落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ

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四章

妖精

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僕達の目の前に現れたその女の子は、背中に透明な羽の生えており、外見は人間で言う所の5歳児くらいので、年齢にあった可愛らしい姿をしていた。髪は腰まで伸びた緑色で、瞳も同じく緑色だった。丈が長い可愛らしいピンク色のドレスを着ていてけれど、容姿や格好からは似ても似つかない程、態度が凄く偉そうで可愛げがなかった。

「シェリアの言った通りね!やっぱり、私に会えなくなって寂しくなったんでしょ!まぁ、それは当然よね!だけど今は、上にいるのをさっさと追い払って!!そうしたら、この前の事も含めて全部許して上げる!!」

「なぁ?リュカの知り合いか?」

「う、ううん…」

まるで決めポーズを取るように左手を腰に手を当て、ビシッと音がしそうな勢いで指して指さしながら、自信満々の笑顔を向けて来る相手を前に、僕は困惑しながらも首を横に振る。相手の方は、まるで僕と顔見知りみたいに話し掛けて来るけれど、僕には一度も会った記憶がない。コンラット達みたいに記憶力に自信があるわけじゃないけれど、こんな特徴があり過ぎる子に会ったら、僕でも忘れないと思う。

「はぁ!?何言ってんの!!?アンタの顔を私が忘れるはずが…。あれ?目の色が違うような…?」

ふんぞり返るようにしていた姿勢から、僕の方へと視線を下げた事で目線が合うと、向こうも何処か違和感を感じたようで、途中から段々と声も小さくなり、最後の方はその小さな首を捻りながら疑問符を浮かべていた。

「それに…だいぶ背が縮んだ?それと、雰囲気も前と違い過ぎるような…?なっ!?ちょ、ちょっと誰よ!?私を摘むのは!!?」

「それ以上は近寄るな」

「兄様!」

急に上から降って来たかのようにして現れた兄様は、僕の顔を覗き込もうと近寄ろうとしていたその子の行動を阻止するようにドレスを襟元を指で摘み上げ、厳しい視線を手の先へと向けていた。

「はぁっ!!?何で2人もいるのよ!?はっ!分かったわ!こっちの小さいのが偽物で、アンタが本物ね!!目の色も違うし雰囲気も全然違うから、私も最初から可笑しいと思ったのよ!」

兄様の指から逃れようとジタバタともがきながらも、首だけは後ろへと回して、まるで正体でも見破ったかのように得意げに叫ぶ。そんな相手に、兄様は何処かイラッとしたような声を向ける。

「……人の弟を偽物扱いするな」

「えっ?弟?アンタに弟なんかいたっけ?そんな話し一度も聞いた事もなければ、見た事もないんだけど?」

まるで暴れるのを忘れたように大人しくなり、キョトンとした顔で兄様の事を見上げたていた。だけど、その視線が気に入らないのか、兄様の顔に刻まれていた眉間のシワが少し濃くなった。

「誰と勘違いしているのか知らないが、私はお前みたいな煩いのとは会った事はない」

「煩いって何よ!!それに、その顔で嘘ついたって無駄なんだからね!アンタみたいに銀髪で偉そうな鉄仮面なんか、そうそういないんだからね!!だから、その顔が何よりの証拠よ!!」

「……」

兄様の顔を指を指しながら、犯人を見抜いた名探偵みたいなキメ顔をしているけれど、兄様の指にぶら下がった状態だから、何とも格好が付いていない。兄様の方も、こんなに正面切って喧嘩を売られた事がないからなのか、何とも言えない無言の中に、何処か対応に苦慮しているような雰囲気があった。

「それにしても、兄様は何処にいたの?」

特に危険はなさそうだし、兄様が側にいるから何が起こっても大丈夫だと思った僕は、未だに対応を決めかねているような兄様へと声を掛ける。すると、問題を先送りするかのように、兄様は僕の方へと視線を向けた。

「イグニスの背から様子を見ていた」

僅かに目線を上げた兄様の後を追うように、僕も上へと視線を上げて見上げるけれど、木々の葉や枝に遮られていて、上にいるだろう兄様の召喚獣の姿は見えない。たぶん、上から見下ろしても、そんなに変わらないような視界の中で、僕達の様子が見えていた兄様は凄いと思う。僕が兄様の凄さに、改めて感心していると、側で一緒にそれを聞いていた人物が抗議の声を上げた。

「もしかして!上にいるドラゴンはアンタのなの!お陰で、今日も他の子達が怯えて出て来られないじゃないのよ!!」

兄様の注意が逸れた隙を狙ったかのように指から抜け出したその子は、今度は捕まらないようになのか、誰も手が届かなそうな上まで飛び上がると、兄様へと盛大に文句を口にする。だけど、言われた方の兄様は、何故怒っているのか分からなそうだった。

「何かしたわけでもないのに、お前達が怖がる意味が分からない」

「何もしていなくても!あんなが上を彷徨いてたら、怖くて外になんか出てこられないわよ!!」

「そうか?俺だったら、ドラゴンがいたら真っ先に見に行くけどな?ってか、俺も見たい!!」

「私も、オルフェ様の召喚獣なら見たいので気持ちは少し分かりますが、今は少し黙っていて下さい…」

バルドも、兄様と一緒で何が怖いのか意味が分からないといった顔をしていたが、兄様の召喚獣が見たいと上を見上げながら騒ぎ出すと、コンラットも少し上の方を気にしながらも、兄様達の会話を邪魔しないように、バルドが会話に入ろうとしていたのを止めに入る。だけど、そんなコンラットの気遣いなんて、ネアは気にしない。

「お前、そんな状況なのによく出て来たな」

少し感心したような様子でその子へと話しかければ、その子は誇らしげに胸に手を当てる。

「当然よ!私はみんなに頼られる存在なの!だから、みんなために私が何とかしてあげようと思って出てきたら、偶然アンタが真下にいたから、私に協力させて上げようと思って声を掛けたの!」

「完全な人違いだったけどな」

「煩いわね!銀髪なんてそうそういないんだから、ちょっと間違えたってしょうがないでしょ!!」

状況を若干楽しんでいるようなネアの一言でまた騒ぎ出す姿を見ていると、自然と同じクラスにいる人物が頭を過った。何となく直視するのが嫌で、少し視線をずらすと、バルドも僕と同じ人の顔が過ったのか、その顔は何処か嫌そうに曇っていた。騒がしいのが嫌いな兄様も、あまり関わりたくないような顔をしており、少しでも騒音から遠ざかろうとしているのか、さっきよりも距離を空けていた。

「全く!アンタも含めて全員、私に対する敬意が足りなさ過ぎるわよ!!だいたい!あの時だって!」

「あ、あの…?」

誰も口を開かず、話しが長くなりそうな気配が漂う中、常識人のはずのコンラットがおずおずと手を上げて、その話しを遮った。

「誰も聞かないですけど…結局…この人…?は誰なんですか…?」

誰も答えを持っていない僕達は、自然と答えを知っていそうな彼女へと視線が向く。すると、注目されて嬉しかったのか、ない胸を張り上げる。

「私の事を知らないの!?でも、子供だからしょうがないわね!良いわ!優し私が教えて上げる!私はこの森を管理している妖精族の女王!ティターニアよ!!」

効果音でも付きそうなドヤ顔をして、再びふんぞり返っているけれど、何故だか全く偉そうに見えない。

「……昨夜、警戒していた妙な気配がコレか」

「コレって何よ!!私は女王なんだからね!!」

何処か落胆でもしたような兄様の言葉に、憤慨したように怒っているけれど、小さな子供か駄々をこねているようにしか見えない。

「本当に!本当なんだからね!!偉いんだからね!!」

ムキになって言い募れば言い募る程、何だか嘘くさく見えて、僕達の視線が可哀想な者を見る目へと変わって行った。
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