【完結】誤解から溺愛になるまで、神様がサポートして二人の恋を後押しします

成実

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回帰前  アレクサンデル視点

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 なぜなんだ、僕とシアは幼い頃はとても仲良く、このまま仲良し夫婦になると言われていた。

 お互い7歳の時の祝福を頂いてから、歯車があわなくなってきた。

 僕の祝福の無口は、政権争いに巻き込まれないようにと言う神の心遣いだと母上がおしゃっていた。

 シアのツンデレは、初めての言葉でどのような意味をもたらすのかわからないものだった。

 ただ、母上も侯爵夫人も、神々がくださる祝福だから、幸せになるものだと信じて疑わなかった。

 僕も無口を頂いてから、自分の気持ちを言う事が少なくなってきたような気がする。

 前は、もっと色々と、話してたはずなのに、自分が思ったことを話すと言う事をなんだか、しなくても良い気持ちになった。 

 シアの方も、あんなに可愛く話していたのに、刺々しい話し方を僕に頻繁にする。

 他の人との会話はそんな事はないのに、僕との会話では、冷たいような怒ったような言い方だ。

 たぶん、以前の僕なら、どうしてそんな事を言うの?と聞いていたと思うが、今の僕はモンモンとするだけで、聞けない。

 僕を守るための祝福だけど、言葉に出せない気持ちが気持ち悪いと言うか、何ともモヤモヤする。

 8歳の時にシアのお母様の侯爵夫人が亡くなられた。

 母上もたいそう悲しまれたが、侯爵のなげきが凄かった。出棺されるときの号泣、シアもずっと泣いていたが、大人の侯爵の号泣には、参列者も何とも言えない悲しみに覆われた感じだった。

 そして、悲しみのあまり、葬儀が終わり数日したら、シアを残して、領地に行ってしまった。

 シアだって悲しいのに子供を置いて行くのかと思ったが、口には出さなかった。

 ますます、シアはキツイ言い方をするようになった。          
 昔のシアに戻って欲しいのに、それさえも言えない自分が悲しかった。

 2年後、侯爵は新たな侯爵夫人を迎えた。シアを理解していた、ばあやが亡くなった。シアの悲しみは前侯爵夫人を亡くした時と同様に泣き崩れていた。

 僕は、また何も言えなかった。

 父である、侯爵もシアをどのように扱ってよいのかわからないのだろう。

 ますます、親子の距離は離れていき、そんな時にシアに弟が出来た。

 シアは義母となる侯爵夫人とうまくいってないようだった。

 侯爵家は、シアを抜かして、幸せを取り戻す感じになった。

 母上はシアを心配してよくお茶に呼んでいた。シアは母上の前では、気持ちを言えるのか、遠くから見たシアの顔は昔の笑顔だった。

 シアは、僕と結婚するので、妃教育が始まっていた。

 ただ、すでに王族を降下して、公爵夫人になることが決まっているので、簡単な王族の勉強とレディの嗜みをみっちりさせられているようだ。

 王族に嫁ぐ者は王家の血しか産んではならないため、不貞だけには厳しかった。

 僕達はラブラブと言うわけではないけど、お互いの絆を感じでいた。

 僕自身も領地運営の勉強に辟易しているのだから、同じ時間シアも大変だったと思う。

 僕たちは勉強の後に何度もお茶をしたが、母上と話すような笑顔を僕には見せてはくれなかった。

 15歳から18歳までの3年間は、王族や貴族の行く学園に通う。

 基本、全寮制だか、僕は兄上達の仕事も手伝っていたので、城から通っていた。

 ぼくは、第三王子だか、すでに公爵になることが決まっているので、令嬢がたには優良物件だったようだ。

 だから、あんな事件がおきたのか、今になってはわからない。

 シアは、高位令嬢達と度々喧嘩みたいな争いをしていた。

 勉強の後のお茶会の時、冷たい声で

「アレク様はおもてになりますのね。私と言う婚約者がおりますのに。
 私のような者では、釣り合いが取れないと、言われますの。
 アレク様は優しいから、何も言えないから、私から身を引けと。

 このような話を聞いても何も私におっしゃってはくださいませんのね……

 だから、ご令嬢方は、アレク様が私を嫌っていると……

 何も言われないのがアレク様の気持ちということですか?
 お茶会の途中ですが、私はこれで……」 


 僕は、何を言われたのか反芻している間に、シアは走っていってしまった。

 今思い返すと、あのときシアが話してくれた時に手をうっておけば、あのような事が、おこらなかったのではないか、今となっては後悔ばかりだ。

 後悔しても、何も変わらない、シアは毒杯を飲んで死んでしまったのだから。

 最後にみせたシアの顔、あれは決して僕を裏切ってない。

 僕がシアを助けなければならなかったのに。

 僕の口はシアを助けるための言葉をひらかなかった。

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