【完結】胃袋を掴んだら溺愛されました

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「姉様、ただいま戻りました。お元気でしたか？」

　フレディの元気な声で、思わず走って抱き締めてしまいました。

　久しぶりの弟の姿に、頭をナデナデしてしまいます。

　フレディは、少し恥ずかしそうに、もう小さい子じゃないからやめてくださいと言ってます。
　ああ、何て可愛いんでしょう。

　13歳と言えば成長期、まだ私の方が身長が高いから、余計に子供扱いしてしまうのですね。

　寮生活で会えないうちに、身長が抜かされた時は、子供の成長を喜ぶ母親の気分になるのでしょうね。

「姉様、帰ってきたそうそうお願いがあります。僕の寮の同室がシェルエント公爵令息で、今日晩餐に招待されました。
　それで友達の令息の兄上がイブのお菓子が大好きで、姉様のお菓子を手土産に持って行きたいと思ってます。

　作ってもらってもいいですか？実は野菜嫌いの先輩っていうのが、兄上のほうでして。　

　もし野菜クッキーとかありましたら持っていきたいです。
　缶に入れたクッキーは、入れてないクッキーより長持ちします。

　やはり、姉様がいうように缶の容れ物で販売するのもいいかもしれません。缶クッキーも先輩が欲しがってまして。

　先輩って、自分の部屋にクッキーを沢山持ち込んでいるのですが、やはり古くなると湿気るみたいで、僕の缶に入れたクッキーがずっと欲しいと言ってまして、ダメですか？」

　なんでしょう、我が子が友達に取られた気分です。

　よほど、シェルエント令息方を大切にしているのですね。
　たしかに、シェルエント公爵家はイブのお得意様ですから、缶クッキーを試してもらうのも良いでしょう。

　実は店では販売をしませんが、シュークリームが上手く出来るようになりましたよ。

　冷蔵庫がこの世界はまだないので、傷みやすく、作ってもすぐ食べなければいけないので、家族で楽しむだけでした。

　フレディがそこまで世話になっているなら、作りましょう。

　野菜クッキーも、カボチャクッキーとほうれん草クッキーは味見をして、これならと思う配合具合で作りました。

　野菜嫌いを克服する狙いですから、カボチャの味もほうれん草の味もしますよ。

　でも料理で食べるよりはハードルが低いと思うのです。

　缶に入れたクッキーが湿気らず、どのくらい美味しく食べれるかによって、缶を受注しましょう。

　缶にコストがかかりますから、最初の缶のクッキー詰め合わせは高いですが、２回目からは中身だけを買ってもらうのもいいですね。

　イブがますます売上を伸ばすチャンスですね。

　最近キウイ酒の売上も伸びてます。どこのラベルが売れているか、作っている人に教えるのも品質があがりますからね。
　
　社交界デビューに向けてイブから離れてますが、収支報告等の書類は私も見てますので、気になるのです。

　フレディのために、シュークリームの皮を焼かなくては、クリームも作るのを手伝って貰わないと、間に合わなくなります。

　クリーム作りのハンドミキサーが恋しいです。一度楽を知ってしまうと大変さが身にしみます。

　美味しいお菓子のためなら、仕方がないですけどね。

　シェルエント令息、少し気になりますね。

　お菓子が大好きということで、ポイントが高いです。

　でも、公爵家ですからね、貧乏伯爵令嬢の私とは、縁がない人ですね。