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精神的アレルギー。

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ストリートイベントを堪能した俺とシェルたんは、祭りの露店が並ぶと言うセントラル広場にやってきた。ここ、ここ~。こう言う感じ求めてた~っ!

……いや、ストリートイベントも、お祭りに観光客を呼ぶためには必要なのだと思うけど。

でもお祭りと言えば露店である。

広々としたカラフルなタイルが床に埋め込まれ、周囲をカラフルな壁や屋根の建物に囲まれている広場。多くの露店が並び、色とりどりのポップや旗が吊り下げられていて、雰囲気もいい。異世界ファンタジーの王国の祭りって感じで楽しそう~っ!

さらに美味しそうな匂いも漂っている。一体どんな食べ物があるのかなぁ。
ひともたくさん集まっていて、お祭りを楽しんでいるようだ。

「シェルたん、何かオススメとかあるかな?このパッションピンクビーチ限定のものとか」
是非是非、現地フードは味わってみたい。これぞ旅の醍醐味である。

「うむ、ならばやはりこれだな」
「ん?」
シェルたんが案内してくれた場所には飴細工のようなものが並んでいる。りんご飴かなと思ったのだが。

「目玉飴だ」
「ぎゃーっすっ!?」
そこには、そこにはシェルたんが言ったように目玉が並んでいた。大量の目玉がこちらを見てるぅっ!飴細工に包まれつつも結構目玉見えるぅ!!ひいいぃっ!?なんじゃこりゃぁっ!

「えと、これ、目玉?ほんとに目玉?」

「はっははっ!よく聞かれますがねぇ、これは木の実ですよ」
店主さんがカッカと笑ってくれる。え、木の実?本物の目玉じゃない?

「ほら、こんな殻に包まれているんですが」
店主がくるみ大の凸凹した殻に包まれたものを見せてくれる。

「この中に……」
そして店主がその殻をカパッと開ければーー

「ぎゃーっ!!!目玉ああぁぁぁ――――――っ!!!」
モロ目玉が入っていた。

「ですから、木の実ですってぇ」
そうは言われてもぉっ!!びびるわぁっ!!

「うまいぞ?買っていくか?」
「お願いシェルたんんんっ!!!俺目玉木の実アレルギーなのぉっ!!」
精神的、アレルギーである。これはあくまでも精神的アレルギーであるっ!!だから早くここから連れ去ってえぇぇっ!!!ふぇえぇぇ――――――んっ!!!

「なんとっ、それは気が利かずすまなかったな」
シェルたんが俺の頭をなでなでしてくれる。うぇ~ん、シェルたあぁぁんっ!!!

「そうですか~。残念ですが、美味しいもんはたくさんあるんで、祭り楽しんでってくださいね~」
そう言ってくれる優しい店主さんに手を振り、他の露店へ。優しさって、大切だね。それを深く実感した俺である。

衝撃の飴細工の後は、前世でもお馴染みチョコバナナを見付けた。

「シェルたん、チョコバナナ買って行こうよ」
「なぬぅっ!?」
しかしそう告げればシェルたんが驚きの表情を見せる。ま、まさかとは思うが、シェルたんチョコバナナアレルギー!?精神的チョコバナナアレルギー!?

「ユウェルたんは、私のバナナだけくわえて……くれっ」
何故か涙目ふるふる震えるシェルたぁんっ!?しかも股間のもっこり押さえてるしっ!
まさかとは思うがバナナってそっちのバナナかあぁいっ!

「じゃぁあのあげいも買って帰ろう」
「うむ、良いぞっ!」
あ、機嫌なおった。

こうして俺とシェルたんはあげいもをお義母さまへのおみやげ分も買って、後はサツマイモスティックとかお魚煎餅を買った。

そして再び……ゾンビストリートをストリートビューンして帰ったのであった。

「はぁはぁ、こんなに疲れる夏祭り前世でもねぇわぁっ!!」
「うむ、ユウェルたんがたくさんくっついてくれて楽しかったな」
あぁ、俺がシェルたんを盾に……いやいや受けちゃんサービスをした件か。

「ほら、お義母さまとおみやげ食べようよ」
「うむ、そうだな」
邸に帰れば、お義母さまが出迎えてくれる。先王さまは相変わらず寝込んでいるようだ。

そしてあげいもなどの戦利品を侍従たちが皿に盛り付けてくれたのと同時に、お義母さまが何やらビンを持ってきた。

「ここの名物!目玉ジュースよぉ~!美味しいのっ!これをお供に飲みましょっ!」
薄いピンク色の液体の中に……目玉が、正確には目玉木の実が大量に沈んでいた。

「いやあああぁぁぁぁぁ――――――――――っ!!?」
もう涙ものである。今まで余裕でリードしていたのに最後の最後で逆転されたような衝撃である。

「母上!ユウェルたんは目玉木の実がアレルギーなのです」
そうそう、精神的アレルギー!精神的アレルギー!!あれだけはダメええぇぇっ!!

「あら、そうなの?残念ねぇ。じゃ、レモンソーダ用意して」
お義母さまが命じると、早速給仕がレモンソーダを用意してくれた。

「ふぇっ、えぐっ」
しかしレモンソーダは美味しかったし、あげいもや数々の戦利品は……美味しかった。

「また行こうか、ユウェルたん」
え、えぇ?また、行くの?

「き、機会が、あったらね」
笑顔が思わずひきつった。
次は夏祭り以外の時期に来たいものである。さすがにストリートビューンと目玉飴は疲れたよぉ~~。


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