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「……緊急の依頼、でございますか?」
ローレンスが聞き返すと男は「はい」と頷く。
「王国からの依頼ゆえ詳しい内容はこの場では言えませんが……伝説級冒険者アイザックでないと解決出来ない依頼なのです」
「……王国の……」
「勿論王国からの依頼ですので我々騎士団からも何人か同行させますし、依頼料もそちらの言い値で構いません。それで……いかがでしょうか?引き受けて頂けますでしょうか?」
「それは……」
本音を言うなら引き受けたい。だって言い値で構わないなんてかなり美味しい依頼だ。王国からの依頼なら尚更。しかし、短剣もまともに振れないあの状態のアイザックを思えばこの依頼を受けることはできないと考えたローレンスは首を横に振り、答えた。
「……申し訳ありません。アイザックは生憎別の依頼で手一杯でして、この依頼を引き受けることはできません」
「……それは嘘ですね」
「ええ、本当に申し訳ありませ――……ん?今なんと……?」
「それは嘘だと言ったんです。だって、アイザック様は一週間前に依頼先からこのギルドに帰ってきてある場所に移動してから動いていないみたいですから」
「!?」
(な、なんでそんなことを知って!?)
「ふふ、驚かれるのも無理はありませんね。私ほど、魔力探知能力に優れた人間は王国にはいませんから。さあ、教えて下さい。なぜそんなに頑なにアイザック様の依頼を断っているのですか?もし、アイザック様を害することを考えているのなら……私のすべてを使ってあなたを排除するしかなくなりますが……」
「ひっ」
微笑んでいるのにその目は笑っていなくて、自分が少しでも妙な動きをすれば切り捨てるぞと言わんばかりに腰に下げた剣の鞘に指先を当てている男の姿にローレンスは小さな悲鳴を上げる。そしてどうしてそんな勘違いをされているのか分からないが、とにかく騎士団長の誤解を解こうとローレンスは両手を上げて叫ぶ様に言った。
「お、お待ちください!!別に私はアイザックを害そうと思ってアイザック宛ての依頼を断っているわけではなくこれには深い理由がありまして……!」
「深い理由、ですか?」
「え、ええ!この一週間ずっと隠していましたが実はアイザックは――……!」
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「まさか、アイザック様がそんな状態になっていたとは……」
ギルドから出てきた騎士団長の男……否、オルダ伯爵家の当主兼騎士団長であるラインハルトは呟く。いまだに信じられなかった。あの伝説級冒険者アイザックが一週間前に依頼で訪れたダンジョンで罠に掛かってまともに戦えない体となり、自宅療養をしているなんて……。そう呟くラインハルトの脳裏に浮かぶのは三年前、今なお王国直属騎士団の悪夢として語り継がれる『毒竜アニス討伐』の記憶だ。
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