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そして、ハッとした様子で硝子片が散らばる台座に近付くと、硝子片の中から『ソレ』を取り上げてシルバレットは呟いた。
「まさか……これは言い伝えの……」
ーーー
「ああ……!どうしてあんなことを言ってしまったの……!」
ふかふかの枕に顔を埋めながらアンネロッタは昼間の事を酷く後悔していた。第三者の目から見れば昼間の一件は顔を合わせるなりいきなり嫌味を言ってきたシルバレットがほぼ悪いのだが、五年間も夫婦をやって来てシルバレットが中々素直になれない性格だとよく知っているアンネロッタはあそこで一歩引かなかった自分が悪かったと己を責めていた。本当ならあそこで言い返さず一歩引いて一言「陛下、今夜少しお時間よろしいでしょうか?」と言って、話し合いの機会を設けていれば今頃、もしかしたら一緒のベッドで寝れていたかも知れないのに……。
「ああ、本当になんであんなことを言ってしまったのかしら……」
後悔先に立たず。今更悔やんでも遅いが、悔やまずにはいられなかったアンネロッタがぎゅうと枕の端布を握り締めた時。コツンコツンと何かが窓を叩く音が響いてくる。その音に驚いたアンネロッタがハッと枕から顔を上げて窓の方に視線を向けるとそこには一羽の大きな鷹が佇んでいた。
幸福を齎す鳥として大事にされている一方その警戒心の高さから滅多に人里に寄らないと言われている野生の鷹が人気が多い王宮に来るなんて珍しいと思ったが、きっと体のどこかを怪我してしまって人間である自分に助けを求めてきたんだろうと思ったアンネロッタはベッドから体を起こして、鷹を驚かせない様にゆっくりと窓に近付き、そっと窓を開いた。瞬間、鷹は待ってましたと言わんばかりに「ピィ!ピィ!」と甲高い声で鳴き、大きく翼を羽ばたかせて喜びを露わにする。
その鷹っぽくない鷹の行動に一瞬呆気に取られたアンネロッタだったが、何故だかこの鷹っぽくない鷹に親しみを感じてしまい苦笑を少し溢しつつ「中へどうぞ」と声を掛けると鷹は金の瞳を丸くしてアンネロッタの顔をまじまじと見る。まるで人間の様な仕草をする鷹に頬が緩むのを感じながら窓を更に大きく開けて鷹に部屋の中に入る様に促すと鷹は少し迷う素振りを見せた後、バサバサと翼を軽く羽ばたかせてアンネロッタが先程まで寝ていた天蓋付きのベッドの上に降り立った。
「!?」
まさかベッドの上に降り立つとは思ってなかったアンネロッタは吃驚して慌てて鷹をベッドから降ろそうとしたが、嘴と脚を使って器用にシーツを整えている鷹の何とも言えない愛らしい姿に、ベッドから鷹を降ろすのを忘れてついつい魅入ってしまう。
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