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第三部

【87】吸血鬼ばぶちゃんなオリヴァー王の罪。

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「この男は……!オリヴァー王は!その昔、人間を奴隷として売買していた闇組織に属していた!」
「あの、不審者さん!」

「イルハン王だ!」
「じゃぁインラン王さん!」
「ちが……っ」

「それ、昔の話でしょ?一応、お義母さんに吸血鬼の歴史も習っているんだから!昔、吸血鬼が人間を食糧として、奴隷化していた歴史も習ったよ。だからこそ、狩人が世界中で結成されていった歴史も。でも今は、みんなそう言う悲しいことがないよう、努力してるの!ひいおじいちゃんだって、血清を提供して、少しでも混血のひとたちを助けようとしてるじゃん!」

「だ、だからって、こいつはかつてお前の曾祖母を犯して……っ」
「でも、今はスバルがいるでしょ?ままんがいるんだから、もう、道を間違えることはないでしょ?」

「それは、もちろん!ぼくもナルが犯した罪のことは知ってる。けど、ばぶちゃんが悪いことをしたら叱るのがままんの務めだもの」

スバルもちゃんと理解して、ばぶちゃんマーク☆を刻んだんだね。

「お前は、いいのか。お前の中にも穢れた血が流れているのだぞ!」

「穢れては、いないでしょ。ひいおじいちゃんとひいおばあちゃんには悲しいことがあったかもしれない。父さんは天涯孤独で、俺やナナハと言う肉親がいることを喜んでる。それは、オリヴァー王がいてくれたからだよ。だから俺は、今のオリヴァー王を信じる」

「は……?はぁ……?」
イルハン王はしどろもどろになりながら首を傾げている。

「そう言うことだ。イルハン王」
そして聞き慣れていた声に安堵の息を漏らす。

「リクリたん」
「うむ、ユユ」
ぎゅっと抱き締めてくれるリクリたんの匂いや温もりが広がる。

「そう言えばリクリたん、俺や父さんにもオリヴァー王の血が流れてるの?」
「……吸血鬼のばぶと血の契りを交わした時点で帳消しになる。ばぶの血が、ままんを守るために作用するからな」

「へぇ……じゃぁ、混血の人間みたいに血清をとらなくていいんだ」

「そうだな」

「父さんも、とってたのかな」
父さんも混血だったのだ。
俺には見せなかったけど……。

「そうだな。ナナヤと契る前は」
そうだったのか。

「あ、でも俺は?とったことないよ、血清」
「ユユは、その症状がでなかったと聞いている。それは奇跡だとも言われているが、私のままんになった以上、もう関係ないな。しかし、ユユは症状が出なかったからこそユズリハも狩人のことを含め、言わなかったんだろう」
そう、なのか。それで父さんは……。家系のことも秘密にしていたのは、俺を巻き込まないようにって言う配慮だったのかな。

それでもみんな、今幸せならいいじゃない!

「ユユは母上に似ているな?」
「お義母さんに?」
俺なんてまだまだだと思うんだけど……?
「ままん味がな」
「そうならいいなぁ~」
みんなで和み初めていたところで。

「無視を、するな――――――っ!」
あ。イルハン王いんの、忘れてた。


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