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カーテンの内側で
再びバスが静かに動き出すと、夜はますます深まっていた。
車内は天井の豆球だけがぼんやりと灯り、まるで水の底のような静寂に包まれていた。
最奥のシート、10Cと10D。
そこだけが、まるで別世界だった。
倉田と山瀬は、並んで腰を下ろすと、すぐにカーテンを引いた。
真夜中の個室。
狭い密室。
視線の届かぬ闇。
足元にはわずかな荷物。
身体をずらすことすら容易ではないシート幅に、二人の肉体は自然と密着する。
押し合う腹。
触れ合う肩。
布地越しに感じる汗と熱。
呼吸のたびに互いの胸がふくらみ、触れる。
「……やっぱ…暑いな。」
倉田がぼそりと呟き、首元のタオルで顔をぬぐった。
首筋から胸元へと流れる汗が、Tシャツの布を濡らして色を変える。
その湿った白のラインが、腹の膨らみに吸い込まれていくのを、山瀬はじっと見ていた。
「……脱ぐ?」
「お前も?」
言葉少なに、二人は上着を脱いだ。
ネルシャツが椅子の上に落ちる音。
ジャージの袖をまくる動作。
どれもが妙にゆっくりで、意識的だった。
隣で倉田が、Tシャツの裾をめくりあげ、腹を露出させる。
ぶよりと柔らかな脂肪の塊が光に照らされ、うっすらと汗に濡れている。
ヘソの下の影、脇腹のたるみ、下乳のように垂れた胸。
山瀬もまた、Tシャツをめくり、腹を出す。
100キロを超えた体が互いに露出し、横並びで、ぴたりと貼りついた。
汗ばんだ皮膚が吸い付く音が、かすかに響く。
「……やっぱ、俺たち……でけえな…」
「豚みたいに腹出して、並んで座って……」
「けど……」
倉田が、山瀬の腹に手を伸ばした。
指が沈む。
脂肪の海に、男の太い指がゆっくりと押し入る。
その動作はまるで、祈りのように静かで、慎重だった。
「……いいじゃねえか。俺は……こういうの、好きだぞ?」
山瀬の喉が鳴った。
答える代わりに、彼も倉田の腹へ手を置く。
掌が埋もれる。
皮膚の下で脈打つ血と熱を、指先が感じ取る。
静かに、ゆっくりと。
男たちはお互いの身体を撫で始めた。
腹から胸へ。
脇腹から背中へ。
手が肉を泳ぐたび、汗がにじみ、指が滑る。
布地の擦れる音、皮膚の接触音、荒くなる呼吸。
それらが車内の白いノイズと混じり合い、どこか幻想的な空気を生んでいた。
倉田が、低く囁く。
「俺……もう、女じゃ立たねえんだ。」
「……私も。もう、こういう……似た匂いの男じやないと、欲しくならない。」
言葉と一緒に、息が耳元にかかる。
ぬるく湿った吐息が山瀬の耳の奥に入り、背筋が小さく震えた。
倉田の顔が、ぐっと近づいてきた。
ひげの擦れる感触。
タバコと汗と中年の男特有の皮脂が混ざった、濃厚な匂いの中、ゆっくりと唇が重なる。
それが、たまらなく心地よかった。
「……っ、はあ……」
倉田の吐息が、山瀬の首筋にまとわりつく。
濃密な息。
ビールの匂い。
煙草。加齢臭。
けれどそれは嫌悪ではない。
むしろ、今この瞬間を支配するための“匂いの旗印”だった。
太い指が山瀬の身体を這う。
肩甲骨から脇腹、腰の脂肪に沈む。
掌が肉を掴むと、指が途中で止まる。
掴みきれない。柔らかくて、深い。
「……お前、やっぱ……この体、すげえよ…。」
「は……はは……人に言えないでしょ、腹で押し潰されそうだ…。」
笑いながらも、山瀬は倉田の腹に手を回し、抱きしめた。
胸よりも張り出した腹の膨らみが、ぬるりと滑る。
体重100キロを超える同士の腹同士が、互いに潰れ合い、音もなく沈み、肉と肉が擦れ、汗が糸のように滴った。
二人とも、動くたびに息が漏れる。
「……なあ…」
「ん?」
「俺ら……誰にも見せらんねぇくらい、変態じゃねえか?」
「そうですね。」
「でもよ……気持ちいいよな……。これが……本当だよな?」
頭を垂れて、倉田が山瀬の肩に口づけた。
音はしない。
けれど、ぬるりとした舌の感触が、汗ばんだ皮膚にまとわりつく。
首の根元、耳の裏、喉仏の下――。
「……くっ……ああ……」
山瀬の手が、倉田の腹を滑り、腰へと下がっていく。
到達する布越しではない生の肉。
男のモノ。
太ってたるんだ脂肪の中にあるモノを見つける。
山瀬はゆっくりと倉田のモノをしごく。
そして顔を近付け、咥える。
「……うぉ……あぁ……」
倉田は呻きながら小さく笑った。
「バスの中で……ここまでできるなんてな…。」
「いいでしょ、誰も見てないだろうし……」
山瀬は更にスピードを上げ、舐め上げる。
周りに気を使いながら……
ふいに揺れる車体、シートがきしむ。
だが音を立ててはいけない。
だからこそ、快感は音のない静寂の中で、逆に鋭く研ぎ澄まされていく。
真夜中の車内、カーテンの中。
誰にも見えない、誰にも知られない小さな世界で、男たちは音もなく貪り合っていた。
車内は天井の豆球だけがぼんやりと灯り、まるで水の底のような静寂に包まれていた。
最奥のシート、10Cと10D。
そこだけが、まるで別世界だった。
倉田と山瀬は、並んで腰を下ろすと、すぐにカーテンを引いた。
真夜中の個室。
狭い密室。
視線の届かぬ闇。
足元にはわずかな荷物。
身体をずらすことすら容易ではないシート幅に、二人の肉体は自然と密着する。
押し合う腹。
触れ合う肩。
布地越しに感じる汗と熱。
呼吸のたびに互いの胸がふくらみ、触れる。
「……やっぱ…暑いな。」
倉田がぼそりと呟き、首元のタオルで顔をぬぐった。
首筋から胸元へと流れる汗が、Tシャツの布を濡らして色を変える。
その湿った白のラインが、腹の膨らみに吸い込まれていくのを、山瀬はじっと見ていた。
「……脱ぐ?」
「お前も?」
言葉少なに、二人は上着を脱いだ。
ネルシャツが椅子の上に落ちる音。
ジャージの袖をまくる動作。
どれもが妙にゆっくりで、意識的だった。
隣で倉田が、Tシャツの裾をめくりあげ、腹を露出させる。
ぶよりと柔らかな脂肪の塊が光に照らされ、うっすらと汗に濡れている。
ヘソの下の影、脇腹のたるみ、下乳のように垂れた胸。
山瀬もまた、Tシャツをめくり、腹を出す。
100キロを超えた体が互いに露出し、横並びで、ぴたりと貼りついた。
汗ばんだ皮膚が吸い付く音が、かすかに響く。
「……やっぱ、俺たち……でけえな…」
「豚みたいに腹出して、並んで座って……」
「けど……」
倉田が、山瀬の腹に手を伸ばした。
指が沈む。
脂肪の海に、男の太い指がゆっくりと押し入る。
その動作はまるで、祈りのように静かで、慎重だった。
「……いいじゃねえか。俺は……こういうの、好きだぞ?」
山瀬の喉が鳴った。
答える代わりに、彼も倉田の腹へ手を置く。
掌が埋もれる。
皮膚の下で脈打つ血と熱を、指先が感じ取る。
静かに、ゆっくりと。
男たちはお互いの身体を撫で始めた。
腹から胸へ。
脇腹から背中へ。
手が肉を泳ぐたび、汗がにじみ、指が滑る。
布地の擦れる音、皮膚の接触音、荒くなる呼吸。
それらが車内の白いノイズと混じり合い、どこか幻想的な空気を生んでいた。
倉田が、低く囁く。
「俺……もう、女じゃ立たねえんだ。」
「……私も。もう、こういう……似た匂いの男じやないと、欲しくならない。」
言葉と一緒に、息が耳元にかかる。
ぬるく湿った吐息が山瀬の耳の奥に入り、背筋が小さく震えた。
倉田の顔が、ぐっと近づいてきた。
ひげの擦れる感触。
タバコと汗と中年の男特有の皮脂が混ざった、濃厚な匂いの中、ゆっくりと唇が重なる。
それが、たまらなく心地よかった。
「……っ、はあ……」
倉田の吐息が、山瀬の首筋にまとわりつく。
濃密な息。
ビールの匂い。
煙草。加齢臭。
けれどそれは嫌悪ではない。
むしろ、今この瞬間を支配するための“匂いの旗印”だった。
太い指が山瀬の身体を這う。
肩甲骨から脇腹、腰の脂肪に沈む。
掌が肉を掴むと、指が途中で止まる。
掴みきれない。柔らかくて、深い。
「……お前、やっぱ……この体、すげえよ…。」
「は……はは……人に言えないでしょ、腹で押し潰されそうだ…。」
笑いながらも、山瀬は倉田の腹に手を回し、抱きしめた。
胸よりも張り出した腹の膨らみが、ぬるりと滑る。
体重100キロを超える同士の腹同士が、互いに潰れ合い、音もなく沈み、肉と肉が擦れ、汗が糸のように滴った。
二人とも、動くたびに息が漏れる。
「……なあ…」
「ん?」
「俺ら……誰にも見せらんねぇくらい、変態じゃねえか?」
「そうですね。」
「でもよ……気持ちいいよな……。これが……本当だよな?」
頭を垂れて、倉田が山瀬の肩に口づけた。
音はしない。
けれど、ぬるりとした舌の感触が、汗ばんだ皮膚にまとわりつく。
首の根元、耳の裏、喉仏の下――。
「……くっ……ああ……」
山瀬の手が、倉田の腹を滑り、腰へと下がっていく。
到達する布越しではない生の肉。
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そして顔を近付け、咥える。
「……うぉ……あぁ……」
倉田は呻きながら小さく笑った。
「バスの中で……ここまでできるなんてな…。」
「いいでしょ、誰も見てないだろうし……」
山瀬は更にスピードを上げ、舐め上げる。
周りに気を使いながら……
ふいに揺れる車体、シートがきしむ。
だが音を立ててはいけない。
だからこそ、快感は音のない静寂の中で、逆に鋭く研ぎ澄まされていく。
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