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第六章 祈りと救済
第21話 不審者(上)
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「簡単です。まずは目を閉じて深呼吸をして、心を落ち着けます。そうしたら、自分の頭の上に……空の、もっとその上の空にいらっしゃるウォンクゼアーザ様に、心の中で感謝を述べて願うのです」
「感謝?」
近くにいた中年の男性が不思議そうに呟いた。
「聖女様がこの国に来てくださったこと、今日これから儀式を受けられること、自分や自分の身近な人が、昨日も今日も生きられたこと……どんなことでも、小さなことでもいいのです。ありがたいなと思うことを心に思い浮かべて、神に感謝をします。それから願うのです。どうか、今日と同じ穏やかな時間が明日もおとずれますようにと。自分と、自分の愛する人が健やかにいられますようにと」
ティルフィーユの優しくてゆっくりとした、しかし芯のある声を、その場にいた市民たちは自然と受け入れていた。そして一人、また一人と目を閉じて、静かに祈り始める。
「決まったお作法は特になく、それぞれの楽な姿勢で構いません。ですが、両手を組むと少しばかり祈りやすくはあります。どうか、ここで待っている間に祈ってください。そしてこのあと、場所を変えて儀式の順番を待っていただきますが、その際も心を穏やかに、神に祈りを捧げてください。皆さんのその祈りは、必ずウォンクゼアーザ様に届きます。聖女様が皆さんを癒してくださいますが、聖女様の力は神の力……遠き天から私たちを見守ってくださっているウォンクゼアーザ様の力なのです」
ティルフィーユは真剣に説くが、しかしもちろん、祈らない者もいた。幼子は特に、ティルフィーユの言葉を理解しきれずただただ順番待ちの時間をつまらなさそうに過ごしていた。けれども、待っている間にすることもないので、半数以上の市民はティルフィーユの言葉通りに目を閉じて祈っているように見えた。座っていることさえもつらいほどの重い症状を抱えた者には、その付き添いの方に祈ってもらうようにティルフィーユはうながした。
西棟にいたエヴァエロンの民たちは、名前を呼ばれると共和議会議員の先導で南棟へと移動する。するとまた、次の民たちが正門から西棟へとやって来る。ティルフィーユは何度でも祈りについて説明し、神への感謝と願いをうながした。
「これまでつらいことが多かったと思います。けれど、国も時代も少しずつ変わっています。つらかった日々が少しずつでも楽になってきているのなら、そのことを神に感謝しましょう。そして、大切な人たちに幸せがおとずれるように願いましょう」
祈りの仕方もその意義も、ティルフィーユが民に説く内容のほとんどは、共に祈った際に聖女様や神官たちから教わったことだ。だがティルフィーユは、受け売りのその言葉を自分でもよく噛み締めながら人々に伝えた。
儀式開始からだいぶ時間が経ったが、特に問題が起きることはなく、西棟と南棟の人の流れはスムーズだった。共和議会のロイックたちは民のことをよく考えており、病人やけが人が小高い丘の上にあるこのスベーク城に来る苦労を見越して、儀式のこの日は議会が用意した幌馬車が、何度も何度も城と首都マルドレーゼを行き来している。おかげで、歩けないけが人も重病の患者も、往復の移動の心配はなかった。
(あと少し……)
太陽はもう真南に昇った。昼食の時間を過ぎてもなお、儀式は終わらない。そろそろ聖女様の身体が心配だ。休憩もなしに儀式を続けているが、かなり疲れてきているのではないだろうか。西棟を離れ、南棟の北西入り口付近に近寄ったティルフィーユは心配を浮かべた表情で南棟の壁を――その向こうにいるはずの聖女様を見つめた。今日は儀式が終わったあとによくよく休んでもらい、少しでも不調がないか聖女様の様子をしっかりと見ておかなければ。
「よかったねえ、おばあちゃん。これできっと良くなるよ」
足の悪い老女に合わせてゆっくりとした歩幅で歩いていく孫娘の声が聞こえる。南棟から出てきた彼女らはゆっくりと歩きながら、正門付近に止まっている幌馬車に向かっていた。
その二人組をなんとなく目で追っていたティルフィーユだが、その時、正門から南方の厩へ向かう一人の男性に視線が向いた。
(あら……?)
誰かと連れ立っているわけでもなく、その男性はまっすぐに厩に向かう。儀式を受けに来た民、あるいはその付き添いというわけではないようだ。
(でも、あの方……)
何かおかしい。
ティルフィーユは聖女の傍女を務めるにあたって、スベーク城で働く使用人一人一人と顔を合わせ、持ち場と名前を憶えた。聖女滞在期間中だけ臨時で雇われた使用人についてもだ。しかし厩へ向かった男は、事前に顔を合わせていない。今日初めて見る顔だ。
ティルフィーユはしばし考え込んだ。南棟の入り口をちらりと見ると、最後の集団が建物の中に入ったところだった。これで西棟で待っている民もいなくなり、少しだけならいまこの場を離れても問題はないだろう。
(ただの杞憂であってほしいけれど)
ティルフィーユは南棟の壁伝いに南下し、厩の方へ向かった。エヴァエロン共和国の騎士団の兵士たちが間隔を空けて立っているが、何か警備上の問題が起きたということはないようだ。
「ヒン」
馬の鳴き声がする。ティルフィーユが厩をのぞくと、先ほどの見慣れない男が馬をなでていた。
(馬の世話をする方……それか、飼料を運んできた方とかかしら)
スベーク城に食料などを納品する業者は、毎日城を訪れる。スベーク城に住み込みで働いている使用人はともかく、都度街からやって来る業者はさすがに把握していないので、その男もそうした一人なのだろう。警備のために巡廻している兵士たちも、男の挙動をちらっと目で追って探ってはいるようだが、特に危険を感じないのか声をかけることはない。
男はしばらくの間、一頭ずつ馬の様子を確認するように見て回った。しかし特に気なるところはなかったのか、そのまま東門へ向かい、マルドレーゼに続く長い階段を下りていった。
(やっぱり、外部の業者の方なのね)
そう結論付けて、ティルフィーユは南棟の入り口に戻った。そしてそこで案内の議員と共に、儀式を終えた最後の民を見送る。
こうして離穢の儀一日目は問題なく過ぎていった。
◆◇◆◇◆
翌日、関係者以外立ち入り禁止とされた南棟の祈りの広間で「清祈の儀」が執り行われた。離穢の儀で人々から分離されて「聖壺」に溜められた穢れの象徴である黒い炎を浄化する儀式だ。これは聖女と神官のみによって行われ、ティルフィーユたちはただその儀式が終わるのを待つだけだった。
離穢の儀と同じく、清祈の儀もレシクラオン神皇国で日常的に行う場合よりも時間はかかったとのことだったが、いくらかは楽だったと聖女様は嬉しそうにティルフィーユに告げた。
「人々の祈りが届いたと、ウォンクゼアーザ様がお喜びでした」
清祈の儀を終えて客室に戻った聖女様は、ハーブティーを飲みながらティルフィーユにそう話した。ティルフィーユは聖女様の話し相手になろうと、向かい合うようにソファに腰を下ろした。
「聖女様は神の声が聞こえるのですね」
「人の声が聞こえるのと同じように、正確に聞こえるわけではないのですよ? 神がそう思われていると……心で自然と感じ取れるのです」
「それは、聖女様だからわかることなのでしょうか」
「信心深い神官たちでも、同じように感じ取れることはあります。ウォンクゼアーザ様は非常にのんびりとしたお方で、私たち人間に細やかに干渉することはありません。けれども、いつだって私たちを見守ってくださっているのです」
聖女様は胸まで伸びている銀髪を耳にかけながらほほ笑んだ。
「ティルフィーユさん、ありがとうございました。あなたが国民の皆様に祈るようにお願いしてくださったことで、儀式でかかる負担が減りました」
「いえ、そんな……実際に祈ってくださったのは民の方々です。私なんかただ、聖女様たちから教えていただいたことを説明したくらいで……」
「それがとても助かりました。どうかティルフィーユさんも、いつでも構わないのでウォンクゼアーザ様に祈ってくださいね。神はお喜びになられると思います」
それからティルフィーユは、聖女様とたわいない話を続けた。
ティルフィーユから見た聖女様はとても特別な女性で、世間話をするなど恐れ多いと思ったが、既婚者同士ということもあって夫婦関係の話になると、聖女様もリラックスしたように夫君について話してくれた。「秘密ですよ」との前置きがあったので今後誰にも話せない内容ではあるが、なんと聖女様とその夫、ディルク・エングム部隊長は二人そろって一目惚れだったとか。その出逢いはディルクが離穢の儀を受けに来ていた時のことで、本来なら外れるはずがない目隠し布が不思議な突風のせいで外れてしまい、そのタイミングで目が合った二人は互いに一目惚れをしてしまったらしい。そこからどうやって結婚にまで至ったのかはさすがに教えてくれなかったが、聖女様は懐かしむようにこう言った。「すべては神のおかげです」と。
「感謝?」
近くにいた中年の男性が不思議そうに呟いた。
「聖女様がこの国に来てくださったこと、今日これから儀式を受けられること、自分や自分の身近な人が、昨日も今日も生きられたこと……どんなことでも、小さなことでもいいのです。ありがたいなと思うことを心に思い浮かべて、神に感謝をします。それから願うのです。どうか、今日と同じ穏やかな時間が明日もおとずれますようにと。自分と、自分の愛する人が健やかにいられますようにと」
ティルフィーユの優しくてゆっくりとした、しかし芯のある声を、その場にいた市民たちは自然と受け入れていた。そして一人、また一人と目を閉じて、静かに祈り始める。
「決まったお作法は特になく、それぞれの楽な姿勢で構いません。ですが、両手を組むと少しばかり祈りやすくはあります。どうか、ここで待っている間に祈ってください。そしてこのあと、場所を変えて儀式の順番を待っていただきますが、その際も心を穏やかに、神に祈りを捧げてください。皆さんのその祈りは、必ずウォンクゼアーザ様に届きます。聖女様が皆さんを癒してくださいますが、聖女様の力は神の力……遠き天から私たちを見守ってくださっているウォンクゼアーザ様の力なのです」
ティルフィーユは真剣に説くが、しかしもちろん、祈らない者もいた。幼子は特に、ティルフィーユの言葉を理解しきれずただただ順番待ちの時間をつまらなさそうに過ごしていた。けれども、待っている間にすることもないので、半数以上の市民はティルフィーユの言葉通りに目を閉じて祈っているように見えた。座っていることさえもつらいほどの重い症状を抱えた者には、その付き添いの方に祈ってもらうようにティルフィーユはうながした。
西棟にいたエヴァエロンの民たちは、名前を呼ばれると共和議会議員の先導で南棟へと移動する。するとまた、次の民たちが正門から西棟へとやって来る。ティルフィーユは何度でも祈りについて説明し、神への感謝と願いをうながした。
「これまでつらいことが多かったと思います。けれど、国も時代も少しずつ変わっています。つらかった日々が少しずつでも楽になってきているのなら、そのことを神に感謝しましょう。そして、大切な人たちに幸せがおとずれるように願いましょう」
祈りの仕方もその意義も、ティルフィーユが民に説く内容のほとんどは、共に祈った際に聖女様や神官たちから教わったことだ。だがティルフィーユは、受け売りのその言葉を自分でもよく噛み締めながら人々に伝えた。
儀式開始からだいぶ時間が経ったが、特に問題が起きることはなく、西棟と南棟の人の流れはスムーズだった。共和議会のロイックたちは民のことをよく考えており、病人やけが人が小高い丘の上にあるこのスベーク城に来る苦労を見越して、儀式のこの日は議会が用意した幌馬車が、何度も何度も城と首都マルドレーゼを行き来している。おかげで、歩けないけが人も重病の患者も、往復の移動の心配はなかった。
(あと少し……)
太陽はもう真南に昇った。昼食の時間を過ぎてもなお、儀式は終わらない。そろそろ聖女様の身体が心配だ。休憩もなしに儀式を続けているが、かなり疲れてきているのではないだろうか。西棟を離れ、南棟の北西入り口付近に近寄ったティルフィーユは心配を浮かべた表情で南棟の壁を――その向こうにいるはずの聖女様を見つめた。今日は儀式が終わったあとによくよく休んでもらい、少しでも不調がないか聖女様の様子をしっかりと見ておかなければ。
「よかったねえ、おばあちゃん。これできっと良くなるよ」
足の悪い老女に合わせてゆっくりとした歩幅で歩いていく孫娘の声が聞こえる。南棟から出てきた彼女らはゆっくりと歩きながら、正門付近に止まっている幌馬車に向かっていた。
その二人組をなんとなく目で追っていたティルフィーユだが、その時、正門から南方の厩へ向かう一人の男性に視線が向いた。
(あら……?)
誰かと連れ立っているわけでもなく、その男性はまっすぐに厩に向かう。儀式を受けに来た民、あるいはその付き添いというわけではないようだ。
(でも、あの方……)
何かおかしい。
ティルフィーユは聖女の傍女を務めるにあたって、スベーク城で働く使用人一人一人と顔を合わせ、持ち場と名前を憶えた。聖女滞在期間中だけ臨時で雇われた使用人についてもだ。しかし厩へ向かった男は、事前に顔を合わせていない。今日初めて見る顔だ。
ティルフィーユはしばし考え込んだ。南棟の入り口をちらりと見ると、最後の集団が建物の中に入ったところだった。これで西棟で待っている民もいなくなり、少しだけならいまこの場を離れても問題はないだろう。
(ただの杞憂であってほしいけれど)
ティルフィーユは南棟の壁伝いに南下し、厩の方へ向かった。エヴァエロン共和国の騎士団の兵士たちが間隔を空けて立っているが、何か警備上の問題が起きたということはないようだ。
「ヒン」
馬の鳴き声がする。ティルフィーユが厩をのぞくと、先ほどの見慣れない男が馬をなでていた。
(馬の世話をする方……それか、飼料を運んできた方とかかしら)
スベーク城に食料などを納品する業者は、毎日城を訪れる。スベーク城に住み込みで働いている使用人はともかく、都度街からやって来る業者はさすがに把握していないので、その男もそうした一人なのだろう。警備のために巡廻している兵士たちも、男の挙動をちらっと目で追って探ってはいるようだが、特に危険を感じないのか声をかけることはない。
男はしばらくの間、一頭ずつ馬の様子を確認するように見て回った。しかし特に気なるところはなかったのか、そのまま東門へ向かい、マルドレーゼに続く長い階段を下りていった。
(やっぱり、外部の業者の方なのね)
そう結論付けて、ティルフィーユは南棟の入り口に戻った。そしてそこで案内の議員と共に、儀式を終えた最後の民を見送る。
こうして離穢の儀一日目は問題なく過ぎていった。
◆◇◆◇◆
翌日、関係者以外立ち入り禁止とされた南棟の祈りの広間で「清祈の儀」が執り行われた。離穢の儀で人々から分離されて「聖壺」に溜められた穢れの象徴である黒い炎を浄化する儀式だ。これは聖女と神官のみによって行われ、ティルフィーユたちはただその儀式が終わるのを待つだけだった。
離穢の儀と同じく、清祈の儀もレシクラオン神皇国で日常的に行う場合よりも時間はかかったとのことだったが、いくらかは楽だったと聖女様は嬉しそうにティルフィーユに告げた。
「人々の祈りが届いたと、ウォンクゼアーザ様がお喜びでした」
清祈の儀を終えて客室に戻った聖女様は、ハーブティーを飲みながらティルフィーユにそう話した。ティルフィーユは聖女様の話し相手になろうと、向かい合うようにソファに腰を下ろした。
「聖女様は神の声が聞こえるのですね」
「人の声が聞こえるのと同じように、正確に聞こえるわけではないのですよ? 神がそう思われていると……心で自然と感じ取れるのです」
「それは、聖女様だからわかることなのでしょうか」
「信心深い神官たちでも、同じように感じ取れることはあります。ウォンクゼアーザ様は非常にのんびりとしたお方で、私たち人間に細やかに干渉することはありません。けれども、いつだって私たちを見守ってくださっているのです」
聖女様は胸まで伸びている銀髪を耳にかけながらほほ笑んだ。
「ティルフィーユさん、ありがとうございました。あなたが国民の皆様に祈るようにお願いしてくださったことで、儀式でかかる負担が減りました」
「いえ、そんな……実際に祈ってくださったのは民の方々です。私なんかただ、聖女様たちから教えていただいたことを説明したくらいで……」
「それがとても助かりました。どうかティルフィーユさんも、いつでも構わないのでウォンクゼアーザ様に祈ってくださいね。神はお喜びになられると思います」
それからティルフィーユは、聖女様とたわいない話を続けた。
ティルフィーユから見た聖女様はとても特別な女性で、世間話をするなど恐れ多いと思ったが、既婚者同士ということもあって夫婦関係の話になると、聖女様もリラックスしたように夫君について話してくれた。「秘密ですよ」との前置きがあったので今後誰にも話せない内容ではあるが、なんと聖女様とその夫、ディルク・エングム部隊長は二人そろって一目惚れだったとか。その出逢いはディルクが離穢の儀を受けに来ていた時のことで、本来なら外れるはずがない目隠し布が不思議な突風のせいで外れてしまい、そのタイミングで目が合った二人は互いに一目惚れをしてしまったらしい。そこからどうやって結婚にまで至ったのかはさすがに教えてくれなかったが、聖女様は懐かしむようにこう言った。「すべては神のおかげです」と。
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