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完走!夏祭り。
しおりを挟む「ああぁぁぁぁぁ――――――っ!!!」
ようこそゾンビダンクストリートへと書かれたストリートへ入れば、またもこれである。しかも……
「ニ~ン~ゲ~ン~」
「おやちゅよ~こ~せぇ~っ」
「おかちくれなきゃかっちゃくぞぉっ!」
※かっちゃくぞ=ひっかくぞ、こちょこちょするぞ、いたずらするぞ
「……普通にかわいいんですけど。なでなで」
襲ってきた小さくかわいいゾンビっ子ちゃんをかわいがる。
「王都土産のキャンディーいる?」
『いるぅーっ!!!』
やーん、かっわいすぎぃっ!!
王都から持ってきたカラフルな包みのキャンディーをゾンビっ子たちがわっきゃわっきゃと受け取って嬉しそうにしている。
お義母さまから、お祭りに行くならキャンディーやらクッキーなどのおやつを持って行った方がいいと言われたのでシェルたんのマジックボックスに入れておいてもらったのだ。
いや単につまみになるお菓子があると便利なのかなとも思ったのだが、こう言う時に役に立つとは。
先程の大人ゾンビ軍団よりは百倍かわいい。
しかし……
「仮装ってゾンビ限定なのか?」
しかもストリートの名前立て続けにゾンビ風だったんだけど。
「いや?」
違うの?
「でも、2回続けてゾンビだったけど」
「被ることもあるさ」
そう言うもんっ!?普通被らないように夏祭り実行委員会とかが采配するんじゃないのっ!?
いやでも、あの大人ゾンビ軍団の後のゾンビっ子には和んだからいいのだけど。でもストリートビューンして疲れたな。
どこか近くのカフェに入って休みたかったけど、中の大人がゾンビだったら恐いので……
「別のストリートでカフェでもに行って休もうか」
「別のストリートがいいのか?カフェの中にもゾンビがいっぱいいて楽しいだろうに」
と、シェルたんが手近なカフェを指す。ほっらぁっ!やっぱりゾンビカフェじゃんんんっ!
「いや、もっといろんなストリート楽しもう?」
「うん、まぁよいが。あ、疲れたのならお姫さま抱っこはどうだ?ユウェルたんかもーんっ」
シェルたんが腰を落として両手を前に差し出し誘ってくる。魅力的なお願いだが……
「それは最終手段っ!!」
子どもたち見てるしっ!!
そんなわけで次のストリートに移動した。ここは【ニャフニャフストリート】と言うらしい。何だかかわいいなぁ。
そして入ると共に追っかけられなかったので……
「ここはゾンビじゃなさそう」
「む?隠れゾンビではないのか?」
「隠れゾンビ――――っ!」
ゾンビゲームとかで出てくるやつーっ!そしてたまに引っかけ生者出てくるやつぅーっ!
「ほら、ユウェルたん。カフェだ。あそこにしよう」
ひぃーっ!?いいところにカフェあったぁーっ!!絶妙なタイミングでカフェ見つかったぁ――――――っ!!!
カフェの名前はーー【にゃんにゃんカフェ】なんかかわいい名前だな。猫カフェ?ゾンビ猫いたらどうしよう……いや、ゾンビでも猫はかわいいっ!猫をかわいいがってもふもふするぅっ!
俺は意を決して、カフェの扉を……
開けようとしているシェルたんの後ろに隠れた。うん、いいのだこれで。シェルたん最強魔法使いだし、騎士だし、背中に俺くっ付けて何だかんだで嬉しそうにしてるもんんんっ!!
これは別に攻めさまを盾にしているとか、攻めさまを犠牲にしようとしているのではないっ!むしろ攻めさまへの……萌え萌えパフパフどっきどき受けちゃんサービスであるうぅぅっ!!!
「では、いざ」
ドアノブを捻るシェルたんの後ろで、俺が告げる。
カチャッ
遂にカフェの扉が開かれたぁーっ!
ニャァンッ
ドアベルの音にゃんこぉっ!かっわいいっ!そして開けはなたれた扉の向こうを、シェルたんの背中の影からそっと窺う。
「いらっしゃいませにゃん」
そこには……いい感じのカフェのマスター。美味しいコーヒーと軽食を出してくれそうな優しそうなマスターがいたっ!
……但し猫耳カチューシャにしっぽに加えて語尾に『にゃん』っ!!!
「おぉ、ここのチョコサンドは美味しいにゃん」
カフェの客のいい年したおじさんが猫耳しっぽをつけて、語尾に『にゃん』をつけてきたー。
「コーヒーも美味しいにゃんっ!」
看板娘のちびっ子猫耳しっぽの女の子は普通に可愛かったので、アメちゃんあげたけど。
「さぁ、ユウェルたん。ここで休憩してこう」
「う、うん。そうだね、シェルたんっ」
シェルたんは気にもしない感じでカフェの中へ。2人分のコーヒーとチョコサンドを頼み、小休憩。
「ここは、いつもこうなのかな?」
まさかとは思うが。
「いや、今年は猫の仮装をしているのだ」
「……ふ、ふーん」
でーすーよーねー?
うむ。いつもからではなくて心底安心したが、訪れるストリートのひとたちがみな猫耳しっぽ語尾に『にゃん』。おじいちゃんもおばあちゃんも猫耳しっぽに『にゃん』。
そこまで猫になりきらなくてもぉっ!てか、みんなしてよくやってんな、猫耳しっぽぉっ!!
にゃんにゃんしている会話を聴きながら、でもゆっくり休めたのでまぁ……いいにゃん。
応援ありがとうございます!
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