私しか憶えてられない友人

1，始まり

高校生活と言われれば青春真っ只中な筈だがクラスメイトとですら会話も続かないような日々、最近はずっと他人の事を観察している。ふと窓の外を見ると青空と夏らしい雲があった、あの雲達は自由でいいな、なんてくだらない事を考えては現実に引き戻される。キーンコーンカーンコーンと鐘が鳴るきっと今頃校門が閉められ初めているのだろう。下校はもちろん一人だ、だからこそ色々な所へ行ける。今日は何処へ行こうかと考え、近くの山の山頂付近にある神社に向かう事にした。あそこはこの町が見渡せる所らしいが、神社は古いものであまり整備されていないそうだ。階段前に着いた。神社はそこから見えないがいつか着くだろうと石段を一歩一歩上っていく、石段には苔が生え昔からここがあったという事を知らせてくれる。町が見渡せるほどの高さということもあり石段があっても疲れる。少し息を切らせながら休みつつ周りを見ると木々に囲まれて森の中を突き進んでいるような状態だ幻想的で何処か別の世界に繋がっているのではないかと思う様な光景、この先に何があるのか、さらに期待が募ってゆく。一体何十分登っただろうかやっとのことで鳥居頑張る見えてきた、其処はとても良い眺めが有る場所だった。青々と茂る木々の有る山、そしてその下に自分のよく知る町があった。こんなに綺麗な所をみんな知らないのは損だな、と感じつつも、この風景を独り占めできるのが贅沢でたまらないな、とも思う。昔はここも来る人がいたのだろう、屋根が付き、簡単な木製の机と椅子があり、座って休めそうだ。少し休んでいると雲がなくなり綺麗に晴れた。が、水の滴が落ちてきた晴れたまま降るなんて珍しい、少し雨宿りして戻るかと思い机の上に伏して居眠りしていた。
筈だった。