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題名のない3年間。
第十七話 正解 ー後編ー
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2月25日、あ、明日で運命が決まる。欠けるかもしれないし、埋まこともある。
21時の勉強机に書き書きシャーペンを走らせる。やっぱりヘキサゴナルは長期筆記に特化してる気がする。
24時。日が跨いだ。今日ぼくは第一志望を受験する。そう思うとより一層緊張する。寝れなくなる。
外に出た。今日の夜空は満点の空に君の声が響いてもいいように綺麗だ。
初めて君と話した時、今でも鮮明に覚えてる。おはようっていうだけにどれだけつまずいたものか。君は流暢におはようっていってたけど。
k、告白した時だって覚えてる。脳が恥ずかしすぎて朧げにしか覚えないようにしたけど。君も僕と同じように照れていた。これだけはわかった。脳が溢した唯一の情報だ。
そして今日、大好きな人と一緒に受験する。あばよくは、一緒の高校に、行く。手に塩っ辛いもんを零したい気分だ。
朝
僕は柚愛と一緒に明保野中央へ向かう。最寄り駅から5駅だ。
柚愛「こーたろー!」
「ごめん。緊張してて全然寝れなかった。」
柚愛「www、私も寝れなかった。」
「今日寒いね。愛知県の最低気温1℃でしょ?」
柚愛「そうなの!?雪降るじゃんね。」
手を繋ぐ。
柚愛「着いたね。最初国語、初っ端からきついなぁー。」
「うん。国語苦手すぎるんだが…」
柚愛「こーたろぉ国語嫌いだよねぇ、がんばっ!」
「あ、ありがとう。」
会場に着く。僕は1027番。3階の2ー4組の1番窓際の席だ。会場には数名の受験生がいる。ずっしりした図体に見え、ますます気分が悪くなる。
7時59分、あと1分で試験が始まる。シャーペン右手のそば。解答用紙の重しになるように消しゴムを置く。
浅い深呼吸。
『始め!』
読解文を読み解いていく。普通の随筆文なのに全く頭に入ってこない。手が震えるのに呼応するように鉛筆を走らせる。なんとか喰らい付いている。
『終わり!』
…
『始め!』
……
『終わり!』
………
『始め!』
…………
『終わり!』
……………
『始め!』
………………
『終わり!』
…………………
『始め!』
…………………
『終わり!』
…………………
ー終了後ー
柚愛「こーたろ。どうだった?」
僕の手にはお望み通り塩っ辛いもんが溢れていた。嫌な気分だ。
電車の中でありったけ話した。5教科全てできなかったこと。
ガタンコトンと電車は無常に動き僕の体を揺らす。若干柚愛に当たった。さらに涙の降下量を強めた。
駅に着き、2人で歩いていく。無気力になった僕は柚愛に何もすることができなかった。何もすることができなかった。何かできる脳が無かった、僕には。
柚愛は何も言わずにただただ無言のままで一緒に帰った。
明保野中央高校 不合格。
分かっていたけど、やっぱり自分には受け止めきれなかった。受け止める量の心が無かった。
あの日、一緒に帰った情景が浮かんできた。
悲しみが悲しみで終わらないように柚愛は僕のそばにいてくれた。
一緒に居るんじゃなくて一緒にそばに居てくれたんだ。
ーI don’t wanna be with you.
I’ll always be with you side.ー
21時の勉強机に書き書きシャーペンを走らせる。やっぱりヘキサゴナルは長期筆記に特化してる気がする。
24時。日が跨いだ。今日ぼくは第一志望を受験する。そう思うとより一層緊張する。寝れなくなる。
外に出た。今日の夜空は満点の空に君の声が響いてもいいように綺麗だ。
初めて君と話した時、今でも鮮明に覚えてる。おはようっていうだけにどれだけつまずいたものか。君は流暢におはようっていってたけど。
k、告白した時だって覚えてる。脳が恥ずかしすぎて朧げにしか覚えないようにしたけど。君も僕と同じように照れていた。これだけはわかった。脳が溢した唯一の情報だ。
そして今日、大好きな人と一緒に受験する。あばよくは、一緒の高校に、行く。手に塩っ辛いもんを零したい気分だ。
朝
僕は柚愛と一緒に明保野中央へ向かう。最寄り駅から5駅だ。
柚愛「こーたろー!」
「ごめん。緊張してて全然寝れなかった。」
柚愛「www、私も寝れなかった。」
「今日寒いね。愛知県の最低気温1℃でしょ?」
柚愛「そうなの!?雪降るじゃんね。」
手を繋ぐ。
柚愛「着いたね。最初国語、初っ端からきついなぁー。」
「うん。国語苦手すぎるんだが…」
柚愛「こーたろぉ国語嫌いだよねぇ、がんばっ!」
「あ、ありがとう。」
会場に着く。僕は1027番。3階の2ー4組の1番窓際の席だ。会場には数名の受験生がいる。ずっしりした図体に見え、ますます気分が悪くなる。
7時59分、あと1分で試験が始まる。シャーペン右手のそば。解答用紙の重しになるように消しゴムを置く。
浅い深呼吸。
『始め!』
読解文を読み解いていく。普通の随筆文なのに全く頭に入ってこない。手が震えるのに呼応するように鉛筆を走らせる。なんとか喰らい付いている。
『終わり!』
…
『始め!』
……
『終わり!』
………
『始め!』
…………
『終わり!』
……………
『始め!』
………………
『終わり!』
…………………
『始め!』
…………………
『終わり!』
…………………
ー終了後ー
柚愛「こーたろ。どうだった?」
僕の手にはお望み通り塩っ辛いもんが溢れていた。嫌な気分だ。
電車の中でありったけ話した。5教科全てできなかったこと。
ガタンコトンと電車は無常に動き僕の体を揺らす。若干柚愛に当たった。さらに涙の降下量を強めた。
駅に着き、2人で歩いていく。無気力になった僕は柚愛に何もすることができなかった。何もすることができなかった。何かできる脳が無かった、僕には。
柚愛は何も言わずにただただ無言のままで一緒に帰った。
明保野中央高校 不合格。
分かっていたけど、やっぱり自分には受け止めきれなかった。受け止める量の心が無かった。
あの日、一緒に帰った情景が浮かんできた。
悲しみが悲しみで終わらないように柚愛は僕のそばにいてくれた。
一緒に居るんじゃなくて一緒にそばに居てくれたんだ。
ーI don’t wanna be with you.
I’ll always be with you side.ー
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