落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ

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三章

練習中

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今日は何処で遊ぶのかという話しになった時、せっかく船があるのに、一度もまだ乗っていないからみんなで船に乗ろうという話しになった。

だけど、湖にやって来て2時間ぐらいたった今も、僕達はまだ船に乗れていなかった。

「やっぱり!息を吸おうとすると沈むぞ!!」

「変に力を入れてるからだろ!まず!力を抜け!」

「だから!力を抜くってどうやってだよ!!」

ワーワー騒いでいるバルド達を他所に、僕らはバルドが事前に送っていた荷物の中にあった浮き輪を借りて、波に揺られながら優雅に湖の上に浮かびながらそれを眺めていた。

船に乗ろる話しになった時、船に乗りたいなら最低限泳げるか、落ちても大丈夫なように浮き輪を使えとネアに言われて、僕らは早々に諦めて浮き輪を使う事にしていた。だけど、バルド達は泳げるようになる方を選んだから、朝からネアから指導を受けていた。

今は練習のためにまだ浅瀬にいるからバルド達はまだ水面から顔を出せるけど、僕達には少し高いから浮き輪がないと沈んでしまう。

「もう諦めて、浮き輪を使ったらどうですか?」

一向に泳げそうにないバルドを見かねて、助け舟を出すようにコンラットが声を掛けるけど、頑固として譲る様子はないようだった。

「嫌だ!浮き輪を使うのはやっぱりカッコ悪い!!それに、ネアは泳げるのに俺が泳げないのは、何か負けた気がする!!」

そう言って泳ぎ出そうとするけれど、その意気込みも虚しく身体は湖へと沈んで行く。

「僕は負けてもいいや」

前に兄様と泳ぎの練習をした時に、僕には向いていないのが分かったから、出来なくても何も悔しくない。

「泳げなくても、困らないと思うぞ……」

髪に付いた水滴を払いながら目を擦っているバルドに、ネアが珍しく優しげな声を掛ける。頑張っているのが分かっているからか、何時もみたいにからかうような素振りもなく、真面目な顔をしていた。

「兄貴も泳げたんだから俺だって泳げるはずだ!!」

「よし!その意気だ!!気合入りろ!!」

「だから!力み過ぎると没むって言ってるだろ!」

最初は溺れかけていたクリスさんだったけど、泳げるようになってからは、めげずに頑張るバルドを応援しながら声を掛けていたけど、そのアドバイスは対して役にたっていないようだった。

バルド達を見ていた時に、光る水面の向こうにある森がふと見えた僕は、昨日の夜の事を思い出して、コンラットに声を掛けた。

「そういえば、カレン様達は何処に行ったんだろうね?」

昨日、街の外に行くとは言ってましたが、場所までは言っていませんでしたからね?」

目の前で頑張っているバルド達には悪いとは思うけど、正直、待っているだけな僕達は暇だ。最初は僕らも応援しながら見てたけど、途中からはコンラットと話したりしていた。

昨日、街から帰った僕達は、夕食を食べながらその日あった事を話していた。

街で見つけた物や、買食いをして美味しかった屋台とかの話しを身振り手振りを加えながら話し、そんな僕らの様子を見ながら、大人達は静かに聞いていた。そして、その話しが段々と落ち着いてきて、明日の話しになった時、カレン様が口を開いた。

「明日なんだけど、今日、街で興味深い話しを聞いたから、ちょっと街の外まで出掛けてくるわね」

「……気になる話?」

カレン様の話しを聞いて、ベルンハルト様は怪訝そうに眉を寄せながら問い掛けた。

「ええ、面白そうな話しをしていたようだから、ちょっと詳しく聞き出したんだけど、私の用事とも関係ありそうだったのよね?」

「……」

意味ありげに笑うだけで、それ以外は話そうとしないカレン様を前に、ベルンハルト様がどういう事かというように、お兄さんへと視線を投げた。

「……後ほど詳しくご説明します」

視線を向けられたお兄さんは、カレン様に少し視線を向けた後、言葉を濁した。

「残念ね。明日こそは、一緒に出掛けられるかと思っていましたのに」

「一応、私も仕事で付いて来てるから、頼まれた分は仕事しなくちゃね」

そんな様子を気にする事もなく話しかけたラザリア様に、少し悪戯めいた顔をしながら、カレン様は返事を返す。その様子を、ベルンハルト様は険しい顔を浮かべながら見ていた。

「そんな目で見なくても、特に怪しい連中の気配もなかったから、そんなに心配しなくても大丈夫よ?そうよね?」

「はい。特に異常はありませんでした」

「ほらね」

カレン様からの言葉を受けて、お兄さんも肯定の言葉を返したけど、ベルンハルトは頷きはしても、その顔は険しいままだ。

「それと、この子、ちょっと借りていい?」

「何故だ?」

「ちょっと、頼みたい事があって」

「ブライトは休暇中だ。頼みなら私が聞く」

憮然とした態度をみせるベルンハルト様を見ても、カレン様はより楽しそうな笑顔を浮かべるだけだった。

「貴方も休暇中でしょ?それに、ベルだと変装で髪や目を変えたとしても、見る人が見れば直ぐに分かっちゃうけど、この子なら、髪の色とかを変えれば分からないと思うし、なにより、一緒に行くならやっぱり若い子の方が良いわ!」

ベルンハルト様から疑わし気な視線を向けられても、全く動じる様子もなく、何処か兄に甘える妹のように小さな笑みを浮かべると、小さく小首を傾げた。

「それと、荷物も色々と借りてもいい?反転の魔道具とかも持って来てるでしょう?」

「……」

「やっぱり!結界の魔道具を見た時に、もしかしてと思ってといたんだけど、正解だったわ!」

さっきまでの甘えたような影はなくなり、悪戯が成功した子供みたいに楽しげだ。その間も、ベルンハルト何も話さず、表情さえも変わっていなかったけど、カレン様は、それがある事を何処か確信したようだった。

「軍の備品だ。壊せば…」

「始末書でしょ?ちゃんと分かってるわよ!」

楽しげなカレン様とは裏腹に、ベルンハルトはその後もずっと不満そうな顔を浮かべしていた。

「しかし、あの後2人が付いて行きたいと言い出した時は、どうなる事かと思いましたけどね…」

「……そうだね」

カレン様の言葉を聞いて、当然のように自分達も行きたいと言い出していたけど、ラザリア様からの一睨みを受けてからは、何も言わずに大人しくなった。

「まあ、ラザリア様を怒らせるような事は、基本しないですからね」

「そうなんだ」

僕の屋敷でも一番強いのは母様だから、何処の家でも同じようなものなんだと、僕がコンラットの言葉に何処か納得していると、大きな声が響き渡った。

「2人共!!今の見てたか!?」

「え!?何が!?」

コンラットと話していたら、当然別な方向から話しかけられて、僕らは驚きながらもそっちに視線を向けた。すると、満面の笑顔で笑いながら、バルドが僕達の方へと水を掻き分けながら走って来ていた。

「なぁ!今!俺!ちょっと泳げてただろ!!?」

駆け寄って来たバルドが、得意気な顔をしながらも何処か嬉しそうに話す様子を見て、僕達はそろって顔を見合わせながら、気まずげに視線を戻した。

「……ごめん……見てなかった…」

「何でだよ!!」

声を荒げながらも僕達に怒りを見せるバルドに、僕らも怒るのは当然だと思って、2人そろって頭を下げて謝った。

その後も、不貞腐れてるようにして怒っていて、なかなか機嫌が治らなかった。たけど、ネア達からもとりなしもあって、何とか機嫌を治して貰った。だけど、バルドの機嫌が治ったのは、昼を少し過ぎてからだった。
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