【完結】胃袋を掴んだら溺愛されました

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sideグレイシス・ライル・シェルエント

　お菓子の為に兄上が同室にした、フレディはとても、良い人だった。
　１３歳だから当たり前なのかもしれないが、とても純粋過ぎて、逆に心配になるぐらいだった。

　兄上も、最初はお菓子を食べる目的だったのが、フレディといるのが、楽しいようだ。

　もちろん、クッキーは必ず食べていく。僕がいない間も、ちゃっかり部屋に入って、フレディ専用の缶のクッキーを食べたらしい。

　フレディから、兄上の野菜嫌いの話を聞いて、フレディ専用の人参クッキーを食べたんだと楽しそうに話してくれたのには、ビックリした。
　二人でお茶したのってね。

　兄上は、身内の僕からみても美丈夫だが、人を威圧するかのような雰囲気をかもしだしてる。

　実際、自分が興味がないと、視線で冷たくあしらう。まあ、高位貴族の嫡男だから、いろんな人が近寄ってくるのだから、鬱陶しいのはわかる。

　もともと、お菓子目当てでクライブ令嬢の事を知るために、フレディに近づいていたのは事実だ。

　ただ、兄上自身も気づいていないが、兄上はフレディといるときは、とてもリラックスしてるのだ。
　それこそ、弟の僕といるときよりもだ。

　兄上は、お菓子が食べれて嬉しいからだと思っているが、僕が兄上の部屋を訪ねた時に、クッキーでお茶した時に感じた違和感は、兄上の表情だ。

　自分の部屋でクッキーまで食べているのに、その無表情はなんだと。

　それなのに、僕とフレディがいる部屋では、嬉しそうな柔らかい雰囲気を無意識に出しているのだ。
　前は無表情が当たり前だったのに、学院でフレディがいるときの表情があまりにもやわらかいのだ。

　そして、屋敷に招待だって？普通、同室の同級生の僕が、誘うのが普通だろ。

　僕の予定も聞かずに、フレディをみると、やっぱり慌ててるよ。
　フレディは高位貴族の先輩が誘ってくれてるから断れないよって顔してる。

　本当に純粋ですべて顔にでてる。僕の顔を見て、招待に応じてるよ。僕が何も言わないから、僕も一緒なら大丈夫かな？って感じだろうけど、僕は予定があるからね。

　僕は予定があると言うと、フレディの顔が一瞬で悲痛な顔になった。うーん、兄上はフレディの顔みて、もっと人の機微を知ってもらいたいよ。

　兄上が部屋からでていくと、フレディがどうしようと部屋の中で行ったり来たりしているから、大丈夫だよと声をかけたんだけど、フレディの

「家に帰ろうよ」

　この言葉に引かれて、晩餐に間に合うように帰ると約束した。
　だって姉様がと言うフレディに、クライブ伯爵家では、こんな感じのほんわかする空間があるのだなあと感じたら、僕がクライブ伯爵家に遊びに行きたくなったからだ。

　律儀なフレディなら、僕を招待してくれるだろうから、フレディに恩を売っておこうかなって。

　　お菓子目当ての縁組も、こんな居心地いい伯爵家なら、大当たりではないかと思う。

　フレディと姉の令嬢は仲良しみたいだな。姉上ではなく、姉様かあ、同級生だけど、可愛くないか。

　フレディに、似た性格の姉上なら、僕が結婚したいぐらいだよ。
　兄上と本当に結婚したら、僕のほうが義姉上って、甘えたりしてね。
　兄上とは別の意味でクライブ令嬢に興味津々だよ。