Be with you.

七部(ななべ)

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受験よりも難しいもの。

第八話 1ヶ月後には、後、1ヶ月後には

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11月。この頃からうちの学校の銀杏が黄色になってきた。紅葉だ。
校門に入っていき、銀杏の葉見ながら登校していたこの日。
柚愛「おはよー。こーたろー!起きてー!」
肩を叩きながら目が一気に覚めた。冷めると同時に顔が赤くなっていく。
「ん?あ、おはよー。目覚めたよ。」
肩を叩き返す僕。立派な最高学年と上級者になった気がする。それ横目に中1は今日も元気に門をくぐっている。
小山台先生「おはようございます。1時間目の総合の時間は、みなさんもう近づいてきました、『修学旅行』の話についてです。まず、今回は京都、大阪に行きます。あくまで、学習ですので、間抜けしないように。」
クラス内がざわざわし出す。
小山台先生「また、細かいことは学年集会で伝えますが、宿泊班は5、6人班で、好きな班でやっていいとの事なので、とりあえず、班決めをしたいと思います。じゃあ、やって下さい。」
一気に騒ぎ出し、それぞれ固まっていく。
まず僕は榎本のところへ駆け寄る。そのまま、友達である、岡村、中林、陣内、佐藤を連れこの6人班で決まった。柚愛の方を見ると、伊丹さんに、永井さん、岩崎がいた。
小山台先生「じゃあ、班長、副班長、風呂、給食、保健係を決めます。6人班は風呂係を2人にして下さい。決まったところから、先生に渡して下さい。」
佐藤「班長、誰にする?」
「僕したい!」
榎本「はいっ。社で確定ね。じゃあ副班長するわ。いい?」
陣内「OK。」
着々と進んでいき、6人前の係が決まった。班長である僕が先生のところに係決め用紙を提出した。
小山台先生「社が班長か。頑張れよ。」
「はい。なんとか頑張ります。」
柚愛「先生、提出します。」
自席へ戻っていく。
「柚愛は係何にした?僕は班長。」
柚愛「一緒!一緒に頑張ろうね!」
「うん!」
『一緒』という言葉に弄ばれながら、この時間は終わった。

部活動でホルンを引く。実はこの日は最後の部活だ。後輩たちが歌を合奏してくれるそうだ。
日曜日よりの使者が弾かれていく。後輩達がここまで成長したと思うと涙が出てきそう。
成沢先生「安倍、泣くな。安倍ぇ。」
先生も涙が溢れてた。青春の1ページが刻まれた音が鳴った。
下校中、安倍の話に付き合いながら少し遅れて家に着いた。
スマホの覗くとラインが一件、来ていたので見てみた。
柚愛「明日さ、遊べる?」  午後6時02分
デ、デートという事か。
固唾を飲み込む。うまく飲み込めない。
「いいよー」  午後6時17分   
柚愛「午後1時30分に図書館集合ね?」 午後6時17分
「うゆ」  午後6時18分     

明日
午後1時から徒歩10分で行けるところを自転車で走る。信号待ちの刹那刹那がもどかし過ぎる。
図書館に着いた。腕時計を見ると時刻1時6分。中に入ると柚愛の姿があった。
ここの図書館は屋上に話せるスペースがある。そこは謂わば憩いの場となり今時の小中高校生たちはたわむれている。
そのまま屋上へ行くと、人は小学生男子4人と女子2人。一軍だなぁ。
2人がけの白いテーブルと椅子に腰掛ける。
柚愛「修学旅行の話なんだけどさ、班長会終わったら私たちこーたろーのとこ行くよ。ちょっとだけしか時間ないけど。」
「お、おう。じゃあまず、作戦を立てよう。8時半に小山台先生が見回りに来る。次はもう寝る時間帯。班長会が終わるのは8時20分だからさ、一回10分だけ待ってから来てよ。」
柚愛「さすがこーたろー!そういうところがやっぱり好きだわ。」
柚愛がまんべんの笑顔で僕の方を見る。顔が一気に赤くなる。僕もやっぱり柚愛が大好きなんですわ。
「ゆあ、やっぱり柚愛と居たいなぁ。」
柚愛「なに?何か言った?」
I said “I wanna be with you.”
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