モンキー骨董屋

さる

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ネネ

ネネのきまぐれ

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夕暮れ。
骨董屋の入り口の鈴が、軽い音を立てて揺れた。

ブルーノが顔を上げると、
白いワンピースの女が静かに立っていた。

「すみません。オルゴールを探しています」

声はきれいだった。
音階でいえば、濁りのない“ラ”の音のように。

ネネはゆっくりと店内を歩く。
古いランプ、木箱、錆びた金属――
それらを眺める彼女の瞳は、どれも同じ色で受け止めているようだった。

ブルーノは不思議に思った。
普通の客は、ここに来れば“怖さ”や“薄気味悪さ”を多少なり感じる。
だがネネには、まったく影響がないように見えた。

(……こいつ、温度が無いな)

そのとき、奥からトオルが飛び出してくる。

「ブルーノさん! 例の宝箱っぽいやつ、裏で――」

瞬間、トオルはぴたりと動きを止めた。
ネネを見て、目を丸くする。

(……なんだこの人。
 雰囲気、漫画の“無表情系ヒロイン”じゃん……!
 いや、悪役側の参謀の可能性もある……!)

ブルーノ「トオル、お前は黙ってろ」

ネネは二人を見比べ、小さく首を傾げた。

「仲がいいんですね」

その言葉を聞いた瞬間、ブルーノもトオルも
同時に背筋がぞくりとした。

“仲がいい”と言われる状況ではない。
だがネネの声には、一切の皮肉も、揶揄もない。

ただ――
本当に感情がないだけだった。

ネネは棚のオルゴールを手に取り、蓋を開ける。
鈍い音色が流れ出す。

ネネ「……違う。群青色の音じゃない」

ブルーノ「……なんだそれ」

ネネは静かに微笑んだ。

「音には色があります。
 私の欲しい音は、もっと深くて……
 人の心が沈む時の色なんです」

その言葉に、ブルーノは少しだけ興味を覚えた。

(こいつ……匂うな。
 人を壊す匂いじゃなく、“壊れた人間”の匂いだ)

トオルもまた、ネネを見つめる。

(まさかの……新キャラ加入……!?
 しかも“冷たい美少女”枠……!?
 やばい、悪役チーム強くなるじゃん……!)

三人の視線が交差する。

だがその中心には、
誰一人知らない、淡い“群青”色の深淵が広がっていた。
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