再会

ひまわりちゃん

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再会

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「紗夜。これ届いていたわよ。」
久しぶりの実家。母親が1枚のハガキを差し出した。中学の同窓会のお知らせだった。

幼馴染みの梨花にメールした。
(同窓会行く?)
(うん!!紗夜も行こうよ~)
(わかった。)
  
   同窓会当日。ホテルでの同窓会だったので、一応小綺麗な格好をして行った。何か緊張すると思いながらも、梨花を探した。

「紗夜~!!」
梨花が手を振ってきた。あぁいたいたと安心した。中学で仲良かった子は本当に少なくて、梨花ぐらいだった。
「よかった梨花がいなかったら、意味ないから。私、そんな皆と仲良くないからさぁ。」
「そうだっけ?あっ!そういえば、紗夜がずっと好きだった田沼君来てるよ!!行こ行こ!!紗夜仲良かったじゃん。」
梨花は本当に明るいというか、調子がいい子だった。腕を掴んで、田沼君の所まで引っ張っていった。

「田沼君!!久しぶり!!覚えてる??梨花だよ。こっちは紗夜!!」
「おぉ。久しぶり!!お前ら綺麗になったなぁ。もちろん覚えてるよ!!紗夜久しぶりだな!!」
「うん。久しぶり。」
「何か、女性らしくなったなぁ。」
「えっ?」
「うん。雰囲気もだけど、話し方とかも昔と違うよ。」
「そうかな?もう歳だからじゃない?」
笑って返した。
「落ち着いたな。あっ2次会やるから来いよ!!」
「うん!!行く行く!!」
と。梨花が返事をした。

   それから、梨花に連れ回されて皆と話して懐かしい気持ちになった。

   2次会の場所に行くと、梨花は私を置いて皆の輪の中に入っていった。私は、しょうがないなぁと思いカウンターで1人で飲んでいた。すると、隣に田沼君が座ってきた。私は、ドキドキした。特に、彼氏がいるわけでも好きな人がいるわけでもなかったので久しぶりの男性でしかも好きだったのでその頃の気持ちが蘇ってきた。

「突然だけど、紗夜は今誰かいるの?」
「えっ?」
「指輪はないから、結婚はしてなさそうだから彼氏とか…」
「あぁ…全然。もう恋する気持ち忘れちゃった。ってぐらいよ。」
「そうなんだ。よかった…」
「えっ?田沼君は?」
「俺も、今フリーだよ。俺、実は中学の頃紗夜のこと好きだったんだよ。今日、紗夜に会えてよかったよ。ハガキきた時から会えないかなって思ってたんだよな。」
「………そ…そうなの?ビックリ…」
正直に嬉しかった。でも、本当かなと疑心暗鬼にもなっていた。それから、他愛もない会話をしたり素直に楽しかった。

「なぁ?ちょっと抜け出して2人で飲み直さないか?」
「うん。いいよ。」
私は、もうすっかり昔の気持ちに戻っていた。

    2人でこっそりと抜け出して、ホテルのバーにきた。ホテルって時点で何となくは思っていたけど…

「紗夜。部屋行かないか?」
「うん…。」

やっぱり…。でも、もう気持ちは止められなかった。田沼君の腕の中で、私は心地よい気持ちになっていた。そして、愛おしく思えた。

   すると、携帯が鳴った。田沼君はちょっと焦っていたのがわかった。

「どうしたの?大丈夫?」
「う…うん。会社の上司だよ。何だろうなこんな時間に。ちょっとごめんな。」

   戻ってくると田沼君は帰る支度を始めた。「ごめんな。ちょっと急用ができた。また連絡するから。」
と、おでこにキスをして部屋を出ていった。

   1人でベットにうずくまり、2人で過ごした時間を思い出していた。

   次の日、梨花からメールがきた。
(昨日、田沼君とどこに消えたの?!ビックリしたんだから!!)
(うん。ちょっと飲み直してたよ。)
(まさかやってないわよね?)
(えっ?何で?)
(田沼君、結婚してるから!!)
携帯が、手からスルリと落ちた…。あぁ遊ばれたんだ…と。悲しいを通り越して悔しかった。

     夜、田沼君から連絡がきた。
(紗夜。ごめんな。俺、嘘ついたわ。実は、結婚してて今嫁は妊娠中。紗夜があまりにも綺麗になってて、本当に好きだったからつい…)
(うん…。梨花にきいた。もういいよ。いい思い出をありがとう。奥さん大事にしてね。)
気づいたら、涙がこぼれていた。でも、いい思い出をありがとうって思った。次は、騙されないでいい人をみつけよう。私は、涙を拭いて前を向いた。

いい恋をしよう…。
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