【完結】胃袋を掴んだら溺愛されました

成実

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 おはようございます。

 フレディが扉をノックしながら、姉様と呼びかける声がします。
 メイドが、お嬢様失礼しますと入ってきました。

 私、寝坊でもしましたかね?
 いつも呼ぶまで入って来ないメイドが、私を起こします。

「姉様、時間がありませんよ。早く準備してください」

 私、何か約束してましたか?思い出せない。 

「フレディ、私と何処かに行く約束していましたか?」
 
「姉様、昨日の晩餐の時に、美味しい桃の店が王都の郊外にあるって、昨日グレイが話してたの覚えていますか?

 そこで、皆で行きましょうって話になりましたよね。

 姉様もいいわねと言っていたではないですか?」

 待って下さい。いいわねと賛同はしたけど、一緒に行くとも言っていませんし、今日行くとも聞いていません。

「フレディ、私は一緒に行くと返事した覚えはないのですが?いつの間に決まりましたか?」

「姉様がしっかり、聞いてなかっただけではないですか?
 さあ、早く準備してください。迎えの馬車が来てしまいますよ」

 何時の間に一緒に行く事になってしまったのか、動きやすい服に帽子を被って、まだ朝食も食べてないです。

 馬車酔いしないように、軽くクッキーを摘んで行きましょう。

 準備は出来たので、玄関のエントランスに行くと、フレディが立っていました。あら、お父様とお母様は?

「ねえ、フレディ、そんなに慌てなくても、お父様もお母様もまだ準備が出来てないみたいよ」

「姉様、何か勘違いしていませんか?

 今日行くのは、僕と姉様とレイモンド先輩とグレイの四人ですよ。
 姉様ったら、昨日何か考え事でもされていたんですか?」

 なんですって、シェルエント令息達とですか!

「ちょっと待ってください。私がホントに行くと、言ってましたか?」

「言葉に出しての返事はしていませんでしたが、頷いていましたよ」

 私の頭のなかでは、ガーンと鐘が響いてます。
 
 キウイ酒を飲んで食事をしていたので、気持ちよく何でも頷いていたのでしょう。

「私、キウイ酒で酔っていたかもしれませんね。私抜きの3人で楽しんで来たらどうですか?」

「姉様、そんな事言わずに行きましょうよ。グレイ達が迎えに来てくれましたよ。さあ、姉様行きましょう」

 仕方がありません。今日の所は、私がうっかり返事した私が悪いのです。

 あまり、年頃の高位貴族の方とでかけて、噂にはなりたくありませんが、行き先が郊外の果物屋なら、きっと大丈夫でしょう。

 確かに郊外ですが、ここは最近噂のカフェではないですか?
 確かに美味しい桃が食べれます。新鮮な果物とお茶が楽しめますが、貴族の方々が沢山見えてます。

 これは、わたし的に、ピンチではないですか?

 社交界デビュー前に噂は勘弁してください。

 救いは、フレディの身長が低い事です。これで、フレディまで身長が高ければ、何を言われることか、私はフレディの側を離れませんよ。

「姉様、ここの桃がすっごく美味しいそうです。楽しみですね」

 レイモンドが私をエスコートしようとしますが、ここでレイモンドと噂になるわけにはいきません。

 やんわり、フレディにお願いしました。

 確かに、桃はすごく甘くて美味しかったです。でも視線を感じて楽しめませんでした。馬車に戻ると、

「クライブ令嬢、今日はあまり楽しめませんでしたか?

 顔色が悪く思うのですが?

 エスコートも断られましたし、何か私がしてしまいましたか?」

 レイモンドの直球の問いかけですね。直球には、正直に答えましょう。

「シェルエント令息が何かしたわけではありません。

 ただ、私は社交界デビュー前ですので、一対一ではありませんが、婚約者でもない男性と出かけるのは、噂が立つと思い、今日のエスコートをお断りしました」

「そうでしたか、フレディやグレイも一緒なので、そこまで考えもしませんでした。

 すみません。

 でも、私はうちの母からも申し出てますが、クライブ令嬢がデビューの時のエスコートを、私が務めたいと思っています。

 2回会っただけですが、ずっと一緒にいたいと感じるのです。

 フレディの人柄を良く知っているので、令嬢にも親しみを感じています。

 まだ、デビューまでは時間がありますが、私にエスコートさせていただけませんか?

 今すぐの返事ではないので、断らないで下さい」

 ここまで丁寧に言われると、今すぐに断りを入れれませんね。

 良い人だと思いますが、高位貴族だと思うとなんとも言えません。

 ひとまず、エスコートの話は保留にしておきましょう。

 フレディ、姉様はつかれましたよ。
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