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四章
ギルドの中へ
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ギルドの扉を開けて中に入ってみると、中は静まり返っていた。もっと、賑わっているのを想像していただけに、入っていいのか二の足を踏んでしまう。それに、大きな声を出したからか、中にいた人達の視線がこっちを向いていて、何とも入りづらい。だけど、奥の方へと視線を向ければ、見知っている人達が立っている姿を見かけて、僕はそっちへと歩を進める。
「約束通り、ちゃんと来たよ!」
「あ、ああ…」
駆け寄った僕の方へと視線を向けているようで、何処か僕と視線があっていなくて、どうしたんだろうと不思議に思っていたら、後ろに誰かの気配を感じた。
「手紙で呼び出していた連中は、コレかな?」
「父様!コレなんて言ったら、ハリソンさん達に失礼だよ!」
「ああ、すまない。少し目が疲れているのか、人に見えなくてね」
「父様…今日は、もう帰った方が良いんじゃない…?」
父様が申し訳なさそうに言うけれど、ハリソンさん達が人に見えないくらい疲れているなら、速く屋敷に帰った方が良いと思って言ったら、なんて事ないような笑顔を浮かべていた。
「今のは冗談みたいなものだから、特に気にしなくて良いよ。それより、私に紹介して貰えるかな?」
「うん!左にいる体格の良い人がデリックさんで、右にいる細身の人がハリソンさんだよ!」
父様の言葉を受けて2人を父様へと紹介している間も、2人は視線を泳がせながら、僕と父様の間を行ったり来たりしていた。
「こっちは、僕の父様だよ!」
「そ、それは…まぁ…」
「あぁ…知ってる…」
2人は父様と初対面だから紹介したのだけれど、戸惑った様子で知っていると言われてしまった。だけど、僕と一緒にいる所を見れば、確かに分かるかな?と思っていたら、僕の後ろにいた父様が一歩踏み出した。
「私の事は知っているなら、わざわざ名乗る必要などないな。今回は、私の息子が大変世話になったようで、君達にどうお返しをすれば良いかな?」
満面の笑顔で笑う父様を前に、2人は幽霊でも見たような顔をしながら震えていた。それに、夏だというのに、何故か腕を擦って寒そうにしていた。
「奥に部屋を用意しているので、そちらへと移動して貰えますか?」
ハリソンさん達の後ろにいた人が、僕達に声を掛けてきたけれど、誰だろう?何処かで見た事があるような気もするけれど、王都の冒険者に知り合いなんていないはずだ。僕がきょとんとした目で見上げていたら、苦笑いを浮かべられた。
「何だ?覚えてないのか?」
「リュカも、一度合った事があるはずだよ」
「?」
「此処の前で合っただろ。その時は上のと一緒に、馬車に乗ってたけどな」
「ああっ!」
父様達に言われて、ようやくラクスの帰りに合った人だと気付いた。あの時は、腰が低くて、具合が悪そうだったけど、今は堂々と立っていたから、同じ人だとは思わなかった。
「あの時も、ラクス絡みだったなぁ……私も随分…安く見られるようになったものだ…」
「い、いや…決して…そのようなわけではなく、全部不可抗力であって…」
目線を逸らしながら、何とか話題も逸らそうとしている姿を見て、前に見た光景とようやく重なった。
「父様!部屋があるなら、そっちで座って話そう!」
「そうだね」
腰が低いマスターさんの前から、父様を離すように声を掛けて、その場から動き出す。奥の部屋を目指す間、見る余裕がなかったギルドの中を見渡しながら進むと、王都のギルドは大きさが違うなと思った。
ラクスよりも中や外が大きいのもそうだけど、きちんと物も整理されており、内装もしっかりしている。そのうえ、ラクスでは2つしかなかった受付が5つもあった。
だけど、最初に見えた机や椅子が置かれた休憩スペースのような所には、まばらに人が座っているのに、受付に並んでいる人はいない。
「誰も並んでないね?」
「どうやら、仕事がなくてよっぽど暇な人間が多いようだね。今度、こちらに仕事でも回してあげる事にしようかな…?」
「うん!それだと、みんな助かるね!」
仕事がなくて困っている人達に仕事を回してあげるなんて、やっぱり父様は優しいと思う。
「い…いや…坊主…それは…」
「ん?」
「何でもねぇ…」
僕が後ろを振り向くと、何故か思い切り視線逸らすように横を向かれてしまった。
案内された部屋に到着すると、父様は置いてあった来客用のソファーに僕と一緒に座わり、笑顔を浮かべてから口を開いた。
「最後に言い残す事はあるか?」
「父様!何でそんな言い方するの!?2人がびっくりしちゃうでしょ!?」
僕達と違って、まだ立ったままでいる2人の顔色が悪くなったのを見て、父様に慌てて注意をする。
「寝不足で、少し言葉を間違えたかな?」
戯けたように笑う父様に、僕は少し呆れながらも、悪びれていない父様へと声を掛ける。
「2人はまだ座ってもいないんだから、話しは座ってからでも良いでしょ?」
「……そうだね……座わって話そうか…?」
父様の笑顔が少し曇ったような気もしたけれど、2人へと席を進めていた。2人も、恐る恐るといったように、酷くゆっくりとした様子で座り、それを見届けると、急に真面目な顔を浮かべた。
「今回、君達が起こした件が、如何に問題なのかは理解しているな?」
「……はい」
「それならば、重い罰が下されても仕方がない事だと言う事も理解しているな?」
「……はい」
「父様…、父様の力で、2人がやった事をなかった事に出来ない…?2人に、何とかしてあげるって約束したんだ…」
何時もは見ないような父様と、真面目な雰囲気に押されながら、僕は少し躊躇いがちに、今回来た理由を口にした。だけど、まるで譲る気がないように、父様は表情を変えようとはしない。
「それは出来ない。この者達に何を聞いたかは分からないが、再犯を防ぐためにも、こういう場合は責任の所在をしっかりして、罰しておかないといけないんだよ」
「でも、元々は別にいた悪い人がいたんでしょ?」
「そうだね。でも、その連中はもう罰を受けたから、この者達も、しっかりと罰を受けないとね」
「で、でも、僕達を庇って怪我までしたんだよ!」
「怪我は…しているはずがないんだがなぁ…本当に、怪我をしていたのかな?」
怪我をしたと言えば、優しい父様なら引いてくれるかと思ったけれど、僕の考えなんか見透かしたかのように、2人へと視線を向ける。父様から、品定めされるするような視線を向けられた2人は、とても居心地悪そうにしていた。
「う、う~ん…?あの時は、少し痛がってはいたけど、帰りは普通に走っていたから、怪我は…してない…のかな…?」
父様の指摘を受けて、僕は言葉を濁しながら訂正する。
確かに、ベルンハルト様の召喚獣に乗って移動している僕達の後ろを、走るのが遅いってカレン様達に言われながら、街まで全力疾走させられ続けてたから、街に付いた時には、今にも死にそうな息使いで倒れ込んでいたけど、怪我はしていなかったかもしれない。
「リュカ。冒険者は、常日頃から怪我が多い職業なんだ。だから、例え怪我をしたとしても、そこまで心配する必要なんてないんだよ。それに、報酬さえ払えば、大抵の怪我は教会で治るからね」
「で、でも、違約金?だかを払わなきゃいけないから、2人はお金なんかないよ!」
「それなら、治療費を私が払って上げよう。そうすれば、何も問題はないね?」
兄様と同じように、父様も僕が言った言葉に対して全部理詰めで返してくるから、どうしても返す言葉がなくなってくる。もう他にはないかな?といった感じで、小首を傾げながら見てくる父様に、僕は何か言わなくちゃと思って、その場の勢いだけで口にした。
「兄様は!2人の事を許してくれたよ!?」
「オルフェが?」
兄様がこっちの味方に付いている事を伝えれば、少し驚いたような顔を浮かべた後、思案げに僕の目を見つめながら聞か返してきた。少しだけだけど、父様の反応が変わったから、僕はそのまま押し切るように言葉を続ける。
「うん!だから、父様が許してくれるよね!?」
「……本当に…あのオルフェが許したのかい?」
「うん!父様が許すって言えば、良いって言ってた!」
少し言葉のニュアンスは違うかもしれないけれど、それと似たような事を言っていたから、間違ってはいないと思う。
「……分かった。リュカに免じて、今回はお咎めなしにしてあげるよ」
「本当!?」
思案げに考え込んだ後、父様は2人の事を許してくれた。その後、何時もの優しい顔に戻った父様が、2人へと視線を向ける。
「オルフェに少し確認してからだが、お願い事を何件か頼むだけで、今回は多目にみる事にしよう」
「「あ、ありがとうございます!!」」
感極まったように、座っていたソファーから立ち上がると、2人揃って父様へと頭を下げていた。
「良かったね!」
「あぁ!本当に御守り効果が凄い!」
「御守り…?」
「バカッ!」
ハリソンさんが、笑顔で顔を上げたデリックさんの脇腹を殴ると、脇腹を抑えるように、先程と同じように下を向く。痛そうだなと思っていたら、横に座っている父様から、静かな声が聞こえて来た。
「御守りって、どういう事かな?」
「え、えっとね。カレン様が、僕は父様に叱られないための御守りだって言ってたよ…?」
「つまり、この者達じゃなくて、カレンが言い出したから、リュカは此処にいるんだね?」
「う、うん…」
「へぇー…カレンが…ねぇ……」
言っても良かった事だったか分からないけど、僕が頷きながら返事を返したら、父様は楽しげに笑顔を浮かべていたから、怒っているわけじゃなさそうだった。
「リュカ。カレンは、他には何か言っていなかったかな?」
「他に?う~ん?特に何も言ってなかったと思うけど?」
「本当に?」
「うん?」
「そう…なら良いんだけどね…」
父様が何で、念押すように訪ねて来たのかは分からないけれど、目を細めながら、ハリソンさん達を流し目で見ていた。僕も横目で見てみるけど、そっぽを向いたように、お互いが反対側を向くように壁の方を見ていた。
「それでは、そちらもお忙しいでしょうから、外までお見送りさせて頂きます」
座らずに僕等の会話を聞いてきたギルドマスターさんが、おもむろに動くと、部屋の扉を開けた。
「お茶さえも出さないでその態度とは、余程、私に帰ってもらいたいようだな?」
「い、いえ、そういうわけでは…」
「別に構わない。私も、此処に長いしたいわけではないからね」
そう言って笑った父様がそっと席を立ったので、僕も一緒になって立ち上がる。父様はそんな僕をソファーの横に連れ出すようにして立たせると、僕の顔が正面を向くように、父様が両側に手を添えた。すると、何故か顔を引く付かせているギルドマスターの姿が見えた。どうかしたのかと思って上を向けば、父様も僕の方へと視線を向けた。
「リュカ。そろそろ帰ろうか?」
僕の顔から手を離した父様が、にっこりと笑いながら言った。
「約束通り、ちゃんと来たよ!」
「あ、ああ…」
駆け寄った僕の方へと視線を向けているようで、何処か僕と視線があっていなくて、どうしたんだろうと不思議に思っていたら、後ろに誰かの気配を感じた。
「手紙で呼び出していた連中は、コレかな?」
「父様!コレなんて言ったら、ハリソンさん達に失礼だよ!」
「ああ、すまない。少し目が疲れているのか、人に見えなくてね」
「父様…今日は、もう帰った方が良いんじゃない…?」
父様が申し訳なさそうに言うけれど、ハリソンさん達が人に見えないくらい疲れているなら、速く屋敷に帰った方が良いと思って言ったら、なんて事ないような笑顔を浮かべていた。
「今のは冗談みたいなものだから、特に気にしなくて良いよ。それより、私に紹介して貰えるかな?」
「うん!左にいる体格の良い人がデリックさんで、右にいる細身の人がハリソンさんだよ!」
父様の言葉を受けて2人を父様へと紹介している間も、2人は視線を泳がせながら、僕と父様の間を行ったり来たりしていた。
「こっちは、僕の父様だよ!」
「そ、それは…まぁ…」
「あぁ…知ってる…」
2人は父様と初対面だから紹介したのだけれど、戸惑った様子で知っていると言われてしまった。だけど、僕と一緒にいる所を見れば、確かに分かるかな?と思っていたら、僕の後ろにいた父様が一歩踏み出した。
「私の事は知っているなら、わざわざ名乗る必要などないな。今回は、私の息子が大変世話になったようで、君達にどうお返しをすれば良いかな?」
満面の笑顔で笑う父様を前に、2人は幽霊でも見たような顔をしながら震えていた。それに、夏だというのに、何故か腕を擦って寒そうにしていた。
「奥に部屋を用意しているので、そちらへと移動して貰えますか?」
ハリソンさん達の後ろにいた人が、僕達に声を掛けてきたけれど、誰だろう?何処かで見た事があるような気もするけれど、王都の冒険者に知り合いなんていないはずだ。僕がきょとんとした目で見上げていたら、苦笑いを浮かべられた。
「何だ?覚えてないのか?」
「リュカも、一度合った事があるはずだよ」
「?」
「此処の前で合っただろ。その時は上のと一緒に、馬車に乗ってたけどな」
「ああっ!」
父様達に言われて、ようやくラクスの帰りに合った人だと気付いた。あの時は、腰が低くて、具合が悪そうだったけど、今は堂々と立っていたから、同じ人だとは思わなかった。
「あの時も、ラクス絡みだったなぁ……私も随分…安く見られるようになったものだ…」
「い、いや…決して…そのようなわけではなく、全部不可抗力であって…」
目線を逸らしながら、何とか話題も逸らそうとしている姿を見て、前に見た光景とようやく重なった。
「父様!部屋があるなら、そっちで座って話そう!」
「そうだね」
腰が低いマスターさんの前から、父様を離すように声を掛けて、その場から動き出す。奥の部屋を目指す間、見る余裕がなかったギルドの中を見渡しながら進むと、王都のギルドは大きさが違うなと思った。
ラクスよりも中や外が大きいのもそうだけど、きちんと物も整理されており、内装もしっかりしている。そのうえ、ラクスでは2つしかなかった受付が5つもあった。
だけど、最初に見えた机や椅子が置かれた休憩スペースのような所には、まばらに人が座っているのに、受付に並んでいる人はいない。
「誰も並んでないね?」
「どうやら、仕事がなくてよっぽど暇な人間が多いようだね。今度、こちらに仕事でも回してあげる事にしようかな…?」
「うん!それだと、みんな助かるね!」
仕事がなくて困っている人達に仕事を回してあげるなんて、やっぱり父様は優しいと思う。
「い…いや…坊主…それは…」
「ん?」
「何でもねぇ…」
僕が後ろを振り向くと、何故か思い切り視線逸らすように横を向かれてしまった。
案内された部屋に到着すると、父様は置いてあった来客用のソファーに僕と一緒に座わり、笑顔を浮かべてから口を開いた。
「最後に言い残す事はあるか?」
「父様!何でそんな言い方するの!?2人がびっくりしちゃうでしょ!?」
僕達と違って、まだ立ったままでいる2人の顔色が悪くなったのを見て、父様に慌てて注意をする。
「寝不足で、少し言葉を間違えたかな?」
戯けたように笑う父様に、僕は少し呆れながらも、悪びれていない父様へと声を掛ける。
「2人はまだ座ってもいないんだから、話しは座ってからでも良いでしょ?」
「……そうだね……座わって話そうか…?」
父様の笑顔が少し曇ったような気もしたけれど、2人へと席を進めていた。2人も、恐る恐るといったように、酷くゆっくりとした様子で座り、それを見届けると、急に真面目な顔を浮かべた。
「今回、君達が起こした件が、如何に問題なのかは理解しているな?」
「……はい」
「それならば、重い罰が下されても仕方がない事だと言う事も理解しているな?」
「……はい」
「父様…、父様の力で、2人がやった事をなかった事に出来ない…?2人に、何とかしてあげるって約束したんだ…」
何時もは見ないような父様と、真面目な雰囲気に押されながら、僕は少し躊躇いがちに、今回来た理由を口にした。だけど、まるで譲る気がないように、父様は表情を変えようとはしない。
「それは出来ない。この者達に何を聞いたかは分からないが、再犯を防ぐためにも、こういう場合は責任の所在をしっかりして、罰しておかないといけないんだよ」
「でも、元々は別にいた悪い人がいたんでしょ?」
「そうだね。でも、その連中はもう罰を受けたから、この者達も、しっかりと罰を受けないとね」
「で、でも、僕達を庇って怪我までしたんだよ!」
「怪我は…しているはずがないんだがなぁ…本当に、怪我をしていたのかな?」
怪我をしたと言えば、優しい父様なら引いてくれるかと思ったけれど、僕の考えなんか見透かしたかのように、2人へと視線を向ける。父様から、品定めされるするような視線を向けられた2人は、とても居心地悪そうにしていた。
「う、う~ん…?あの時は、少し痛がってはいたけど、帰りは普通に走っていたから、怪我は…してない…のかな…?」
父様の指摘を受けて、僕は言葉を濁しながら訂正する。
確かに、ベルンハルト様の召喚獣に乗って移動している僕達の後ろを、走るのが遅いってカレン様達に言われながら、街まで全力疾走させられ続けてたから、街に付いた時には、今にも死にそうな息使いで倒れ込んでいたけど、怪我はしていなかったかもしれない。
「リュカ。冒険者は、常日頃から怪我が多い職業なんだ。だから、例え怪我をしたとしても、そこまで心配する必要なんてないんだよ。それに、報酬さえ払えば、大抵の怪我は教会で治るからね」
「で、でも、違約金?だかを払わなきゃいけないから、2人はお金なんかないよ!」
「それなら、治療費を私が払って上げよう。そうすれば、何も問題はないね?」
兄様と同じように、父様も僕が言った言葉に対して全部理詰めで返してくるから、どうしても返す言葉がなくなってくる。もう他にはないかな?といった感じで、小首を傾げながら見てくる父様に、僕は何か言わなくちゃと思って、その場の勢いだけで口にした。
「兄様は!2人の事を許してくれたよ!?」
「オルフェが?」
兄様がこっちの味方に付いている事を伝えれば、少し驚いたような顔を浮かべた後、思案げに僕の目を見つめながら聞か返してきた。少しだけだけど、父様の反応が変わったから、僕はそのまま押し切るように言葉を続ける。
「うん!だから、父様が許してくれるよね!?」
「……本当に…あのオルフェが許したのかい?」
「うん!父様が許すって言えば、良いって言ってた!」
少し言葉のニュアンスは違うかもしれないけれど、それと似たような事を言っていたから、間違ってはいないと思う。
「……分かった。リュカに免じて、今回はお咎めなしにしてあげるよ」
「本当!?」
思案げに考え込んだ後、父様は2人の事を許してくれた。その後、何時もの優しい顔に戻った父様が、2人へと視線を向ける。
「オルフェに少し確認してからだが、お願い事を何件か頼むだけで、今回は多目にみる事にしよう」
「「あ、ありがとうございます!!」」
感極まったように、座っていたソファーから立ち上がると、2人揃って父様へと頭を下げていた。
「良かったね!」
「あぁ!本当に御守り効果が凄い!」
「御守り…?」
「バカッ!」
ハリソンさんが、笑顔で顔を上げたデリックさんの脇腹を殴ると、脇腹を抑えるように、先程と同じように下を向く。痛そうだなと思っていたら、横に座っている父様から、静かな声が聞こえて来た。
「御守りって、どういう事かな?」
「え、えっとね。カレン様が、僕は父様に叱られないための御守りだって言ってたよ…?」
「つまり、この者達じゃなくて、カレンが言い出したから、リュカは此処にいるんだね?」
「う、うん…」
「へぇー…カレンが…ねぇ……」
言っても良かった事だったか分からないけど、僕が頷きながら返事を返したら、父様は楽しげに笑顔を浮かべていたから、怒っているわけじゃなさそうだった。
「リュカ。カレンは、他には何か言っていなかったかな?」
「他に?う~ん?特に何も言ってなかったと思うけど?」
「本当に?」
「うん?」
「そう…なら良いんだけどね…」
父様が何で、念押すように訪ねて来たのかは分からないけれど、目を細めながら、ハリソンさん達を流し目で見ていた。僕も横目で見てみるけど、そっぽを向いたように、お互いが反対側を向くように壁の方を見ていた。
「それでは、そちらもお忙しいでしょうから、外までお見送りさせて頂きます」
座らずに僕等の会話を聞いてきたギルドマスターさんが、おもむろに動くと、部屋の扉を開けた。
「お茶さえも出さないでその態度とは、余程、私に帰ってもらいたいようだな?」
「い、いえ、そういうわけでは…」
「別に構わない。私も、此処に長いしたいわけではないからね」
そう言って笑った父様がそっと席を立ったので、僕も一緒になって立ち上がる。父様はそんな僕をソファーの横に連れ出すようにして立たせると、僕の顔が正面を向くように、父様が両側に手を添えた。すると、何故か顔を引く付かせているギルドマスターの姿が見えた。どうかしたのかと思って上を向けば、父様も僕の方へと視線を向けた。
「リュカ。そろそろ帰ろうか?」
僕の顔から手を離した父様が、にっこりと笑いながら言った。
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