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「痛ッ! な、何なんだこの鷹は!?」
突然、現れた鷹に頭を掴まれた男はアンネロッタの首から手を離し、鷹の鉤爪を頭から離そうと激しく暴れるが、鷹は琥珀の羽根を散らせながら必死に抵抗し……そして、男の拘束から解放されたアンネロッタはケホケホッと咳き込みながらも鷹が作ってくれたチャンスを逃すまいとベッド脇のベルへと手を伸ばして……勢い良くベルを鳴らした。途端、離宮中に鐘の音が響き渡り、俄に離宮の中が騒がしくなる。
「!! しまっ……!」
ドタバタと激しい音を立てながら寝室に近付いてくる大勢の足音に気付いた男はアンネロッタを殺す機会を失ったと共に自分が窮地に陥ったと悟ったんだろう。「チッ!」と大きな舌打ちをすると無理矢理鷹の脚を掴んで「ピィ!?」と悲鳴を上げる鷹を躊躇無くアンネロッタに向かって投げた。
「っ!? なっ、なにをされるんですか!?」
飛んで来た鷹を咄嗟に受け止めたアンネロッタは鷹に対する男の蛮行に非難の声を上げる。と、ほぼ同時に護衛の騎士達と数名の侍女達が寝室に雪崩れ込んで来た。だが、男は駆け込んで来た騎士達には一瞥もくれず窓に足を掛けるとそのまま窓の外に身を投げた。
男の狂行に驚いた護衛の騎士達が慌てて窓の外を見た時にはもう男の姿はどこにもなく、男を取り逃がしてしまった事を瞬時に理解した護衛の騎士達は素早く近衛隊長と数人の騎士を王妃の元に残す決断を下すと、『王妃に害をなそうとした男』を捕まえるべく王宮にいる他の騎士達に応援を仰ぐ為、足早に寝室を出て行った。
……そうして、近衛隊長と数人の騎士、侍女達と共に寝室に残されたアンネロッタはひとまず助けが来てくれたことに「ホッ」と安堵の溜め息を吐き、腕に抱えた鷹に視線を落として「もう大丈夫よ」と優しく声を掛ける。しかし、アンネロッタの呼び掛けに鷹は目蓋を固く閉じたままうんともすんとも言わない。
さっきまで元気すぎるほど元気だったのに急に静かになってしまった鷹にアンネロッタは男と揉み合っている内にどこか怪我をしてしまったのか、と思い、鷹の体を隈無く観察するが外傷らしい外傷は特に見当たらない。
(一体どうしたのかしら……?)
不思議に思い、首を傾げたアンネロッタの元に寝室の安全確認を終えた近衛隊長が近付いてくるが、アンネロッタが抱えた見慣れない鷹を見て「おや?」と不可解そうな顔をしてアンネロッタに問い掛ける。
「王妃様。その鷹は一体……?」
「この鷹は……私の命を救ってくれた命の恩人です。だけど……先程から目を閉じたまま動かなくて……」
「なるほど……そういうことでしたか。……王妃様。失礼を承知の上で申し上げますが、その鷹を少し見せて頂いてもよろしいでしょうか?」
「え?え、ええ……構いませんが……」
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