかな」
「質問したいことがいくつかあります」
「聞こうじゃないか、雇い主が従業員の質問に答えられないのはおかしいからね。その前に私もお茶を持ってきてもいいかな?さっきまで電話で喋りっぱなしで喉が渇いていたんだ。」
「はい、わかりました」
「君のコップも空いているようだね、あれ?もしかして応対したの森永くんだったりする?」
「え?はい、そうですが?」
「いやぁ、申し訳ない、彼女は牛乳大好きでね、客人だろうと私であろうと誰彼構わず牛乳を勧めてしまうんだよ。良ければ紅茶に変えようか?それとも牛乳かな?」
「紅茶をお願いしてもよろしいですか?」
「もちろん。」
松山さんはそういうと俺のカップを持っていき部屋の奥の給湯室のようなところに入っていった。しばらくしてティーカップを二つ持ってきてくれたところで俺は質問をすることにした。
「資料に目を通してみたのですが気になる点がいくつかありまして。それ次第で答えを出そうと思い今日伺いました。」
「うん、質問に答えよう。ただ君も分かっていると思うけど、100万円を1カ月で稼ぐバイトだ。それなりに多少の無理を通すということは覚悟して欲しい。」
「はい、ですが今は具体的にどんな方法で殺害するのかなどの情報が欲しいんです」
「なるほど、そうだね。君にはまだ詳しく教えた方が良いみたいだ。他の国では習うより慣れろみたいな感じでいきなり送り込んで場数をこなして現場で成長されるってところもあるから正直どうしようか悩んでたんだ」
「え、私だけではないんですか?」
「言ってなかったかな?」
「聞いてないです!」
「そっか。ごめんごめん、実はこの取り組みは世界各地で行われている。しかし目立たないように慎重に、なるだけ小規模で、だ」
「何故慎重にしないといけないんです?大規模でするなら早く終わるじゃないですか?」
「神が多様性を好む傾向にあることは前にも話したよね?」
「ん、まぁそんな感じのことは言った気がします」
「私達が大規模で活動すれば、いずれ根元になる異世界転生という考え方に対する反発的な考え方に勢いをつけさせてしまうことになり兼ねないし、異世界転生に希望を持つ者が暴動を起こすかもしれないからだ。」
「うーん」
「大袈裟なのは分からなくもないが予測としてはありえることだからね。それも踏まえての行動となる。小規模なのは情報を持つ者を把握しやすくするためと先程のこともあるように目立つことを避けるためだ。」
「世間ではどうゆう風に誤魔化しているの?」
「今はアルバイトをしたい人をアルバイト募集に企業に紹介する、まぁ人材紹介を主にしている会社ってところかな。」
咳払いをして松山は紅茶を飲んで姿勢を正した。真剣な顔からして本題に入るようだ。
「話が逸れたようだから元に戻すよ。まずは君の具体的な異世界転移、その後の異世界生活についてだ」
カタンと席を立つと松山はスクリーンの方に歩いて行ってスクリーンを引き出すとしばらくプロジェクターとパソコンをカタカタ動かした後、俺の方に向き直り説明を続けると目配せしてきたので俺も聞く姿勢をとる。
やがてプロジェクターがスクリーンに映像を
映し出し、応答なしの画面からパッと画面が切り替わったと思えば大きな魔法陣らしき模様がスクリーンいっぱいに映し出された。
まるで厨二病患者が悪戯に書いたんじゃないかと思うほど意味のない、というか解読不可能な文字なのか模様なのかわからないもので描いてあって冗談なのかと問いただしたくなるほどこんなもので異世界に行けるとは思えなかった。
「これが、きみをこの世界と異世界との行き来を可能にする魔法陣だ。ん…もしかしてだけどぉ?疑ってる?」
「当たり前じゃないですか、頼りなさすぎです」
「しかしながらこの方法でしか私達は転移出来ないんだ。それ以外だと向こうの民に召喚という形で呼んでもらうかない。まぁ、こんな戦闘力のかけらもない者をコストを払って呼ぼうなんて奇人はそうそういないと思うけどね。」
「じゃあ1回連れて行ってくださいよ」
「異世界にかい?」
「そうです」
「それは出来ない。いまはね。」
「何でやねん!」
「いやぁ、そう言われててもね、なんせ一旦通ると3日は帰ってこれないから。72時間いないに殺害するというのはそこも関係していて、殺した後、じゃあ帰ろうかって訳にはいかないんだよ。本当使い勝手悪いよね。神に代わって謝るよ。ごめんちゃい」
なめとんか貴様ぁと心でわめき散らしたが俺は何とか平静を保ち、質問を続けることにした。
「向こうに行ったらどうすればいいんですか?」
「森永君と中村君が前もって用意した仮設住居に着いて用意されている衣服に着替え、設定に従ってなりきり現地にいる事情を知ってる現地人と合流して72時間以内に殺害を試みることになってる。身分はターゲットにちょっと近しい奴、うん、例えるなら勇者御用達の鍛冶屋のお弟子さんてところかな。」
「どうやって殺せばいいんだよ」
「そうだよねぇ、まさにそれなって感じだよねぇ。考えてすぐ思いつくのは毒殺だと思うけど、他にある?」
「あんたが聞いてどうすんだよ!」
真っ向からやったら秒で死んでしまうに決まってる。あれ、もしかして100万じゃわりにあってない?
「わかってるって、こっちにもいくつかこの殺害を可能に近づける道具がいくつかあるから。」
松山は机の上にいくつかの道具をおいて並べた。ひとつは見た目はいかにもガラケーな精密機械っぽい何か、もう一つは宝石のようなものが3つほどはめこまれている腕輪、そしてもうひとつはミ○ティアだった。
「あの、ミ○ティアしまってもらえませんか、これも役に立つ奴みたいで紛らわしいんですけど。」
「これミ○ティアじゃないよ、フ○スクだよ」
「そうゆうことじゃねーよ!」
「嘘だよ、ただしこれは単なるタブレット菓子じゃないよ。使い方は食べるだけだけど頼もしいんだ。きみはこれで結構救われると思うんだけど、要らない?」
「どんな役に立つんですかね、お菓子は?」
現地民と食料の物々交換の材料か?ならもっとうまいやつにしろよ。
するとチッチと人差し指を振って俺に違うとアピってきた。腹パンしてやろうかなこのおっさん。
「これは食べると武闘家の魂とリンクしてしばらくの間、肉弾戦で戦えるようになるものなんだ。名付けてバトレットさ」
「安直過ぎやしませんか、というか胡散臭さ」
「ホントだもん、本当に強くなるもん!」
「もんて言うな、おっさん!」
気色悪りぃんだよマジで。
「続いてこれね、これはガラケーを改良した魔術キャンセリング機能付き通信機だ。これで君はあらゆる魔術を無効化出来る、半径1メートルくらいはね。あとこっちとの情報交換はこれしか出来ないからバッテリーには気をつけてね。電池切れたら連絡出来ないし指示だせないから。まあ魔術キャンセリング機能はバッテリーの有無は関係ないからそこは心配しなくていいよ。」
「じゃあそいつがあれば魔法使いは殺せるな」
「おっ、いいね、希望を持つことは成功の鍵だ、その調子でバンバンやってくれ」
「んで、それは?」
俺は残っている腕輪を指差した。
「そう、これな。これはあるのとないのでは勝率が全然違う切り札だ。各世界における3度限りの神々における黙認権だ」
俺はこの信じがたい道具を頼りにアホみたいに強い奴らを殺さなきゃならないのか。
「鳥肌がたつよ」
「だろ!」
「松山さん、ある日急にスカイダイビングしなきゃいけないって付き合いの浅い人に真面目にいわれたらあんたどうする?」
「何でしなきゃいけないか納得するまで問い出すよ」
「俺もそんな気分だ、だから俺が納得するまであんたは洗いざらい知ってる事を吐き出してくれ!いいな!」
「何で終わり際になると君ってキレるん?」
「カルシウムが足りなかったからかな、アンタだけじゃダメだ、森永さん牛乳下さい!」
俺はこの2人による説明で受け入れ難い事実を受け入れようと頑張ることにした。
「ただいま」
アパートについたのは10時過ぎだった。突然の出会いと信じられない事実と実感の湧かない内容のバイト…すごく不安になった。
「とりあえず風呂に入って寝よう」
途端にグーッと音がなりあの時買ったアメリカンドッグすら食べていない事に気づいた。
「とりあえずなんかつまんでから動くか」
そんな感じでその日は考えることをやめて飯を食い、風呂に入り寝るという作業をスムーズにこなすことだけを意識して家事に専念した。
ピピピッとアラームに起こされ、テレビをつけると朝のニュース番組 はあいも変わらず、キャスターが真顔になったり笑ったりと忙しそうにしていた。時刻は6時半、外はうっすらと明るくなり、ゴミ出しに行く人やウォーキングや犬の散歩をしている人がちらほら窓から見えた。何気なくテーブルに目をやると件の説明が置いてあり、昨日の晩に起こったことが本当なのだと裏付けられたようでお腹が痛くなる。俺が異世界で、人殺し…だがやらなければ長いスパンはあれど超大問題が起きる危機にさらされる。そして100万円。
とりあえずくだんの説明書なるものを見る事にした。不安や恐れというのは未知からくるものかもしれないからだ。バイトまでまだ時間もある、読めるとこまで読もう。
書によればタケイと思っていた男の名前は松山学と言うらしい。タケイ関係無しかよと少しイラっとしたがそれは置いておいて残り2人の社員も名前が書いてある。1人は森永美希、女性のようだ、正直年齢とか趣味とか星座とか書いてあると良かったのだが仕事仲間だし、ビジネスライクなお付き合いから始めるか。美人だったら緊張しちゃうなぁ、童貞なんで。
もう1人は中村智樹、名前から想像するに男性だと思う。…特に興味ないな、仲良くできれば良いですね、はい。
そんで昨日の仕事内容の詳細はと読み進めると大まかなことはわかった気がする。
まず昨日の事務所のスクリーンが異世界転移のゲートの役割をするものらしく、プロジェクターで映された魔法陣に向かって体当たりをして転移するらしい。体当たりの理由については衝撃による転移物の移動に対する意志表示の為など、俺には分からなかったが、そもそも魔法陣でいけてしまう事すらすごいのだからそうゆうものなのだという事にした。また、何故スクリーンなのかと言うと、モニターなどガラスや硬いものはもしもの時にケガのリスクがあるのと、彼らの使う魔法陣は委託されたものらしく、自ら描くことはできないものだという 。もし紙などで書いた場合、転移はできるが、それをずっと使い続ける事に慣れ、仕舞ったりするのを忘れたなんてことがあれば、空き巣などに盗まれ関係ない者に濫用される可能性があることも関係しているらしい。
転移した後、現地には洗脳、または神に信仰の熱い人々に協力してもらっているのでそこにて仮の社会的地位を得て現地民として潜伏し、72時間以内にターゲットを殺害してくれとの事だ。
因みに俺達が殺す相手というのは神々に痛い注文を思いつくだけ付けて転生した苦労知らずのハイスペック勇者、魔法使いどもである。奴らは少しでも気に入らないことがあれば軽い気持ちで現地民のパワーバランスも考えずに介入し、破壊、殺害の限りを尽くし、やったらやりっぱなしで1部の人間にしか感謝されていないのにみんなの勇者、ヒーロー気取りである。
こんな奴らどうやって倒すんだろうか。
何か、何か武器はないのかと青臭い機動戦士になりかけていたときに、僕は目を見張った。
「銃を使用、持ち込みはやめて下さい…だと」
お、おま、お前らじゃあどうやってやり合うの?俺は密かにスナイパーになって活躍する想像を巡らせていたのに。返せよ、俺のハードボイルド霧島の活躍譚の数々を。じゃあどうすんの?こっちにもチート発動するとか?右手を突き出すとキャンセリング能力が発動してイマジンがブレーカーするのか?そんなもん鵜呑みにできるか!バカでも手ぶらで行きたくねぇよ。これは会ったら質問しないとなぁ、ってまだやるか決めていないんだった。
あとは倒せなかったときの報告書の義務だとか休みの取り方とかである。正直休みはバイトだから融通がきくとおもったが72時間、つまりは3日間はこちらに帰ってこれないので潜伏前に取る形に限定されるようだ。というか行ったり来たりできるなら毎日帰ってきたいのだが…100万の為に呑むしかないかな。
「バイトの時間まで…、あと10分か。」
切りがいいところで俺は説明書を閉じ、バイトに向かうことにした。ふと掛け持ちは出来ないので早く決めたいんだが、どうしようかなという悩みが降ってきた。うーんと唸りながら原付に乗るまで悩んでいたのだが、
「この際だから今日で辞めるか」
外国人に囲まれて仕事なんて正直きつかったし、俺は辞める気満々でバイト先に向かった。
今日のバイトは野菜班に入りキャベツをひたすら向いて、ひたすらトマトを選別し、ひたすらカット野菜をネットに入れ洗浄した。ツライ、ひたすら野菜と向き合いなんて、俺農家なんじゃないかと思った。
作業が終わり、上の人にバイトを辞めるといったらそうですかとあっさり承諾された。やっぱり捨て駒だったのかと思うと俺は少しムっとしてそいつの机にあるアルフォートを見つけると半分ほど拉致って帰る事にした。ざまぁと思いながら原付に乗り家に帰ってシャワーを浴びると、今度は松山のところに向かう事にした。なんだかんだいって初めからやってみたい気持ちがあったし、あのままじじいになるのは少し人生に厚みが足りないと思うのだ。やれるときにやる、これ俺のバイト生活で得た格言な。
あの男の会社、タケイに着き、玄関のインターホンを探したが無かったのでノックする事にした。2回ほど叩くとドアが開いて、見知らぬ女性が迎え入れてくれた。
「こんにちは、本日は何のご用件でしょうか?ご連絡をいただいた方ですか?」
どうやらこの方が森永美希という人物らしい。長い茶髪にすらっとした脚が印象的で、黒いスーツが更にできる女感を出していた。しかし…このような若く、綺麗な女の方だったなんて緊張するなぁ。どうしよう、俺もう前見れないよ、足元のヒールを見るのが精一杯だし、俺の中の森永さんのイメージがヒールになっちゃいそうです。
それでも俺は自分の要件を切り出すことにした。
「あの、俺松山さんにここで働かないかって言われててですね、質問も兼ねて返事をしにきたんです。松山さんはいらっしゃいますか?」
「ああ、そうでしたか。松山はいますよ、2階で私用を行なっていますので呼んできましょう。1階で少し待っていただけますか?」
「はい、わかりました」
こちらへどうぞと中へ案内され、事務所の席の1つを勧められ、言われるがままに座って待つ事にした。
「はい、どうぞ。粗ミルクですが。」
「すいません。ありが、えぇ!?」
コイツ何言ってんだ、粗ミルクてなんだ?粗いのか、粗暴牧場から取れたのか?どちらにしてもあんた普通じゃねーよ。緑茶だろうがクソビッチがよぉ!
「クッキーと合いますよね、牛乳。私牛乳好きなんですよ、ハハ♪」笑いかけながら数袋のムーンライトを俺に差し出しながら森永さんはご機嫌な様子で笑う。
知らんがな!そんなんあんたの趣味だろ!あーあ、今めちゃくちゃ茶が飲みたいわぁ、まぁマッチングいいよなっていう気持ちは分かるけど、と思いながら出された牛乳を飲んだ。
「今松山を呼んできますから、ゆっくりしていて下さい。」
「はい、わかりました」
返事をしながら俺は2袋目のムーンライトの開封に取り掛かっていた。正直カジュアルな服装で来ている手前、それならフランクさを貫こうというものである。俺はしばらくクッキーと牛乳を堪能する事にした。ボリボリ、ゴクゴク、うまい。
「待たせたね、ちょっと別の用事が忙して手が話せなかったんだ。」
階段を駆け足で降りながら話しかけてきた中年の男性は、松山さんである。青のスーツは彼のトレードマークらしい、多少デザインが変わって入るが、真っ青なスーツを着ていた。
「今日俺、バイトを辞めてきたんです。1年ちょっとコンビニ惣菜製造のバイト。」
「そうか。それじゃあもう決まったも同然、で解釈してもいいのかな」
「質問したいことがいくつかあります」
「聞こうじゃないか、雇い主が従業員の質問に答えられないのはおかしいからね。その前に私もお茶を持ってきてもいいかな?さっきまで電話で喋りっぱなしで喉が渇いていたんだ。」
「はい、わかりました」
「君のコップも空いているようだね、あれ?もしかして応対したの森永くんだったりする?」
「え?はい、そうですが?」
「いやぁ、申し訳ない、彼女は牛乳大好きでね、客人だろうと私であろうと誰彼構わず牛乳を勧めてしまうんだよ。良ければ紅茶に変えようか?それとも牛乳かな?」
「紅茶をお願いしてもよろしいですか?」
「もちろん。」
松山さんはそういうと俺のカップを持っていき部屋の奥の給湯室のようなところに入っていった。しばらくしてティーカップを二つ持ってきてくれたところで俺は質問をすることにした。
「資料に目を通してみたのですが気になる点がいくつかありまして。それ次第で答えを出そうと思い今日伺いました。」
「うん、質問に答えよう。ただ君も分かっていると思うけど、100万円を1カ月で稼ぐバイトだ。それなりに多少の無理を通すということは覚悟して欲しい。」
「はい、ですが今は具体的にどんな方法で殺害するのかなどの情報が欲しいんです」
「なるほど、そうだね。君にはまだ詳しく教えた方が良いみたいだ。他の国では習うより慣れろみたいな感じでいきなり送り込んで場数をこなして現場で成長されるってところもあるから正直どうしようか悩んでたんだ」
「え、私だけではないんですか?」
「言ってなかったかな?」
「聞いてないです!」
「そっか。ごめんごめん、実はこの取り組みは世界各地で行われている。しかし目立たないように慎重に、なるだけ小規模で、だ」
「何故慎重にしないといけないんです?大規模でするなら早く終わるじゃないですか?」
「神が多様性を好む傾向にあることは前にも話したよね?」
「ん、まぁそんな感じのことは言った気がします」
「私達が大規模で活動すれば、いずれ根元になる異世界転生という考え方に対する反発的な考え方に勢いをつけさせてしまうことになり兼ねないし、異世界転生に希望を持つ者が暴動を起こすかもしれないからだ。」
「うーん」
「大袈裟なのは分からなくもないが予測としてはありえることだからね。それも踏まえての行動となる。小規模なのは情報を持つ者を把握しやすくするためと先程のこともあるように目立つことを避けるためだ。」
「世間ではどうゆう風に誤魔化しているの?」
「今はアルバイトをしたい人をアルバイト募集に企業に紹介する、まぁ人材紹介を主にしている会社ってところかな。」
咳払いをして松山は紅茶を飲んで姿勢を正した。真剣な顔からして本題に入るようだ。
「話が逸れたようだから元に戻すよ。まずは君の具体的な異世界転移、その後の異世界生活についてだ」
カタンと席を立つと松山はスクリーンの方に歩いて行ってスクリーンを引き出すとしばらくプロジェクターとパソコンをカタカタ動かした後、俺の方に向き直り説明を続けると目配せしてきたので俺も聞く姿勢をとる。
やがてプロジェクターがスクリーンに映像を
映し出し、応答なしの画面からパッと画面が切り替わったと思えば大きな魔法陣らしき模様がスクリーンいっぱいに映し出された。
まるで厨二病患者が悪戯に書いたんじゃないかと思うほど意味のない、というか解読不可能な文字なのか模様なのかわからないもので描いてあって冗談なのかと問いただしたくなるほどこんなもので異世界に行けるとは思えなかった。
「これが、きみをこの世界と異世界との行き来を可能にする魔法陣だ。ん…もしかしてだけどぉ?疑ってる?」
「当たり前じゃないですか、頼りなさすぎです」
「しかしながらこの方法でしか私達は転移出来ないんだ。それ以外だと向こうの民に召喚という形で呼んでもらうかない。まぁ、こんな戦闘力のかけらもない者をコストを払って呼ぼうなんて奇人はそうそういないと思うけどね。」
「じゃあ1回連れて行ってくださいよ」
「異世界にかい?」
「そうです」
「それは出来ない。いまはね。」
「何でやねん!」
「いやぁ、そう言われててもね、なんせ一旦通ると3日は帰ってこれないから。72時間いないに殺害するというのはそこも関係していて、殺した後、じゃあ帰ろうかって訳にはいかないんだよ。本当使い勝手悪いよね。神に代わって謝るよ。ごめんちゃい」
なめとんか貴様ぁと心でわめき散らしたが俺は何とか平静を保ち、質問を続けることにした。
「向こうに行ったらどうすればいいんですか?」
「森永君と中村君が前もって用意した仮設住居に着いて用意されている衣服に着替え、設定に従ってなりきり現地にいる事情を知ってる現地人と合流して72時間以内に殺害を試みることになってる。身分はターゲットにちょっと近しい奴、うん、例えるなら勇者御用達の鍛冶屋のお弟子さんてところかな。」
「どうやって殺せばいいんだよ」
「そうだよねぇ、まさにそれなって感じだよねぇ。考えてすぐ思いつくのは毒殺だと思うけど、他にある?」
「あんたが聞いてどうすんだよ!」
真っ向からやったら秒で死んでしまうに決まってる。あれ、もしかして100万じゃわりにあってない?
「わかってるって、こっちにもいくつかこの殺害を可能に近づける道具がいくつかあるから。」
松山は机の上にいくつかの道具をおいて並べた。ひとつは見た目はいかにもガラケーな精密機械っぽい何か、もう一つは宝石のようなものが3つほどはめこまれている腕輪、そしてもうひとつはミ○ティアだった。
「あの、ミ○ティアしまってもらえませんか、これも役に立つ奴みたいで紛らわしいんですけど。」
「これミ○ティアじゃないよ、フ○スクだよ」
「そうゆうことじゃねーよ!」
「嘘だよ、ただしこれは単なるタブレット菓子じゃないよ。使い方は食べるだけだけど頼もしいんだ。きみはこれで結構救われると思うんだけど、要らない?」
「どんな役に立つんですかね、お菓子は?」
現地民と食料の物々交換の材料か?ならもっとうまいやつにしろよ。
するとチッチと人差し指を振って俺に違うとアピってきた。腹パンしてやろうかなこのおっさん。
「これは食べると武闘家の魂とリンクしてしばらくの間、肉弾戦で戦えるようになるものなんだ。名付けてバトレットさ」
「安直過ぎやしませんか、というか胡散臭さ」
「ホントだもん、本当に強くなるもん!」
「もんて言うな、おっさん!」
気色悪りぃんだよマジで。
「続いてこれね、これはガラケーを改良した魔術キャンセリング機能付き通信機だ。これで君はあらゆる魔術を無効化出来る、半径1メートルくらいはね。あとこっちとの情報交換はこれしか出来ないからバッテリーには気をつけてね。電池切れたら連絡出来ないし指示だせないから。まあ魔術キャンセリング機能はバッテリーの有無は関係ないからそこは心配しなくていいよ。」
「じゃあそいつがあれば魔法使いは殺せるな」
「おっ、いいね、希望を持つことは成功の鍵だ、その調子でバンバンやってくれ」
「んで、それは?」
俺は残っている腕輪を指差した。
「そう、これな。これはあるのとないのでは勝率が全然違う切り札だ。各世界における3度限りの神々における黙認権だ」
俺はこの信じがたい道具を頼りにアホみたいに強い奴らを殺さなきゃならないのか。
「鳥肌がたつよ」
「だろ!」
「松山さん、ある日急にスカイダイビングしなきゃいけないって付き合いの浅い人に真面目にいわれたらあんたどうする?」
「何でしなきゃいけないか納得するまで問い出すよ」
「俺もそんな気分だ、だから俺が納得するまであんたは洗いざらい知ってる事を吐き出してくれ!いいな!」
「何で終わり際になると君ってキレるん?」
「カルシウムが足りなかったからかな、アンタだけじゃダメだ、森永さん牛乳下さい!」
俺はこの2人による説明で受け入れ難い事実を受け入れようと頑張ることにした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
転生先はご近所さん?
フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが…
そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。
でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる