【運命】と言われて困っています

桜 花音

文字の大きさ
46 / 46
6.これからもよろしくね

6-6

しおりを挟む
「あー……」
「ごめんね。彩花」
「ううん。いいの。今、こうして笑っていられるんだもん」
「笑えねーのは、そこのやつがわけわかんねーこと言うからだけどな」
 せっかくいい気分だったのに、またひび割れるようなことを愁人が言う。

「愁人! なんでそんなこと言うの?」
「だってしょーがねーだろ。価値観ってやつが違うんだから」
「なぁにが価値観よ! 少なくともこのグループワークの間は仲良くしてもらうからね。衣緒ちんだって困るんだから。そもそもそんな二人ならなんで一緒に組んだのよっ」
 合わないのはしょうがない。
 でもこのグループ決めは先生が決めたんじゃなくて自分たちで決めたんだから、嫌なら組まなきゃよかったのに。

「それはね、松村くんが助けてくれたんだよ」
 クスクスッと笑いながら蒼梧くんが話す。
「瀬戸っ」
「僕と組みたいって子が多くておさまらなくてね、見かねた松村くんが「もう決まってるから」って」
「ったく……別に助けたわけじゃねーし。ただうるさかったから、そうすりゃさっさと静かになると思ったんだよ」
「素直じゃないね」
「お前がいいように捉えすぎなんだろ」
 ぷいっとそっぽ向きながらも愁人の耳が赤い。
 多分、囲まれている蒼梧くんを助けたかったんだろうな。
 やっぱりなんだかんだ面倒見がいいやつだよね、愁人って。

「そもそも僕は松村くんとケンカしているつもりないし。仲良くしたいと思っているよ」
「……その、松村くんっていうの、やめてくれ。ぞわぞわする」
「そう? じゃあ、愁人くんって呼べばいいのかな?」
「呼び捨てでいい」
「わかった。じゃあ僕のことも蒼梧って呼んで。よろしくね、愁人」
『わーっ! これからどうなるのかな? 楽しみだね、アヤカ』
 目をキラキラ輝かせながらサラちゃんが笑っている。
 これから、か。
 わたしは仲良く楽しくやっていけたらいいなって思っているんだけど……。

「とりあえずこのグループワークの間は、な」
『きゃはっ。シュートって素直じゃないね! おっもしろいっ』
 愁人の周りを飛びながらきゃらきゃらと笑うサラちゃん。
 うん、でもこの素直じゃないところ、サラちゃんと似てると思うのはわたしだけかな。
 なんて余計なこと言ったらめんどくさいことになりそうだから、黙っておく。

 蒼梧くんが転校してきて、サラちゃんと出会った。
<運命>なんて言葉はまだよくわからないし、その答えはわたしの中で見つけられない。
 それでも、サラちゃんから大切な人を思う気持ちを教えてもらった。
 小学校最後の一年間、この出会いは波乱なのか、<運命>なのか。
 わからないけれど、少なくとも今まで味わったことがない楽しさを、感じている。
 愁人と蒼梧くんがこの先仲良くなるかわからないけれど、せっかく精霊のことを知っているんだし。
 またみんなで楽しく話せる日が来るといいな。
 わたしたちの周りを飛び回る、小さなかわいい水色の精霊を見ながら、そう思った。
しおりを挟む
感想 8

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(8件)

碧月あめり
2025.08.29 碧月あめり

きゅんとする可愛いお話でした!
イケメンの転校生に「運命」だと言わたり、精霊のサラが見えるようになったり。
日常から始まった、こんなことあったらいいなあと思えるちょっとファンタジーな世界観が素敵でした。
彩花ちゃんがとってもいい子なので、サラちゃんのキャラも引き立っていて。
これからの展開をいろいろ期待したくなる明るいラストもよかったです。

2025.09.04 桜 花音

あめりさん、ありがとうございます!
ファンタジーや精霊は大好きなので、素敵と言っていただけて嬉しいです。
サラは特に書いていて楽しいキャラでした。
読んでくださり素敵な感想をありがとうございます
(,,ᴗ  ̫ᴗ,,)

解除
lavie800
2025.08.27 lavie800

面白いストーリーに惹かれましたので投票しました

2025.09.04 桜 花音

投票ありがとうございます!
嬉しいです。

解除
橘 弥久莉
2025.08.26 橘 弥久莉

完結お疲れさまです!

かわいい♡とキュン♡が両方楽しめる素敵な
お話でした!文章も読みやすくてあっという
間に読み終わってしまった感じです。

イケメン転校生に突然『運命』って言われる
展開も羨ましいし、おしゃまでツンツンな
精霊のサラちゃんと仲良くなれるのもファンタ
ジックで素敵!
初めはなかなか打ち解けられなくて嫌がらせも
されたけど、そこは彩花ちゃんが寛容で……
ひたすらサラちゃんの気持ちに近づく努力をす
る様子はほっこりしました。(私だったらたぶん
キレて、そこで物語終わってます)

幼なじみの愁人くんも仲間に加わってなんだか
小学校最後の一年が一気に色付きそう。もしかして三角関係になるのかな?衣緒ちんもサラちゃんのこと見えるようになるのかな?

その後のみんなを想像する余韻があってとって
も良かったです。素敵なお話を読ませていただ
き、ありがとうございました!

2025.08.26 桜 花音

橘さん、最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
読みやすいと言っていただけるの、めちゃくちゃ嬉しいです!
サラの意地悪は困りますよね。私もきっと許せないです笑
今後の展開についても、色々想像膨らませてくださるの嬉しいです♪
衣緒も親友ですからね。ひょっとしたらそんな未来もあるかもしれないです。

素敵な感想をありがとうございました
(,,ᴗ  ̫ᴗ,,)

解除

あなたにおすすめの小説

四尾がつむぐえにし、そこかしこ

月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。 憧れのキラキラ王子さまが転校する。 女子たちの嘆きはひとしお。 彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。 だからとてどうこうする勇気もない。 うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。 家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。 まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。 ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、 三つのお仕事を手伝うことになったユイ。 達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。 もしかしたら、もしかしちゃうかも? そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。 結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。 いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、 はたしてユイは何を求め願うのか。 少女のちょっと不思議な冒険譚。 ここに開幕。

クールな幼なじみが本気になったら

中小路かほ
児童書・童話
わたしには、同い年の幼なじみがいる。 イケメンで、背が高くて、 運動神経抜群で、頭もよくて、 おまけにモデルの仕事もしている。 地味なわたしとは正反対の かっこいい幼なじみだ。 幼い頃からずっといっしょだったけど、 そんな完璧すぎる彼が いつしか遠い存在のように思えて…。 周りからはモテモテだし、ファンのコも多いし。 ……それに、 どうやら好きなコもいるみたい。 だから、 わたしはそばにいないほうがいいのかな。 そう思って、距離を置こうとしたら――。 「俺がいっしょにいたい相手は、 しずくだけに決まってんだろ」 「しずくが、だれかのものになるかもって思ったら…。 頭ぐちゃぐちゃで、どうにかなりそうだった」 それが逆に、 彼の独占欲に火をつけてしまい…!? 「幼なじみの前に、俺だって1人の男なんだけど」 「かわいすぎるしずくが悪い。 イヤって言っても、やめないよ?」 「ダーメ。昨日はお預けくらったから、 今日はむちゃくちゃに愛したい」 クールな彼が 突然、わたしに甘く迫ってきたっ…! 鈍感おっとり、控えめな女の子 花岡 しずく (Shizuku Hanaoka) × モテモテな、完璧すぎる幼なじみ 遠野 律希 (Ritsuki Tōno) クールな幼なじみが本気になったら――。 \ とびきり甘く溺愛されました…♡/

星降る夜に落ちた子

千東風子
児童書・童話
 あたしは、いらなかった?  ねえ、お父さん、お母さん。  ずっと心で泣いている女の子がいました。  名前は世羅。  いつもいつも弟ばかり。  何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。  ハイキングなんて、来たくなかった!  世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。  世羅は滑るように落ち、気を失いました。  そして、目が覚めたらそこは。  住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。  気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。  二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。  全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。  苦手な方は回れ右をお願いいたします。  よろしくお願いいたします。  私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。  石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!  こちらは他サイトにも掲載しています。

クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました

藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。 相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。 さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!? 「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」 星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。 「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」 「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」 ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や 帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……? 「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」 「お前のこと、誰にも渡したくない」 クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)

魔法使いアルル

かのん
児童書・童話
 今年で10歳になるアルルは、月夜の晩、自分の誕生日に納屋の中でこっそりとパンを食べながら歌を歌っていた。  これまで自分以外に誰にも祝われる事のなかった日。  だが、偉大な大魔法使いに出会うことでアルルの世界は色を変えていく。  孤独な少女アルルが、魔法使いになって奮闘する物語。  ありがたいことに書籍化が進行中です!ありがとうございます。

「いっすん坊」てなんなんだ

こいちろう
児童書・童話
 ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。  自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・           

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。