【完結】胃袋を掴んだら溺愛されました

成実

文字の大きさ
69 / 96

69

しおりを挟む
 
 待ちにまった週末です。クローバーデーの夜の出来事を思い出すと、ドキドキします。早くレイモンドに会いたいです。

 デビューの時に履く靴も出来上がったので、ダンスの時に履いて練習します。

 ドレスショップのマダムからの連絡があり、来週にドレスの最終チェックをします。レイモンドのハンカチーフもお願いしてあるので、それも忘れずに確認しましょう。

 馬車の音が聞こえます。いつも時間に正確ですね。レイモンドが馬車から降りてくる姿は、いつ見てもカッコイイです。

「ディア、会いたかったです。こないだはハートクッキーありがとうございました。

 ディアのクッキーだけ違ったから、イブのシェフに特別に作って貰ったんですか?

 あの小鳥は、祭の時の髪飾りの小鳥ですね。私達の記念の小鳥、嬉しかったです」


「はい、記念の小鳥です。レイモンド様に話しておきたいことがあります。今日、ダンスの練習が終わったらお時間ありますか?」

 レイモンドに、イブのお菓子や、今まで食べてきたケーキを作ったのは、私であることを話そうと思います。

「ディア、すみません。今日は父の仕事を手伝う事になっていまして、レッスンが終わったら王宮に行きます。

 すみません。急用でしたら、王宮から帰って来てから連絡します。

 あとハッピーデーのお返しの話を教えていただきたいのですが?殿下がお返しをどうしたらいいか、必ず教えて貰ってきてくれと言われまして」
 

「緊急な話ではないので、今度で大丈夫ですよ。

 ハッピーデーは3月14日です。ハートクッキーに対する、返事やお返しをする日です。

 イブでは、女性の思いに応えれない場合は、マシュマロかキャンディを用意しました。

 すぐに渡せない方はキャンディを、その日に渡せる方はマシュマロを渡すが良いかと思います。

 貴族令息の為の、マシュマロキャンディセットを用意する予定です。

 マシュマロは食感の関係で、日持ちしないお菓子です。そのため、13日と14日のみの販売になります。

 貴族の令息の方々は、使用人が令嬢の屋敷に届けられるとおもいますので、その日に買って届けるのがよろしいかと。出来たらメッセージカードで一言あると慰めになります。

 あと、思いに応える場合は、トンボ玉ネックレスを贈るのですが、まずリリアンの色を決めて、次にトンボ玉を決めます。

 相手に合うイメージで自分で選んでプレゼントするのです。お揃いでつけてもいいです。

 ハッピーデーはあくまでも平民のイベントでしたので、トンボ玉ネックレスを準備しますが、貴族令息なら、好きな貴金属でもよろしいかと思います。

 でも、イベントなので、トンボ玉ネックレスがハッピーデーって感じで楽しいかもしれませんよ。

 ちなみにトンボ玉ネックレスは、ガラス工房のリックさんの店のみでしか販売していません。こちらの販売期間は1日から14日までです。

 ざっと説明しましたが何か他に聞きたいことはありますか?」

「はい、多分大丈夫だと思います」

 ちょうど、説明が終わった頃に、レスリー子爵夫人が見えられました。

 私の靴を見て素敵な靴だと、褒めていただきました。やはり、ヒールがある初めての靴は足がすぐに痛くなりました。
 レスリー子爵夫人も、私が足が痛いことに、すぐにきずいてくれたので、今日のレッスンはここまでになりました。

「クライブ令嬢、慣れない靴はやはり足が痛くなるものです。足をしっかりケアしてくださいね。今から馴らせば大丈夫ですので。
 シェルエント令息は、もし女性が足を痛めた場合は、ゆっくりした足取りやフォローをしてあげてください。
 では、今日のレッスンはここまでにしましょう。次の予定がありますので、私は今日はこのまま失礼させてもらいます」

 新品の靴はとても素敵なのに、足が痛くなるのはダメですね。

「ディア大丈夫ですか?ダンスに精一杯で、足を痛めたことに気づかなくて、すみません。ディア、ソファーまで抱き上げますね」
 
 レイモンドが私を、お姫様抱っこしてソファーまで運んでくれました。

 そして、すかさず私の額にチュッとしました。そして、靴を脱がしてくれました。

「薬を私が、塗ってもいいですか?」

「ダメです。大丈夫ですので、レイモンド様は王宮に行って下さい。
 今日はお見送りはしません。お土産のケーキを公爵閣下とお仕事の時にでも食べてください」

「ディアが、足を痛めたので、いつものレッスンより早く終わりました。もう少しだけディアの側にいてもいいですか?

 クローバーデーの日に、ディアに口づけしてから、貴方の事ばかり考えてしまいます。
 今頃ディアは何をしているだろう?とか、私のことを考えてくれてるだろうかと、ディアが好きです」

 レイモンドは私の隣に座り、手を握りながら、私に好きだと囁いてくれます。

 同じ部屋の隅には、当然のように使用人が立っているのに、レイモンドの、囁きは続きます。私の顔は真っ赤です。
 
「レイモンド様、私も好きです。でも、使用人も側にいますし、恥ずかしいので」

「わかりました。では、早く足に薬を塗ってもらってください。ディアの話が今日聞けなくて、すみません。もし、良ければ明日出かけませんか?
 今、劇場でミュージカルがやっていますので、観に行きませんか?
 ディアの話も早く聞きたいですし、いかがですか?」

 デートですね、嬉しいです。

「はい、ぜひ行きたいです」

「良かった。では、明日11時頃に迎えに行きます。ミュージカルの前に、レストランでランチを食べましょう」

 レイモンドは、また私の額にチュッとして、帰って行きました。

 明日はデートです。嬉しすぎて、今夜はねむれるのかしら。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~

空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」 氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。 「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」 ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。 成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。

【完結】財務大臣が『経済の話だけ』と毎日訪ねてきます。婚約破棄後、前世の経営知識で辺境を改革したら、こんな溺愛が始まりました

チャビューヘ
恋愛
三度目の婚約破棄で、ようやく自由を手に入れた。 王太子から「冷酷で心がない」と糾弾され、大広間で婚約を破棄されたエリナ。しかし彼女は泣かない。なぜなら、これは三度目のループだから。前世は過労死した41歳の経営コンサル。一周目は泣き崩れ、二周目は慌てふためいた。でも三周目の今回は違う。「ありがとうございます、殿下。これで自由になれます」──優雅に微笑み、誰も予想しない行動に出る。 エリナが選んだのは、誰も欲しがらない辺境の荒れ地。人口わずか4500人、干ばつで荒廃した最悪の土地を、金貨100枚で買い取った。貴族たちは嘲笑う。「追放された令嬢が、荒れ地で野垂れ死にするだけだ」と。 だが、彼らは知らない。エリナが前世で培った、経営コンサルタントとしての圧倒的な知識を。三圃式農業、ブランド戦略、人材採用術、物流システム──現代日本の経営ノウハウを、中世ファンタジー世界で全力展開。わずか半年で領地は緑に変わり、住民たちは希望を取り戻す。一年後には人口は倍増、財政は奇跡の黒字化。「辺境の奇跡」として王国中で噂になり始めた。 そして現れたのが、王国一の冷徹さで知られる財務大臣、カイル・ヴェルナー。氷のような視線、容赦ない数字の追及。貴族たちが震え上がる彼が、なぜか月に一度の「定期視察」を提案してくる。そして月一が週一になり、やがて──「経済政策の話がしたいだけです」という言い訳とともに、毎日のように訪ねてくるようになった。 夜遅くまで経済理論を語り合い、気づけば星空の下で二人きり。「あなたは、何者なんだ」と問う彼の瞳には、もはや氷の冷たさはない。部下たちは囁く。「閣下、またフェルゼン領ですか」。本人は「重要案件だ」と言い張るが、その頬は微かに赤い。 一方、エリナを捨てた元婚約者の王太子リオンは、彼女の成功を知って後悔に苛まれる。「俺は…取り返しのつかないことを」。かつてエリナを馬鹿にした貴族たちも掌を返し、継母は「戻ってきて」と懇願する。だがエリナは冷静に微笑むだけ。「もう、過去のことです」。ざまあみろ、ではなく──もっと前を向いている。 知的で戦略的な領地経営。冷徹な財務大臣の不器用な溺愛。そして、自分を捨てた者たちへの圧倒的な「ざまぁ」。三周目だからこそ完璧に描ける、逆転と成功の物語。 経済政策で国を変え、本物の愛を見つける──これは、消去法で選ばれただけの婚約者が、自らの知恵と努力で勝ち取った、最高の人生逆転ストーリー。

悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~

咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」 卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。 しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。 ​「これで好きな料理が作れる!」 ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。 冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!? ​レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。 「君の料理なしでは生きられない」 「一生そばにいてくれ」 と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……? ​一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです! ​美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!

『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』

ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています この物語は完結しました。 前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。 「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」 そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。 そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

水魔法しか使えない私と婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた前世の知識をこれから使います

黒木 楓
恋愛
 伯爵令嬢のリリカは、婚約者である侯爵令息ラルフに「水魔法しか使えないお前との婚約を破棄する」と言われてしまう。  異世界に転生したリリカは前世の知識があり、それにより普通とは違う水魔法が使える。  そのことは婚約前に話していたけど、ラルフは隠すよう命令していた。 「立場が下のお前が、俺よりも優秀であるわけがない。普通の水魔法だけ使っていろ」  そう言われ続けてきたけど、これから命令を聞く必要もない。 「婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた力をこれから使います」  飲んだ人を強くしたり回復する聖水を作ることができるけど、命令により家族以外は誰も知らない。  これは前世の知識がある私だけが出せる特殊な水で、婚約破棄された後は何も気にせず使えそうだ。

『婚約なんて予定にないんですが!? 転生モブの私に公爵様が迫ってくる』

ヤオサカ
恋愛
この物語は完結しました。 現代で過労死した原田あかりは、愛読していた恋愛小説の世界に転生し、主人公の美しい姉を引き立てる“妹モブ”ティナ・ミルフォードとして生まれ変わる。今度こそ静かに暮らそうと決めた彼女だったが、絵の才能が公爵家嫡男ジークハルトの目に留まり、婚約を申し込まれてしまう。のんびり人生を望むティナと、穏やかに心を寄せるジーク――絵と愛が織りなす、やがて幸せな結婚へとつながる転生ラブストーリー。

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

処理中です...