落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ

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四章

父様の実家と嫌いな理由

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昨日、色々あったせいか、試験の問題が思うように解けなかった。夕食まで自分の部屋でふて寝しようと思って、僕がベットに横になりながら過ごしていたら、誰かが部屋の扉をノックする音が聞こえた。

「リュカ?少し部屋に入るよ?」

扉の外から聞こえて来た父様の声に、僕は慌ててベットから起きあげると、扉を開けて入って来た父様を迎い入れた。

「ど、どうしたの?」

父様が帰って来るには少し速い事もあったけど、八つ当たりしていた事もあって、驚きと焦りで問い掛けるけれど、その後に、昨日父様に言われていた事をみんなに伝え忘れていた事を思い出した。

「リュカに少しだけ、言わなけれがならない事があってね。少し座って話そうか?」

父様からそう言われて、僕は少しだけ気不味いような気持ちで一緒にソファーに座る。何を言われるかなと思って、横に座った父様を伺っていると、何故か父様は、僕へと軽く頭を下げて来た。

「昨日は、少し取り乱した姿を見せて、驚かしてしまったようですまなかったね。昨日、オルフェから、友人も一緒に連れて行きたいと聞いたのだけど、本当かな?」

「う、うん!」

父様の言葉で、兄様からの頼まれ事も思い出した僕は、それを誤魔化すように父様へと力強く頷いた。

「それなら、友人も一緒に誘っても構わないよ」

「でも…本当に良いの?」

何処か様子がおかしかった昨日の父様を思い出しながら、僕が様子を伺うようにしながら躊躇いがちに問い掛ければ、父様は苦笑いのようなものを浮かべながらも、何処か優しい声で言った。

「それが、昨日のお詫びになるのかは分からないが、友人数名くらいまでなら構わないよ。だけど、今は姉が管理していると言っても、1度廃れて何も無くなってしまったから、子供が楽しめるような物が残っているのかは分からないからね?」

「父様は、行った事がないの?」

「私も、子供の頃に1度訪れた事があるだけで、今は何が残っているのかもよく分からないんだ。姉も、その辺りは手紙にも書いて来ないからね」

「1度しか行った事ないの!?」

「そうだね…」

僕が驚きながら聞き返した言葉に、父様は何と答えたら良いのか分からなさそうな顔をしていた。

「何か理由があったの?」

「そんなの聞いても、何も楽しくないよ?」

「それでも良いよ!」

滅多に聞けない父様の事を聞けるとあって、僕が直ぐにそう答えると、父様は僕の言葉に、何処か迷う様子を見せながらも、何かを決心した様子で僕の方を向き直ってから口を開いた。

「そもそも、私が母の実家に行った理由は、仲が良い事を周囲に見せつけて、献金を集めやすくするための広告塔として姉と連れて行かれただけだったんだよ。母も、何もない実家を毛嫌いしていたから、義理を果たした後は寄り付きもしなかったし、私も、金集めの道具になるのは御免だったから、それ以降は近寄らなかったんだ。暫くは、その恩恵で繋いでいたようだったが、周囲からの献金が完全に途絶えたら、あっという間に廃れてね。お取り潰し一歩前まで行ったんだけど、姉が継ぐというので、援助金を持たせた後はそれっきりかな」

終始、父様は事実だけを語るような淡々とした様子で答えていた。だけど、それって結構大事な事なんじゃないかな?何も話してくれないと言っていた母様の事を思い出して、僕は父様へと視線を向ける。

「その事は、母様には言わなかったの?」

「んー…聞いていて楽しい話でもないしね…それに、エレナ達にはそういった物とかは見せたくはなかったんだ…。それに、私もあまり話したくもないしね」

「それなら、何で話してくれたの?」

「あの家に行くなら、もう隠しようがないからね。少しでも知ってからの方が、被害が少ないと思ったんだ」

「被害?」

「母とも何1つとして考えが合わないんだけど、何かに付けて私に口出しして来る人でね。昔から相手にするのが面倒で、聞き流しながら適度に欲求を満たしてやっていたから、調子に乗ってリュカ達にも何か言って来る可能性があるんだ。騒ぐ事しか誇れるような事がない人だったから、姉との生活で少しは大人しくなっていると良いんだけどね…」

「お姉さんは、どんな人なの?」

父様の雰囲気が、何だか昨日と似たような感じになって来たような気がして、僕は少し話題を変えたら、。

「んー…なんて言えば良いのかな…?」

父様は何とも困ったような渋い顔で悩み出した。

「そんなに難しい人なの?」

「難しいと言うよりも、変わった人…かな…?可愛いものが好きだとは…言うけれど…」

「可愛いものが好きなら、兄様と同じだね」

「うーん…同じ…ではないかな…」

父様にしては珍しく、全く要領を得ないような言葉だけが返って来た。父様のこんな様子は見た事がなかったから、余程変わった人なのかと思って、そのお姉さんが継いだという家が気になった。

「お姉さんはなんで、廃れてしまった家を継いだの?」

「ああ、それはね。人目を気にせず、のんびり過ごすためだよ。あの家は、建国くらいから存在していたから歴史と、それなりの爵位はあるんだ。昔は森から出る珍しい資源で、それなりに栄えていたようだけど、代が変わる度に初代からの約束を忘れて行ったから、何も取れなくなって愚かにも廃れたんだ。だから、約束さえ守れば、細々とはやっていけるんだよ」

ようやく答えられる質問が来たみたいに、父様は僕の質問に答えてくれるけれど、

「守ればやって行けたのに、その人達は約束を守ろうとはしなかったの?」

「自分の欲を抑えられない人間に、約束は守れないよ。それに、誰もよって来ないだろうしね」

「?」

「時代に取り残されて、歴史と爵位しかない家だから、人も含めてよって来ないと言う事だよ」

不思議そうに首を傾げている僕に、父様は改めて説明してくれた。

「でも、お爺さんはそれでも結婚したんなら、良い所もあったんじゃないの?」

父様が嫌っているようだけれど、悪い人ではないのかと思って聞いたら、少し雰囲気が和らいだと思った父様が、何処か鼻で笑うような顔をしていた。

「爵位と歴史はあるが金がない家と、金はあるがもっと権威が欲しい人間との利害が一致していただけだよ。そんな欲だけで生きているような人間達だから、どちらも嫌いなんだけどね…」

忌々しそうに言う父様の様子を見ると、本当に嫌いそうだった。昨日は、仲直り出来たら良いなと思って言ったけれど、父様に取っては迷惑だったかなと思って、少し申し訳ないような気持ちで見上げれば、そんな僕の様子を見ながら、父様は困ったように目尻を下げた。

「私を気遣って言ってくれた言葉を、迷惑だなんて思うわけないから安心しなさい」

「何で、分かったの?」

「リュカは、思っている事が顔に出やすいからね。まあ…少し困ってしまったのは事実だけど、そろそろ方をつけたいとも思っていたし、私には良いきっかけにはなったかな?」

僕の心でも読んだかのように答える父様に、僕が驚きながら顔を見つめると、父様は苦笑しながらも、何処か普段見せるような様子で笑っていた。その様子に、僕も少し安心しながら、父様へと問いかける。

「母様には、話さないの?」

「エレナには…夕食の後にでも話す事にするよ。それと一緒に、何かお詫びも考えなくては行けないけどね」

「それなら!僕も一緒に考えるよ!」

「それは、何とも心強いね」

楽しげに笑うと父様と一緒に、母様に何をするの考えながら、僕達は夕食までの時間を部屋で過ごした。
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