インシツな指先

カゲマル

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嫌悪感

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 高木はどうやら一人のようだ。
 何を探しているのかは知らないが、キョロキョロと辺りを見回している。
 俺は近くの柱にもたれかかり、スマホを弄るふりをしながら、彼女の私服を確認した。
 シンプルな上着に、下はジャージで尻のラインが強調されている。
 ……よし、こりゃあいい。
 降ってわいた幸運を噛み締めるように、俺は彼女のあとをつけた。

 ・・・

 なるほど、本屋か。
 高木は参考書のコーナーへと向かい、数学のものをいくつか見比べていた。
 そういえば、こいつはそこそこ成績がよかったな。
 周りには数人の学生っぽいのや、親子連れがいて、それなりに混み合っている。
 ……この方がやりやすい。もし何か言われても、ぶつかったとか言い訳できるからな。
 俺は何冊か参考書を吟味するふりをしながら、高木のほうをチラ見した。
 そして、彼女が下の段を調べようと尻を突き出したタイミングで、そっと近づき、手の甲で形のいい尻を撫でた。

「あっ、すいません……」

 ぶつかってしまったと思った彼女は健気にも謝罪の言葉を口にするが、こちらは構わず別のコーナーへと向かった。
 体操着よりも薄い生地だったせいか、尻の感触と温もりが普段より強く伝わり、別の棚の前で、しばらく興奮で頭がぼーっとなってしまう。
 ……おっと、いけない。高木の表情を確認して、さっさと立ち去らなきゃな。

 ・・・

 び、びっくりした……。
 本を見るのに夢中になってたからかな?でも、撫でられたような……気のせいだよね?
 学校での事を思い出してしまう。尻の辺りに嫌な感触が生々しく甦ってきて、つい眉をしかめてしまった。
 でも、どれも偶然かもしれないし……。
 すると、さっきぶつかってきた人が近くを通った。
 目が合ったけど、私はすぐに逸らした。

 ・・・

 帰り道を歩いていると、店を出る前に高木と目が合ったことを思い出した。
 本人は意識しているかわからないが、明確な嫌悪感が滲み出ていた目つきだ。
 何故かそのことに興奮を覚えてくる自分がいる。
 ……次からはもう少し商業施設に行く回数を増やすかな。
 ほのかな期待を胸に、俺は気持ち早めに足を動かした。

 ・・・

 ある日の仕事帰り。
 俺は今度は別の商業施設を訪れている。
 さて、ターゲットはどの辺りだったかな?
 今回使う道具はしっかりと装着してある。
 すると、視界に周りの店員と比べて、ひときわ綺麗な店員がいた。
 ……あれが今回のターゲットか。
 俺はいつもの仕事をこなすような淡々とした足取りで彼女の方へ足を進めた。
 
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