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第二章 新夫の誤解
第06話 誤認識(下)
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「想像よりもかなりしっかりと、国民の生活は回復しているようだね」
ティルフィーユが屋敷に来た二日後。結婚休暇に入ったキアンは、ティルフィーユの兄であり今回の結婚式のグントバハロン側の責任者であるジェラルドと二人で、少しばかり打ち合わせをしていた。といっても、結婚式の日の関係者の導線と式の流れ、それからジェラルド自身の帰国までの予定を確認するぐらいだった。
「これなら兄としても、この国に妹を嫁がせて大丈夫だと思えるよ」
キアンより四歳、ティルフィーユより十三歳年上のジェラルドはそう言ってなごやかにほほ笑んだ。
グントバハロン宗家の現当主マリアンジェラは夫が三人いるという珍しい女性君主だが、ティルフィーユとジェラルドは同じ父を持つ兄妹であると聞いている。そのため、他国に嫁ぐ妹のことが特に心配なのだろう。そのジェラルドから安心だと言ってもらえるのは光栄なことだったが、しかし当のティルフィーユ本人はキアンとの結婚を否定的にとらえている。それを思うと、彼の期待には微塵も応えられないような気がして気まずく、キアンはろくな返しができなかった。
「ティルフィーユのすぐ上の姉がとてもおしゃべりな性格でね。その相手を一番していたせいか、ティルフィーユ自身、自分のことを話すよりも人の話を聞く方が好きなんだ。まあ、有り体に言うと口下手なんだけど……でも根はしっかりしているし度胸もある。慣れた相手にならすらすら話せるし、成人したばかりで見た目的にも頼りなく思えるかもしれないけど、どうか夫婦として支え合ってほしい」
「ジェラルド殿は……ご結婚は」
キアンは遠慮がちに尋ねた。
住んでいる場所が遠いので今後具体的で親密な付き合いにはならないだろうが、キアンにとってジェラルドは義兄になるわけだ。こうして話せるうちに、少しくらいは義兄のことを知っておこうとキアンは思った。
「まだだよ。でも、一番大事な妹がこうして嫁いだし、そろそろ考えるかも。一応僕が長男だからさ、宗家の今後のことをよくよく考えないといけなくてね。まあ、当主の座は亡き伯父の息子が継ぐだろうから、その支えになれるような家柄のお嫁さんが望ましいかな」
彼らの母マリアンジェラに夫が三人いるのは、そもそも宗家周りのお家事情だと聞いている。父が異なる男子がいれば、跡取りのことなど調整が必要なのだろう。キアンは「そうか」と一言頷いて、ジェラルドとの打ち合わせを終えた。
それから、キアンはジェラルドとティルフィーユと共に馬車に乗り、二人に首都マルドレーゼを案内した。自分が視界にいるとティルフィーユが怯えるのではないかとキアンは心配したが、しかし街案内はジェラルドからの頼みだったので断るわけにもいかず、淡々と二人にマルドレーゼの街について説明した。
キアンからティルフィーユに話しかけることはなく、それは夕餉の席でも同じで、キアンはただひたすら、ティルフィーユに些末な刺激さえも与えないようにと目も合わせず、声もかけず、近くに寄ることすらもしなかった。
その日が独身最後の夜だったが、この結婚と自分自身を拒んでいるであろうティルフィーユのことを思うと寝室に入ることはできず、キアンはとても小さくてにぶい心の痛みを覚えながら自分の私室のベッドで眠るのだった。
そしてむかえた結婚式当日。キアンは、自分の胸の中に生じた感情の波をコントロールするのに必死だった。
まごうことなき政略結婚であるし、おまけに妻となるティルフィーユはこの結婚とキアンを快く思っていない。ならば、結婚式は対外的に必要なただの儀式にすぎず、日課の鍛錬をするように淡々とこなせばいいだろうとキアンは思っていた。まさかこの日が人生の思い出になるなどとは、期待していなかったのである。
ところが、控室から出て合流したティルフィーユの姿を見てキアンの胸は高鳴った。グントバハロンが用意したというティルフィーユの純白のウェディングドレスはとてもよく似合っていて、兄のジェラルドにはにかむ彼女の横顔が神々しいまでにとても愛らしかったのだ。ミリ族に配慮して肌の露出をおさえたウェディングドレス姿のティルフィーユは、「夫であるキアン様にしか自分の肌は見せません、私はあなたのものだから」と主張しているように思えて、キアンは彼女を大勢の招待客にさらすことなく今すぐにでもどこか別の場所へ連れ去りたいと思った。そして自分一人で思う存分、美しくて可憐で愛らしいティルフィーユの姿を堪能して、その姿を余すことなく自分の記憶に焼き付けたいと心から思ったのだ。
フメ族に世話になったことがあるので、女性との性交経験はすでに何度かある。しかし、こんな風に一人の女性の愛らしさに鼓動が速くなるのは、キアンにとって初めての経験だった。それは俗に「恋をしている」状態であるが、ミリ族特有の無骨で武闘第一の文化にあまりにも染まりすぎていたキアンは、まさか自分が妻に恋をしたとは自覚できず、式の間中ずっと、間違ってもティルフィーユにおかしな行動をしないようにといつも以上に自分を律し、表情を硬くしていた。これから夫婦となるべく誓いのキスをする際は、うっかり長くならないように細心の注意とありったけの理性を総動員させて、本当に一瞬ふれるだけにとどめておいた。
式が終わり、披露宴のために純白のウェディングドレスから鮮やかなルビーレッドのワンピースドレスに着替えたティルフィーユもまた、違った印象で愛らしかった。長い手袋とセットのそのドレスの赤は、ティルフィーユの雪のように白い肌を際立たせる。それでいて、灰がかった青みのある彼女の髪の毛とコントラストを成しており、ティルフィーユ自身が美しい宝石であるかのように思われた。
だが、そんなティルフィーユを何度か盗み見るように見やると、その表情は常に硬かった。祝辞を言いに来てくれた式の招待客や披露宴の参加者に笑顔を向けてはいたが口数は少なく、やはりこの結婚は彼女にとって喜ばしいものではないのだろうと思われた。そしてそれは、ようやく足を踏み入れた夫婦の寝室で殊更思い知ることになった。
「仰向けになってくれるか」
「はっ……はい」
式の間も帰宅してからも、ろくに会話することができないままむかえてしまった初夜。呼び寄せたティルフィーユの身体をまたぐように四つん這いになってはみたものの、彼女の身体は石のように硬直しており、とてもキアンを受け入れられるような温かさとやわらかさは持っていなかった。「怖いのか」と一言尋ねるとティルフィーユは必死で首を横に振ったが、その必死さがまた、心の底では自分を拒絶しているのだろうとキアンに思わせた。
それでも、性交はしなければならない。二人の間に子ができねば、両国は真に友好的になったとみなされないかもしれないからだ。キアンはその旨を理解してもらってから行為におよぼうかと思ったが、しかしわざわざ言わなくともティルフィーユはすでにきちんと理解しているだろうと思い直した。自分たちが真の夫婦になることが両国の関係にとって重要だと理解しているからこそ、彼女は心では嫌だと思いつつもこうして結婚してくれたのだから。
キアンは小柄なティルフィーユを押しつぶさないように細心の注意を払いながら、彼女にふれ始めた。だが、やはりティルフィーユはキアンを怖がっているのか、身体が強張る一方だ。これでは夫婦の営みではなく、ただの強姦になってしまう。
(そんな風に……抱きたくはない)
彼女が自分を嫌っているとしても、自分はティルフィーユのことを好ましく思った。まだほとんど話せていないが、純白のドレス姿の彼女はとてもきれいで愛らしかった。結婚することにも妻にも何もときめきなど覚えないだろうと思っていたが、この愛らしい存在がこの先の人生ずっと自分の傍にいるのだと思うと、キアンはどうしようもなく嬉しかった。硬くて怯えた表情のままのティルフィーユだが、どうか心穏やかに笑って日々を過ごしてほしいと思った。そしてそのためには、彼女に嫌われている自分など、なるべく傍にいない方がいいのだろうとも。
「これは所詮、政略結婚だ。夜の行為は必須ではない」
キアンは静かに呟いた。
恐怖を覚えている男に抱かれることほど、女として不幸なことはないだろう。政略結婚だからこそ子は必須だが、しかし政略結婚だからこそ、子がなくともこの婚姻には意味があるはずだ。夫婦の間に夜の営みがなくとも、子ができずとも、二人が夫婦でいれば、ひとまず両国の関係が途切れることはないだろう。
寝台を降りたキアンは私室に戻った。恐れている男に抱かれずにすんだと、きっとティルフィーユは胸をなで下ろしたに違いない。ならばこの先もなるべくこうして、彼女とは距離をとって過ごした方がいいだろう。そう思った。
この時のキアンは、それがとんでもない勘違いであるとは、かつて住んでいたデシエトロンの砂漠の小さな砂粒ほどにも思っていなかったのだ。
ティルフィーユが屋敷に来た二日後。結婚休暇に入ったキアンは、ティルフィーユの兄であり今回の結婚式のグントバハロン側の責任者であるジェラルドと二人で、少しばかり打ち合わせをしていた。といっても、結婚式の日の関係者の導線と式の流れ、それからジェラルド自身の帰国までの予定を確認するぐらいだった。
「これなら兄としても、この国に妹を嫁がせて大丈夫だと思えるよ」
キアンより四歳、ティルフィーユより十三歳年上のジェラルドはそう言ってなごやかにほほ笑んだ。
グントバハロン宗家の現当主マリアンジェラは夫が三人いるという珍しい女性君主だが、ティルフィーユとジェラルドは同じ父を持つ兄妹であると聞いている。そのため、他国に嫁ぐ妹のことが特に心配なのだろう。そのジェラルドから安心だと言ってもらえるのは光栄なことだったが、しかし当のティルフィーユ本人はキアンとの結婚を否定的にとらえている。それを思うと、彼の期待には微塵も応えられないような気がして気まずく、キアンはろくな返しができなかった。
「ティルフィーユのすぐ上の姉がとてもおしゃべりな性格でね。その相手を一番していたせいか、ティルフィーユ自身、自分のことを話すよりも人の話を聞く方が好きなんだ。まあ、有り体に言うと口下手なんだけど……でも根はしっかりしているし度胸もある。慣れた相手にならすらすら話せるし、成人したばかりで見た目的にも頼りなく思えるかもしれないけど、どうか夫婦として支え合ってほしい」
「ジェラルド殿は……ご結婚は」
キアンは遠慮がちに尋ねた。
住んでいる場所が遠いので今後具体的で親密な付き合いにはならないだろうが、キアンにとってジェラルドは義兄になるわけだ。こうして話せるうちに、少しくらいは義兄のことを知っておこうとキアンは思った。
「まだだよ。でも、一番大事な妹がこうして嫁いだし、そろそろ考えるかも。一応僕が長男だからさ、宗家の今後のことをよくよく考えないといけなくてね。まあ、当主の座は亡き伯父の息子が継ぐだろうから、その支えになれるような家柄のお嫁さんが望ましいかな」
彼らの母マリアンジェラに夫が三人いるのは、そもそも宗家周りのお家事情だと聞いている。父が異なる男子がいれば、跡取りのことなど調整が必要なのだろう。キアンは「そうか」と一言頷いて、ジェラルドとの打ち合わせを終えた。
それから、キアンはジェラルドとティルフィーユと共に馬車に乗り、二人に首都マルドレーゼを案内した。自分が視界にいるとティルフィーユが怯えるのではないかとキアンは心配したが、しかし街案内はジェラルドからの頼みだったので断るわけにもいかず、淡々と二人にマルドレーゼの街について説明した。
キアンからティルフィーユに話しかけることはなく、それは夕餉の席でも同じで、キアンはただひたすら、ティルフィーユに些末な刺激さえも与えないようにと目も合わせず、声もかけず、近くに寄ることすらもしなかった。
その日が独身最後の夜だったが、この結婚と自分自身を拒んでいるであろうティルフィーユのことを思うと寝室に入ることはできず、キアンはとても小さくてにぶい心の痛みを覚えながら自分の私室のベッドで眠るのだった。
そしてむかえた結婚式当日。キアンは、自分の胸の中に生じた感情の波をコントロールするのに必死だった。
まごうことなき政略結婚であるし、おまけに妻となるティルフィーユはこの結婚とキアンを快く思っていない。ならば、結婚式は対外的に必要なただの儀式にすぎず、日課の鍛錬をするように淡々とこなせばいいだろうとキアンは思っていた。まさかこの日が人生の思い出になるなどとは、期待していなかったのである。
ところが、控室から出て合流したティルフィーユの姿を見てキアンの胸は高鳴った。グントバハロンが用意したというティルフィーユの純白のウェディングドレスはとてもよく似合っていて、兄のジェラルドにはにかむ彼女の横顔が神々しいまでにとても愛らしかったのだ。ミリ族に配慮して肌の露出をおさえたウェディングドレス姿のティルフィーユは、「夫であるキアン様にしか自分の肌は見せません、私はあなたのものだから」と主張しているように思えて、キアンは彼女を大勢の招待客にさらすことなく今すぐにでもどこか別の場所へ連れ去りたいと思った。そして自分一人で思う存分、美しくて可憐で愛らしいティルフィーユの姿を堪能して、その姿を余すことなく自分の記憶に焼き付けたいと心から思ったのだ。
フメ族に世話になったことがあるので、女性との性交経験はすでに何度かある。しかし、こんな風に一人の女性の愛らしさに鼓動が速くなるのは、キアンにとって初めての経験だった。それは俗に「恋をしている」状態であるが、ミリ族特有の無骨で武闘第一の文化にあまりにも染まりすぎていたキアンは、まさか自分が妻に恋をしたとは自覚できず、式の間中ずっと、間違ってもティルフィーユにおかしな行動をしないようにといつも以上に自分を律し、表情を硬くしていた。これから夫婦となるべく誓いのキスをする際は、うっかり長くならないように細心の注意とありったけの理性を総動員させて、本当に一瞬ふれるだけにとどめておいた。
式が終わり、披露宴のために純白のウェディングドレスから鮮やかなルビーレッドのワンピースドレスに着替えたティルフィーユもまた、違った印象で愛らしかった。長い手袋とセットのそのドレスの赤は、ティルフィーユの雪のように白い肌を際立たせる。それでいて、灰がかった青みのある彼女の髪の毛とコントラストを成しており、ティルフィーユ自身が美しい宝石であるかのように思われた。
だが、そんなティルフィーユを何度か盗み見るように見やると、その表情は常に硬かった。祝辞を言いに来てくれた式の招待客や披露宴の参加者に笑顔を向けてはいたが口数は少なく、やはりこの結婚は彼女にとって喜ばしいものではないのだろうと思われた。そしてそれは、ようやく足を踏み入れた夫婦の寝室で殊更思い知ることになった。
「仰向けになってくれるか」
「はっ……はい」
式の間も帰宅してからも、ろくに会話することができないままむかえてしまった初夜。呼び寄せたティルフィーユの身体をまたぐように四つん這いになってはみたものの、彼女の身体は石のように硬直しており、とてもキアンを受け入れられるような温かさとやわらかさは持っていなかった。「怖いのか」と一言尋ねるとティルフィーユは必死で首を横に振ったが、その必死さがまた、心の底では自分を拒絶しているのだろうとキアンに思わせた。
それでも、性交はしなければならない。二人の間に子ができねば、両国は真に友好的になったとみなされないかもしれないからだ。キアンはその旨を理解してもらってから行為におよぼうかと思ったが、しかしわざわざ言わなくともティルフィーユはすでにきちんと理解しているだろうと思い直した。自分たちが真の夫婦になることが両国の関係にとって重要だと理解しているからこそ、彼女は心では嫌だと思いつつもこうして結婚してくれたのだから。
キアンは小柄なティルフィーユを押しつぶさないように細心の注意を払いながら、彼女にふれ始めた。だが、やはりティルフィーユはキアンを怖がっているのか、身体が強張る一方だ。これでは夫婦の営みではなく、ただの強姦になってしまう。
(そんな風に……抱きたくはない)
彼女が自分を嫌っているとしても、自分はティルフィーユのことを好ましく思った。まだほとんど話せていないが、純白のドレス姿の彼女はとてもきれいで愛らしかった。結婚することにも妻にも何もときめきなど覚えないだろうと思っていたが、この愛らしい存在がこの先の人生ずっと自分の傍にいるのだと思うと、キアンはどうしようもなく嬉しかった。硬くて怯えた表情のままのティルフィーユだが、どうか心穏やかに笑って日々を過ごしてほしいと思った。そしてそのためには、彼女に嫌われている自分など、なるべく傍にいない方がいいのだろうとも。
「これは所詮、政略結婚だ。夜の行為は必須ではない」
キアンは静かに呟いた。
恐怖を覚えている男に抱かれることほど、女として不幸なことはないだろう。政略結婚だからこそ子は必須だが、しかし政略結婚だからこそ、子がなくともこの婚姻には意味があるはずだ。夫婦の間に夜の営みがなくとも、子ができずとも、二人が夫婦でいれば、ひとまず両国の関係が途切れることはないだろう。
寝台を降りたキアンは私室に戻った。恐れている男に抱かれずにすんだと、きっとティルフィーユは胸をなで下ろしたに違いない。ならばこの先もなるべくこうして、彼女とは距離をとって過ごした方がいいだろう。そう思った。
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