26 / 96
26
しおりを挟む
sideフレディ
学院の新学期が始まった。グレイとの生活は思ったより快適に過ごせた。
最初の一週間は、胃が痛くて仕方がなかったが、初日の王子殿下やレイモンド先輩のときの緊張よりかは、ましではないかと思ったら、気さくに対応が出来るようになった。
流石に、殿下は僕達の部屋には来ないが、レイモンド先輩は、暇さえあれば部屋を訪ねてくる感じだ。
会う回数が増えて、緊張もしなくなってきた。
レイモンド先輩は、イブのお菓子が大好きで、クッキー缶をだすと、それは嬉しそうな顔をする。
姉様が甘いものは人の心を和ませるとよく言っていたのを思い出す。
本当は、この美味しいお菓子を作ったのは姉様ですと自慢したいけど、身分がある人は厨房に入らずと言われているから、姉様が作ったことを隠さないといけないんだ。
レイモンド先輩は、僕の名前が書いてある缶がすごく気になるらしく、よくあの缶にはどんなクッキーが入っているんだろかと聞いてくる。
人参が嫌いな僕の為に人参を練り込んだクッキー、人参嫌いがバレると恥ずかしくて、いつも言葉を濁していた。
授業が終わり、グレイがいない部屋でくつろいでいた時に、レイモンド先輩が来たのだ。
いつもならグレイがいるので、何か失敗してもフォローしてくれるから大丈夫だと安心していた。
僕だけならレイモンド先輩も帰るだろうと、グレイの不在を告げたのだが、レイモンド先輩はグレイは関係ないと言う。
「良かったら、お茶とクッキーでも。あ、夕食前だから、お茶だけにしましょうか?」
「気を使わせてしまって、済まない。できたら、クッキーも食べたい。
今日の昼のメニューは野菜が多いから、お腹が空いているんだ。
野菜嫌いな生徒もいるんだから、全員同じメニューではなく、選べるのがいいんだが、なかなか難しい」
「レイモンド先輩、野菜が嫌いなんですか?
実は僕も人参が嫌いで……あ、そうだ、先輩いつも僕の名前が書いてある缶気にしてたじゃないですか、良かったら食べますか?
人参嫌いな僕の為に、人参を練りこんだクッキーなんですよ。
ちょっと人参の味がするけど、食べやすく美味しいんですよ」
「人参を練り混んだクッキー、ぜひ食べてみたい」
レイモンド先輩も野菜嫌いと聞いて、安心して人参クッキーが出せる。
僕には美味しく感じたけど、レイモンド先輩はどうかな。
レイモンド先輩をみると、次から次に食べている。
人参の味がするけど美味しいよね。
「レイモンド先輩、美味しいですか?良かったです。
人参の味が結構しますけど、あまり気にならないんですよ。僕の体を考えて作ってくれたんです」
「すごい、野菜が全部嫌いな私でも食べれる。他に、野菜クッキーはないのだろうか?」
「僕が人参だけは苦手で、後は食べれるので、野菜クッキーはこの味だけです。
えっと、出来るかどうかはわかりませんが、今度帰ったときに野菜クッキーの他の味が出来ないか聞いてみます。
やはり先輩も、野菜嫌いを克服したいですよね。僕もこの人参クッキーを食べてからは、少し人参が食べられるようになったんです。
だから、野菜クッキーから少しずつ克服するのもいいかもしれませんね」
「フレディ、ありがとう。ぜひ、頼みたい。この人参クッキーはイブで売り出さないのか? 野菜嫌いな子息がいる貴族は買うと思うのだか」
「うん、どうでしょう。もともと、イブを初めたのも、去年領地が不作で、税の立替を伯爵家でしまして、恥ずかしながら、うちはそこまで裕福な領地ではないので、僕の学院の学費をあてるしかなかったんです。
学費を稼ぐために、お菓子を販売をし、学費が払えたので、そこまで新作にこだわらないかもしれません。
でも、新作を楽しみにされているなら、イブでは販売しなくても、あるかもしれないので、今度持ってきますね。
やはり、店に出すなら沢山作らないといけないんですが、量産が難しいお菓子も沢山あるみたいです。
だから、レイモンド先輩がそこまで好きなら、今度持ってきます」
レイモンド先輩の顔がみるみる輝いて行くのは、僕の見間違いなのだろうか。
例えが悪いかもしれないけど、大型犬が尻尾を振って、喜んでいる感じだ。
最初は、すっごく緊張したけど、こうやってお菓子を一緒に食べていると、お兄様みたいな感じで不思議だなあ。
やはり姉様の言う通り、甘いものは人を和ませるんですね。
学院の新学期が始まった。グレイとの生活は思ったより快適に過ごせた。
最初の一週間は、胃が痛くて仕方がなかったが、初日の王子殿下やレイモンド先輩のときの緊張よりかは、ましではないかと思ったら、気さくに対応が出来るようになった。
流石に、殿下は僕達の部屋には来ないが、レイモンド先輩は、暇さえあれば部屋を訪ねてくる感じだ。
会う回数が増えて、緊張もしなくなってきた。
レイモンド先輩は、イブのお菓子が大好きで、クッキー缶をだすと、それは嬉しそうな顔をする。
姉様が甘いものは人の心を和ませるとよく言っていたのを思い出す。
本当は、この美味しいお菓子を作ったのは姉様ですと自慢したいけど、身分がある人は厨房に入らずと言われているから、姉様が作ったことを隠さないといけないんだ。
レイモンド先輩は、僕の名前が書いてある缶がすごく気になるらしく、よくあの缶にはどんなクッキーが入っているんだろかと聞いてくる。
人参が嫌いな僕の為に人参を練り込んだクッキー、人参嫌いがバレると恥ずかしくて、いつも言葉を濁していた。
授業が終わり、グレイがいない部屋でくつろいでいた時に、レイモンド先輩が来たのだ。
いつもならグレイがいるので、何か失敗してもフォローしてくれるから大丈夫だと安心していた。
僕だけならレイモンド先輩も帰るだろうと、グレイの不在を告げたのだが、レイモンド先輩はグレイは関係ないと言う。
「良かったら、お茶とクッキーでも。あ、夕食前だから、お茶だけにしましょうか?」
「気を使わせてしまって、済まない。できたら、クッキーも食べたい。
今日の昼のメニューは野菜が多いから、お腹が空いているんだ。
野菜嫌いな生徒もいるんだから、全員同じメニューではなく、選べるのがいいんだが、なかなか難しい」
「レイモンド先輩、野菜が嫌いなんですか?
実は僕も人参が嫌いで……あ、そうだ、先輩いつも僕の名前が書いてある缶気にしてたじゃないですか、良かったら食べますか?
人参嫌いな僕の為に、人参を練りこんだクッキーなんですよ。
ちょっと人参の味がするけど、食べやすく美味しいんですよ」
「人参を練り混んだクッキー、ぜひ食べてみたい」
レイモンド先輩も野菜嫌いと聞いて、安心して人参クッキーが出せる。
僕には美味しく感じたけど、レイモンド先輩はどうかな。
レイモンド先輩をみると、次から次に食べている。
人参の味がするけど美味しいよね。
「レイモンド先輩、美味しいですか?良かったです。
人参の味が結構しますけど、あまり気にならないんですよ。僕の体を考えて作ってくれたんです」
「すごい、野菜が全部嫌いな私でも食べれる。他に、野菜クッキーはないのだろうか?」
「僕が人参だけは苦手で、後は食べれるので、野菜クッキーはこの味だけです。
えっと、出来るかどうかはわかりませんが、今度帰ったときに野菜クッキーの他の味が出来ないか聞いてみます。
やはり先輩も、野菜嫌いを克服したいですよね。僕もこの人参クッキーを食べてからは、少し人参が食べられるようになったんです。
だから、野菜クッキーから少しずつ克服するのもいいかもしれませんね」
「フレディ、ありがとう。ぜひ、頼みたい。この人参クッキーはイブで売り出さないのか? 野菜嫌いな子息がいる貴族は買うと思うのだか」
「うん、どうでしょう。もともと、イブを初めたのも、去年領地が不作で、税の立替を伯爵家でしまして、恥ずかしながら、うちはそこまで裕福な領地ではないので、僕の学院の学費をあてるしかなかったんです。
学費を稼ぐために、お菓子を販売をし、学費が払えたので、そこまで新作にこだわらないかもしれません。
でも、新作を楽しみにされているなら、イブでは販売しなくても、あるかもしれないので、今度持ってきますね。
やはり、店に出すなら沢山作らないといけないんですが、量産が難しいお菓子も沢山あるみたいです。
だから、レイモンド先輩がそこまで好きなら、今度持ってきます」
レイモンド先輩の顔がみるみる輝いて行くのは、僕の見間違いなのだろうか。
例えが悪いかもしれないけど、大型犬が尻尾を振って、喜んでいる感じだ。
最初は、すっごく緊張したけど、こうやってお菓子を一緒に食べていると、お兄様みたいな感じで不思議だなあ。
やはり姉様の言う通り、甘いものは人を和ませるんですね。
935
あなたにおすすめの小説
実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~
空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」
氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。
「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」
ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。
成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。
『婚約なんて予定にないんですが!? 転生モブの私に公爵様が迫ってくる』
ヤオサカ
恋愛
この物語は完結しました。
現代で過労死した原田あかりは、愛読していた恋愛小説の世界に転生し、主人公の美しい姉を引き立てる“妹モブ”ティナ・ミルフォードとして生まれ変わる。今度こそ静かに暮らそうと決めた彼女だったが、絵の才能が公爵家嫡男ジークハルトの目に留まり、婚約を申し込まれてしまう。のんびり人生を望むティナと、穏やかに心を寄せるジーク――絵と愛が織りなす、やがて幸せな結婚へとつながる転生ラブストーリー。
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
【完結】財務大臣が『経済の話だけ』と毎日訪ねてきます。婚約破棄後、前世の経営知識で辺境を改革したら、こんな溺愛が始まりました
チャビューヘ
恋愛
三度目の婚約破棄で、ようやく自由を手に入れた。
王太子から「冷酷で心がない」と糾弾され、大広間で婚約を破棄されたエリナ。しかし彼女は泣かない。なぜなら、これは三度目のループだから。前世は過労死した41歳の経営コンサル。一周目は泣き崩れ、二周目は慌てふためいた。でも三周目の今回は違う。「ありがとうございます、殿下。これで自由になれます」──優雅に微笑み、誰も予想しない行動に出る。
エリナが選んだのは、誰も欲しがらない辺境の荒れ地。人口わずか4500人、干ばつで荒廃した最悪の土地を、金貨100枚で買い取った。貴族たちは嘲笑う。「追放された令嬢が、荒れ地で野垂れ死にするだけだ」と。
だが、彼らは知らない。エリナが前世で培った、経営コンサルタントとしての圧倒的な知識を。三圃式農業、ブランド戦略、人材採用術、物流システム──現代日本の経営ノウハウを、中世ファンタジー世界で全力展開。わずか半年で領地は緑に変わり、住民たちは希望を取り戻す。一年後には人口は倍増、財政は奇跡の黒字化。「辺境の奇跡」として王国中で噂になり始めた。
そして現れたのが、王国一の冷徹さで知られる財務大臣、カイル・ヴェルナー。氷のような視線、容赦ない数字の追及。貴族たちが震え上がる彼が、なぜか月に一度の「定期視察」を提案してくる。そして月一が週一になり、やがて──「経済政策の話がしたいだけです」という言い訳とともに、毎日のように訪ねてくるようになった。
夜遅くまで経済理論を語り合い、気づけば星空の下で二人きり。「あなたは、何者なんだ」と問う彼の瞳には、もはや氷の冷たさはない。部下たちは囁く。「閣下、またフェルゼン領ですか」。本人は「重要案件だ」と言い張るが、その頬は微かに赤い。
一方、エリナを捨てた元婚約者の王太子リオンは、彼女の成功を知って後悔に苛まれる。「俺は…取り返しのつかないことを」。かつてエリナを馬鹿にした貴族たちも掌を返し、継母は「戻ってきて」と懇願する。だがエリナは冷静に微笑むだけ。「もう、過去のことです」。ざまあみろ、ではなく──もっと前を向いている。
知的で戦略的な領地経営。冷徹な財務大臣の不器用な溺愛。そして、自分を捨てた者たちへの圧倒的な「ざまぁ」。三周目だからこそ完璧に描ける、逆転と成功の物語。
経済政策で国を変え、本物の愛を見つける──これは、消去法で選ばれただけの婚約者が、自らの知恵と努力で勝ち取った、最高の人生逆転ストーリー。
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
水魔法しか使えない私と婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた前世の知識をこれから使います
黒木 楓
恋愛
伯爵令嬢のリリカは、婚約者である侯爵令息ラルフに「水魔法しか使えないお前との婚約を破棄する」と言われてしまう。
異世界に転生したリリカは前世の知識があり、それにより普通とは違う水魔法が使える。
そのことは婚約前に話していたけど、ラルフは隠すよう命令していた。
「立場が下のお前が、俺よりも優秀であるわけがない。普通の水魔法だけ使っていろ」
そう言われ続けてきたけど、これから命令を聞く必要もない。
「婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた力をこれから使います」
飲んだ人を強くしたり回復する聖水を作ることができるけど、命令により家族以外は誰も知らない。
これは前世の知識がある私だけが出せる特殊な水で、婚約破棄された後は何も気にせず使えそうだ。
異世界転生公爵令嬢は、オタク知識で世界を救う。
ふわふわ
恋愛
過労死したオタク女子SE・桜井美咲は、アストラル王国の公爵令嬢エリアナとして転生。
前世知識フル装備でEDTA(重金属解毒)、ペニシリン、輸血、輪作・土壌改良、下水道整備、時計や文字の改良まで――「ラノベで読んだ」「ゲームで見た」を現実にして、疫病と貧困にあえぐ世界を丸ごとアップデートしていく。
婚約破棄→ザマァから始まり、医学革命・農業革命・衛生革命で「狂気のお嬢様」呼ばわりから一転“聖女様”に。
国家間の緊張が高まる中、平和のために隣国アリディアの第一王子レオナルド(5歳→6歳)と政略婚約→結婚へ。
無邪気で健気な“甘えん坊王子”に日々萌え悶えつつも、彼の未来の王としての成長を支え合う「清らかで温かい夫婦日常」と「社会を良くする小さな革命」を描く、爽快×癒しの異世界恋愛ザマァ物語。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる